[日本再生]「地域創生」若年人口 124自治体で増 2023年4月14日 子供予算増を有効活用 奈良県川上村 出産から高校 包括支援
- honchikojisitenji
- 2023年4月14日
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続木 碧(つづき あお) 2023年4月(研究報告№059)
「巻頭の一言」
少子化対策を掲げる国に先行して、各自治体が「子ども予算」を拡大して行きます。人口減と、じかに向き合う地方は、支援策を競いますが、限りある予算を、どう有効に使い効率をあげていくのか。国と自治体、民間企業、国民みんなの強固な結束が、極めて重要です。
「地域創生」若年人口 124自治体で増 子供予算増を有効活用 奈良県川上村 出産から高校 包括支援
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」若年人口 124自治体で増 子供予算増を有効活用 奈良県川上村 出産から高校 包括支援
ここでは日本経済新聞の2023年3月18日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
少子化対策を掲げる国に先行して、各自治体が「子ども予算」を拡大しています。2021年度の児童福祉費は、全市区町村で計10.7兆円と、2016年度比で4割増えました。子育て支援金や保育士増員などにより、124自治体が子どもの数を増やしました。人口減とじかに向き合う地方は支援策を競いますが、限りある予算をどう有効に使い効率をあげるか、国とともに知恵が問われます。(2023年3月18日の日本経済新聞の1面(杉本耕太郎、若杉敏也、田崎陸)を参照引用して記述)。
[総務省の「地方財政状況調査」から「児童福祉費」を集計]
日本経済新聞は、総務省の「地方財政状況調査」から全1741市区町村の児童福祉費を集計しました。ここでは、保育所の整備や子供医療費の補助、出生祝い金などのほか、市区町村が実務を担う国・都道府県の事業費も含めて集計しました。なお、ここでは教育関係や妊婦支援などは対象外としました。また、計上項目は自治体によって異なる場合があります。
[2021年度の児童福祉費は全体の96%の1668市区町村で6年前より増加]
2021年度の児童福祉費を6年前の2016年度と比較しますと、全体の96%の1668市区町村で増加していました。国が2019年度に始めた幼児保育の無償化もあって伸びは43%と、12%増の老人福祉費より、かなり多いのです。総歳出費に占める割合も上昇傾向にあります。
[北海道大空町・知内町]
個々の自治体(市区町村)では、北海道の大空町が、認定子ども園(注1)の整備を進めた結果、子ども児童福祉費(注2)が4.9倍に拡大しました。また、知内町は子ども医療費の無償化を高校生にまで拡大したことで、同費用を4.4倍として全国平均を大きく上回りました。
2016年度~2021年度の6年間で、0~19歳の若年人口が増えたのは、全国で124市区町村で、全体の7%でした。名古屋市の隣で税収が潤沢な愛知県飛島村だけではなく、立地に恵まれない自治体でも、子ども予算を手厚くして、若年人口を拡大する例が多くなってきています。
少子化対策を巡る議論は、合計特殊出生率(注5)が、当時の最低と判明した1989年の「1.57ショック(注3)」が、強い契機となりました。さらに、各都道府県・市区町村が、強い危機感を感じた出来事がありました。それは民間団体が2014年に示した一つの試算でした。「20歳~39歳の女性」の将来予測をもとに示した「消滅可能性都市(注4)」の試算です。ここで実名を示された896に上る市区町村は、まさに強烈な危機感を持ったのです。
[奈良県川上村]
試算で女性の減少率が全国2番目だった、奈良県川上村は、強く発奮し、児童福祉費(注2)を2.2倍にしました。2012年に村長に就任した栗山忠明氏は、2026年以降、生れた子への30万円の祝い金、高校生への月5000円の子育て応援手当などを導入しました。山あいの村から車で30分かかり、村にない高校への通学費も月数千円を補助しました。
保育料も、2歳児まで無償にしました。保育士は国の配置基準の1.5倍を確保しました。栗山村長は「住み続けてもらうには居心地を良くすることが大事です」と述べておられます。村長は、このほかにも、小児科医や産婦人科医が村内にいない不安を和らげようと、2021年からオンラインで医師に無料で、相談できるようにしました。
移住者の紹介で別の子育て世帯が転入する例もあり、村の総人口は14%減ったものの、0~14歳児の数は72人と26%増えました。栗山村長は「お金の支援だけでは十分でありません。子育ての悩みをいかに解消できるかが知恵の出しどころです」と強調しています。
