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[日本再生]「地域創生」野球観戦 伸びる四国 2023年5月1日 徳島・高知、独立リーグ奮闘 特産PR 自治体と「バッテリー」

  • honchikojisitenji
  • 2023年5月9日
  • 読了時間: 9分

続木 碧(つづき あお) 2023年5月(研究報告№064)

「巻頭の一言」

 地域に根ざす野球が勢いを増しています。野球を中核として「地域創生」をすすめる処として、「四国」が颯爽と登場しました。そのリーダーは徳島県です。


「地域創生」野球観戦 伸びる四国 徳島・高知、独立リーグ奮闘 特産PR 自治体と「バッテリー」

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」野球観戦 伸びる四国 徳島・高知、独立リーグ奮闘 特産PR 自治体と「バッテリー」

ここでは日本経済新聞の2023年4月8日2面の記事を紹介します。


[はじめに]

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC、注1)での日本代表優勝の興奮が冷めないなか、日本のプロ野球も開幕しました。新型コロナウイルス対策の応援制限が緩和され、各球場に4年ぶりに歓声が戻ってきました。日本野球機構(NPB、注2)の12球団に加えて、地域に根ざしたプロ野球の独立リーグ(注3)が増え、野球の観戦率は四国などが伸びています。まちづくりに野球を生かす動きもあります。2023年4月8日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、菅野宏哉、刈谷直政)。

 

[プロ野球の観戦率増加]

 スポーツ庁によりますと「スポ―ツの実施状況等に関する世論調査」の2022年12月と2019年11月の結果を比べますと、年に1回でもプロ野球の試合を見たと答えた「観戦率(注4)」は、都道府県のうち15県で増えました。伸び率首位は徳島県(3.2ポイント増)で高知県(2.4ポイント増)が続きます。

 日本野球機構(NPB、注2)の本拠地はコロナ禍が尾を引きます。広島県は2022年の観戦率が24.6%と全国首位ですが2019年比では11.4ポイントも下がりました。全都道府県では2ポイント超の減少です。ただ、伸び率上位2県を含め独立リーグの球団だけがある15県で比べるとほぼ横這いでした。コロナ禍の経済不況のなかで、独立リーグの球団は頑張っています。


[徳島県]

 徳島県は、2005年誕生の独立リーグにおける先駆け集団である、四国アイランドリーグpius(注3、(1))の4球団のうち「徳島インディゴソックス」が活躍しています。「徳島から夢を追う人を増やす」を掲げ、10年連続で、日本野球機構NPB(注2)に選手を輩出しました。人口が流出する徳島県ですが、2023年には県外から外国人を含む18選手が入団しました。

 県もこの活動を後押ししています。本拠地の県営のむつみスタジアム(徳島市)には2023年8月には屋内練習場が完成させる予定です。同じく県が持つオロナミンC球場(鳴門市)でも、収容人員を2万人に増やす大規模改修工事を計画しています。

 県内各市も、球団と連携しています。阿波市はシャイアンマスカットなど地元農産物を共同でPRし、収益の一部を選手の活動費に当てています。阿南市は2010年に「野球のまち推進課」を設置しました。草野球チームが試合と観光を楽しむツアー、60歳以上の女性からなるチェアーリーダーたちの応援などで、2019年度は8000万円の経済効果を生みました。


[高知県]

 四国アイランドリーグ(注3(1))の「高知ファイティングドッグス」は地元出身の藤川求児選手や元大リーガーのマニー・ラミレス選手らの参加で話題を呼びました。高知県内の越智町はホームタウンとして練習場を提供しています。佐川町の寮には2023年に6選手が転入しました。チームは2019年から女子野球を支援し、南米で野球教室を開いて選手を招くなどして地域に多様性をもたらしました。


[栃木県]

 栃木県は古くから地域に根差した野球で地元に貢献してきました。2016年創設の「栃木ゴールデンブレーブス」が、独立リーグのルートインBCリーグ(注3、(2))で戦ってきました。大リーグなどを経て現役を続ける川崎宗則選手、お笑いタレレントの高岸宏行さんらを次々と獲得しています。2019年に観客を6万人に伸ばし、2020年と2021年との観戦率(注3)を比べますと、1.9ポイント増えました。

