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[日本再生]コロナ禍のもと先進国の出生率8割反転 2022年10月19日  波に乗れぬ日本 夫在宅でも妻に負担が偏重

  • honchikojisitenji
  • 2022年10月20日
  • 読了時間: 7分

続木 碧(つづき あお) 2022年10月(研究報告№005)

[はじめに]

コロナ先進国の8割で、2021年の出生率が前年に比べて反転しました。ただ、国家間の差が鮮明に現れました。男女が平等に子育てする環境を整えてきた北欧などで、回復の兆しが見えてきた一方、遅れをとる日本や韓国は、流れをかえられていません。

  

[緒言]

[先進国の出生率8割で反転]

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

先進国の出生率 先進国の8割で反転 波に乗れぬ日本 夫在宅でも妻に負担が偏重]

ここでは日本経済新聞の2022年7月31日の1面記事を紹介します。

先進国の8割で出生率が反転]

経済協力開発機構(OECD、注1)に加盟する高所得国のうち、直近のデータが取得可能な23カ国の合計特殊出生率(注2)を日本経済新聞が調査しました。すると19カ国が2020年を上回っていました。過去10年間に低下傾向にあった多くの国が足元で人口増加に反転していたのです。

2021年の出生率に反映されるのは、2020年春から2021年初にかけての子づくりの結果です。まだワクチンが本格普及する前で、健康不安も大きく、雇用や収入が不安定だった時期です。スウェーデンのウプサラ大学の奥山陽子助教授は「出産を手控える条件がそろっていました。ですから2021年の出産は減ると予想していたのです。それでも北欧などでは産むと決めた人が増えていたのです」と話しています。

理由を探るカギの一つが「男女平等」です。2020年から2021年の国別の出生率の差とジェンダー格差(男女の違いから生ずる格差、注2)を示す指標を比べると、相関関係がありました。世界経済フォーラム(WEF、注3)の2022年版ジェンダーギャップ指数(注2)で首位だったアイスランドの2021年の出生率は1.82でした。2020年から0.1改善し今回調べた23カ国で2番目に伸びていました。

2019年まで出生率の落ち込みが大きかった同2位のフィンランドは2年連続で上昇し、2021年は0.09伸びて、1.46まで回復しました。奥山陽子助教授は、「長い時間をかけてジェンダー格差(注2)をなくしてきた北欧では家庭内で家事・育児にあてる時間の男女差を少なく、女性に負担が偏りにくいのです」と指摘しています。「コロナ禍で在宅勤務が広がるなか、「男性の子育ての力量」が確認されたのです。


[でも日本は状況が異なる]

埼玉県に住む30代の女性は、肩を落として以下のように言っていました。「第2子を期待していたのですが、諦めました」。この女性は、コロナ禍で夫婦とも在宅勤務が増え、夫が家事・育児に加わり2人目の子を持つ余裕ができると考えていました。結果は、頼れないことがわかったのです。自宅で何もしない夫のケアまで上乗せされ、逆にコロナ前より負担が増えたのです。

先進国の中でもジェンダー格差(注2)が大きい日本と韓国の出生率は、いずれも0.03下がりました。韓国は出生率0.81ときわめて深刻な事態です。日本も、1.30と人口が加速的に減る瀬戸際に、いよいよ立ちました。

家庭内の家事・育児時間の男女差が4~5倍ある両国は、女性の出産意欲は、コロナ禍で一段と弱まった恐れすらあるのです。


[ジェンダー格差とともに少子化に影を落とすのは収入だ]

ジェンダー格差とともに少子化に影を落とすのは収入です。東京大学は、男性を年収のグループに分けて、40代時点における平均的な子供の数の推移を調べました。2000年以前は、差がすくなかったのに対し、直近では年収の低いグループの子供の数は高いグループの半分以下になっていたのです。

十分な収入を確保できない状況が続けば育児は難しいのです。ですから、共働きで世帯収入を増やすことは、出生率を底上げすることになるのです。


[女性の社会進出と少子化の関係は近年著しく変わってきた]

 先進国では、永い間、女性の社会進出が少子化の一因とされてきました。1980年頃には、女性の就業率が上がるほど世界の出生率は下がる傾向があったのです。でも、最近、北欧諸国などでは、経済的に自立した女性ほど、子供を持つ傾向があり、直近5年では女性が労働参加する国ほど出生率は高いのです。