 栃木県小山市は、2017年に廃校になった小学校跡に練習拠点「小山ベースボールビレッジ」を構えました。スタンドがある運動場やトレーニング器機が並ぶ教室という環境を構え、ご当地球団の選手を支えています。


[この項のまとめ]

 独立リーグ(注3)の球団経営は、決して楽ではないのです。でも、コロナ禍の解消が遅々として進まないなかで、独立リークの球団は、2023年には、全国では、30チームを達成しました。背景には、社会人チームの減少があるのです。企業が経費を負担できず、独立リーグのチーム数は、1963年の273から2023年には94にまで減少しました。そこで、会社登録ではないクラブチームが主流となって、プロとして上の舞台を夢見る選手に、リーグの存在感を高めてきたのです。

 ヤマエグルーブ九州アジアリーグ(注3、(5))に属する4球団の内、北九州下関フェニックス(北九州市)は若いファンを開拓しました。球場ではクラブミュージックを流し、スマートフォンに、選手のネット実況を配信してます。新たな野球の楽しみ方が地方で始まっているのです。(2023年4月8日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、菅野宏哉、苅谷直政)を参照引用して記述)。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年4月8日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①2022年プロ野球観戦率(注4)の増減」図表1、注5。(注)▲はマイナス、出所はスポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」から算出。

「②NPB球団地域はコロナ前に戻り切れず下位に位置する」、図表2、注6。(注)(出所)スポーツ庁「スボーツ実施等に関する世論調査、▲はマイナス。

「➂「いち早く観戦率が回復した自治体。プロ野球観戦率(%) 2020年~2021年」、図表3、注7。(注)は図表2と同じ。


[図表1]

図表1(注5)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、都道府県別の2022年プロ野球観戦率の増減(2019年比)を、青色の濃淡で塗り分けて示していました。ここでプロ野球観戦率の増加が最も大きかった地域は、2022年の時点で2ポイント以上増加のランク1の処で、徳島県、高知県、和歌山県の3県でした。


次いでプロ野球観戦率の増加が大きかった地域は、増加が0ポイント以上2ポイント以下のランク2の処です。このランク2の処は、青森県、新潟県、富山県、石川県、群馬県、山梨県、静岡県、滋賀県、岡山県、愛媛県、宮崎県の11県でした。

結局、プロ野球観戦率の2022年の時点で増加している地域は、14県でした。(2023年4月8日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、菅野宏哉、苅谷直政)を参照引用して記述)。


[図表2]

 図表2(注6)は「NPB球団地域はコロナ前に戻り切れず下位に位置する」と題した表でした。この表には、2019年、2022年のプロ野球観戦率(%)と、この2時点間の増減(ポイント)が記してあります。以下にこの表を記します。


表2 NPB球団地域はコロナ前に戻り切れず下位に位置する


  プロ野球観戦率         2019年~2022年増減

       2019年 2022年      ポイント

1  徳島県  4.7   7.9(%)       3.2(ポイント)

2  高知県  2.3   4.7          2.4

3  和歌山県 6.5   8.7          2.2

47 広島県 36.0  24.6        ▲11.4


(出所)スボーツ庁「スボーツの実施状況等に関する世論調査」、▲はマイナス。


 この表は、プロ野球の観戦率(%)が大きい順に書いてあります。2019年から2022年までの間の観戦率の増加が一番大きかったのは徳島県で、増減ポイントは3.2ポイントの増でした。次いで高知県が2.4ポイント増です。これまで、あまり目立たなかった四国ですが、この2県の頑張りで、今や、四国が全国の野球による地域創生を牽引しています。

 これまで、野球による地域創生を牽引してきた広島県は、2019~2022年の増減ポイントでは、▲11.4と大きなマイナスとなっています。コロナ禍の大きな打撃から回復できずにいるのです。ですから、2022年時点の観戦率の増減ポイントの競争では

全国47位で最下位にあえいでいます。


[図表3]

 図表3(注7)は「いち早く観戦率が回復した自治体。プロ野球観戦率(%) 2020年~2021年」と題した表でした。この表には、プロ野球の2020年と2021年のプロ野球の観戦率(%)と、2020年と2021年の間の増減(ポイント)が記されていました。以下にこれを記します。


表3 いち早く観戦率か回復した自治体。プロ野球観戦率(%)2020年~2021年


      プロ野球観戦率       2019年~2022年の増減

      2020年 2021年    増減ポイント

1 徳島県  1.8   6.3(%)     4.5(ポイント)

2 栃木県  3.1   5.0        1.9


(出所)スボーツ庁「スボーツの実施状況等に関する世論調査」、▲はマイナス。


徳島県は、コロナ禍が始まる前年の2019年には、プロ野球観戦率は4.7%ありましたが、コロナの感染により2020年には1.8%に低下しました。しかし、コロナにより日本全土が大きな打撃を受けていた中で、2020年に6.3%に回復しました。県民全員のコロナと戦う意欲の強さと団結力に、私は驚愕しております。


日本は、今、社会、経済が大変革しなければならない、重大な局面に立っております。今こそ、徳島県に習って、地域創生に関する大改革に、国も、都道府県も、市区町村も、企業も国民全員も、一致団結して強力に取り組まねばなりません。

日本では、この改革に、中小企業の参加と真剣な取り組みが欠かせません。徳島県のこの地域創生の活動で、大きな成果を迅速に達成できたのは、中小企業を巧く巻き込めたからでしょう。みんなで力を合わせて、改革に邁進しましょう。みんなで、中小企業を連れて一緒に頑張りましょう。(2023年4月8日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、菅野宏哉、苅谷直政)を参照引用して記述)。

(注1)ワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball Classic、略称:WBC):メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会により立ち上げられたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)が主催する、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認の野球の国・地域別対抗戦で、かつ、世界一決定戦

(注2)一般社団法人日本野球機構(Nippon Professional Baseball Organization、略称:NPB)あるいは日本プロ野球(Nippon Professional Baseball、略称:NPB)。日本プロ野球のJERAセントラルリーグ(セリーグ)及びパーソル パシフィック・リーグ(パ・リーグ)を統括する文部科学省スポーツ・青少年局所管であった一般社団法人である。一般に日本国内で、「日本プロ野球」は日本野球機構が統括するものを指す。

(注3)独立リーグ:一般社団法人日本野球機構以外の独立した野球リーグの総称。一時は、日本野球機構と対等の立場をめざしたものもあり、極めて多種・多様であり、整理して示すのは難しい。

現在、活躍中の独立リーグは、以下の8リーグである。

四国アイランドリーグplus(2005年設立)

ベースボール・チャレンジ・リーグ(2007年設立、命名権による通称は「ルートインBCリーグ」)

➂ 関西独立リーグ (2代目)(2014年設立、2018年シーズンまでの名称は「BASEBALL FIRST LEAGUE」(ベースボール・ファースト・リーグ)。2020年からは命名権による「さわかみ関西独立リーグ」の名称を使用)

九州アジアリーグ(2021年設立、命名権による通称は「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」)

ベイサイドリーグ(2022年設立、2022年の名称は「日本海オセアンリーグ」)

日本海リーグ(2023年設立、「ルートインBCリーグ」)

(注4)観戦率:特定のもの、条件での観戦の割合。(例)男性の観戦率:男性が観戦した割合。メディアによる観戦率。直接観戦率: 過去1年間に体育館・スタジアム等へ足を運んで直接スポーツを観戦した割合。

(注5)日本経済新聞2023年4月8日2面に掲載された図表1「2022年プロ野球観戦率の増減(2019年比)」図表1。(注)▲はマイナス、出所はスボーツ庁「スボーツの実施状況等に関する世論調査」から算出。

(注6)日本経済新聞2023年4月8日2面に掲載された図表2、「NPB球団地域はコロナ前に戻れず下位に位置する」図表2。(出所)スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」、▲はマイナス。

(注7)日本経済新聞2023年4月8日2面)に掲載された図表3、「いち早く回復した自治体」図表3。(出所)スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」、▲はマイナス。


[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年4月8日(2面)。

[付記]2023年5月1日。

 
 
 

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