[まとめ]

日本は、女性の就業率が7割と比較的高いにもかかわらず、出産につながりにくいのです。これには、家事・育児分担の偏りや非正規雇用の割合の髙さといった、多岐にわたる原因があると考えられます。保育の充実といった支援策に加え、男女の格差是正から賃金上昇の後押しまで、あらゆる政策を打ち出していくことが極めて重要です。国も企業も国民も等しく強烈な覚悟が必要です。(2022年7月31日、日本経済新聞(北爪 、ダイバーシティーエディター天野田輝子)を参照引用して記述)


 この研究報告の執筆で参照引用した、2022年7月31日の日本経済新聞の記事には、三つの図表が掲載されていました。①欧米諸国と日本・韓国の合計特殊出生率(注2)の差。②2021年と2020年の出生率の差。③収入が低い層で急速な少子化が進むの3つの図表です。

 図表1に合計特殊出生率の各国の推移が折れ線グラフで示されていました。フランス、スウェーデン、米国、英国は、2010年からの合計特殊出生率1.9~2.1から、2020年の1.5~1.9へ向けて低下が続いていましたが、各国とも2020年から2021年にかけては、反転して増加に転じています。一方日本は、最近の減少の姿のままで、反転は見られません。韓国は2015年の1.30から急激な転落が始まっており、2021年には、0.81にまで落ち込みました。日本は、今、丁度1.30であり、韓国のように急な坂道の転落になるのではないかと、私は危惧しています。


 図表2。縦軸に2021年と2020年の出生率の差。横軸にジェンダーキャップ指数(男女格差の指数、注4)をとった座標の上に、北欧諸国と日本・韓国がプロットされています。この図の右上に北欧諸国、左下に日本と韓国が記載されています。すなわち、日本は、男女平等を進めてジェンダーギャップ指数を、0.2程度上げないと、出生率を北欧のレベルにまで上げることは出来ないのです。


 図表3には、年収600万以上の人と300万未満の人の、子供の数を示した折れ線グラフが示されています。70歳代の人と40歳代の人の子供の数を比べると、年代が若くなる程、子供の数は少なくなるのですが、その差は収入と関係があるのです。

 70歳代の人と40歳の人の子供の数の差は、年収300万未満の人では、「年収600万円以上の人の3倍」もあるのです。


 日本の人口減少は、日本も日本人も、マスコミも、いずれも解決困難と思えるように誰も動かず沈んでいました。でも、私は、全く困難だとは思っていませんでした。何かとらわれているものがあって、発言できないのではないかと思っていました。これを日経が「とらわれを超えて、正しいことを明確に述べる記事」を書いてくれました。

すなわち、人口減少を反転させるのは、不可能ではないのです。「男女平等」の前進を粘り強く進め続けて、ジェンダーギャップ指数を、スウェーデンなみにアップすれば、スウェーデンなみの人口増加国になれるのです。

要は、国と国民が、断固とした決断をし、スウェーデンのように、40年にわたる努力の継続を、今後の日本国と日本人にできれば、実現は必ずできるのです。

これが、分かったことは、みんなに与える影響が甚大なのです。私も、この風に背中を押されて、今後、力強く声をあげて推進して行くことにします。


(注1)経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development): 国際経済全般について協議することを目的とした国際機関。設立:1948年4月。本部:パリ。会員数:38カ国。

(注2)合計特殊出生率(TFR:total fertility rate):人口統計上の指標で、15~49歳までの既婚・未婚問わない全女性年齢別出生率を合計したもので、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」を意味する。

(注3)世界経済フォーラム(WEF: World Economic Forum):経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。設立:1971年。本部:スイス(コロニー)。

(注4)ジェンダー(Gender):多義的な概念であり性別に関する社会的規範と性差を指す。ジェンダーギャップ=ジェンダー格差:社会や家庭で男女の違いから生ずる格差。

(注5)日本経済新聞、2022年7月31日(1面)に掲載された図表「①欧米諸国と日本・韓国の合計特殊出生率(注2)の差。」

(注6)日本経済新聞、2022年7月31日(1面)に掲載された図表「②2021年と2021年の出生率の差。」

(注7)日本経済新聞、2022年7月31日(1面)に掲載された図表「③収入が低い層で急速な少子化が進む。」


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年7月31日(1面)。


[付記]2022年10月19日。

 
 
 

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