[長崎県佐々町]
長崎県佐々町も経済的な補助にとどまらない支援に腐心しています。2015年に5人だった保育士を7人にし、2022年度に子育てを含む相談にワンストップで応じる多世代包括支援センターを設けました。発達障害児を巡る悩みには、専門医らが寄り添っています。この結果、佐々町では、2021年までの4年間に生れた子の26%が、第3子、第4子になったのです。すなわち、佐々町では、人口減少時代は満了したのです。
[この項のまとめ]
2023年度も支援強化は、各地で続々と続きます。鳥取県日吉津村は、保育所を認定子供園(注1)として、子供を預けやすくし、定員を140人と20人増やします。
人口が集中する東京都でも、18歳以下に月5000円の給付を始めました。競争は、ますます、激しくなっていくのですが、国全体の子供を、なんとしても、増やす必要があるのです。
一方で少子化対策は多岐にわたり、即効性は薄いのです。東京大学の山口慎太郎教授は、「限られた財源を有効な対策に充てる上でも、事業の効果検証まで予算化しておくべきだ」と提唱しておられます。(2023年3月18日の日本経済新聞の1面(杉本耕太郎、若杉敏也、田崎陸)を参照引用して記述)。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年3月18日の日本経済新聞1面の記事には三つの図表が記載されていました。①「こども予算」は全都道府県で増加(2021年度の児童福祉費の2016年度比増加率)、図表1、注5)。」②児童福祉費と若年人口が増えた市区町村、図表2、注6)。➂「こども予算」は、2016年度比で4割増(歳出全体に占める割合、児童福祉費)、図表3、注7)。
[図表1]
図表1(注5)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、「こども予算」の全都道府県の増加率を、茶色の濃淡で塗り分けて示していました。
ここで、こども予算の増加率が最も多い地域は、2022年度で50%以上の処で、最も濃い茶色(黒茶色)で示してありました。このこども予算の増加率の最も大きいランク1の処は、千葉県と沖縄県の2県でした。次いで、こども予算の増加率の大きいランク2の処は、増加率が45%以上50%未満の処で、福島県、茨城県、埼玉県、東京都、静岡県、滋賀県、大阪府、兵庫県、広島県、大分県、佐賀県の11都府県でした。
結局、こども予算の増加率が多い地域(ランク1~2)は、合計1都1府11県(13カ所)でした。
なお、こども予算の増加率が最も少ない地域(35%未満)は、青森県、秋田県、新潟県、富山県、京都府、和歌山県、島根県、香川県、高知県の1府8県、9カ所でした。その他の23カ所は、こども予算の増加率が中位の処でした。
(注)市区町村の決算額を度道府県別に合算。出所は総務省「地方財政状況調査」。
(2023年3月18日の日本経済新聞の1面(杉本耕太郎、若杉敏也、田崎陸)を参照引用して記述)。
[図表2]
図表2(注6)は「児童福祉費と若手人口が増えた市区町村」と題した表でした。この表には、児童福祉費と若手人口が増えた市区町村(都道府県)と児童福祉費の増加率(倍)、若年人口の増加率(%)が示されていました。この表を以下に記します。
図表2 児童福祉費と若年人口が増えた市区町村
市区町村(都道府県) 児童福祉費増加率 若年人口増加率
日吉津村(鳥取県) 3.5倍 5.3%
西粟倉村(岡山県) 2.6 1.7
飛島村(愛知県) 2.6 4.4
江北村(佐賀県) 2.5 1.8
久山町(福岡県) 2.5 14.0
印西市(千葉県) 2.2 15.3
川上村(奈良県) 2.2 6.0
中城村(沖縄県) 2.2 14.6
佐々町(長崎県) 2.1 1.6
多賀町(滋賀県) 2.1 5.9
(注)児童福祉費増加率は、2021年度で2016年度比。若年人口増加率は0~19歳、2022年1月と2017年1月の比較。出所は総務省「地方財政状況調査」「住民基本台帳人口」(注6)。
この図表2を良く見て考えました。人口減少社会において若年人口を増加するには、児童福祉費を増加させることが、極めて重要であることが良くわかりました。
人口減少の病(やまい)に落ちて苦しみもがく日本社会の中で、ついに、15%を超える若年人口の増加を達成した市町村が出現したのです。それは千葉県印西市の15.3%増でした。そして沖縄県中城村(14.6%)、福岡県久山町(14.0%)が、これに続きます。
私は、これが、ポストコロナ下で日本が超えることが出来るかどうかの最大の難関の壁だと考えていました。これに挑戦する先頭の人達が、ついに、この壁を超えてくれたのです。私は大いなる希望を持ちました。日本各地で、同じ目的で頑張っている市町村の方々は、この成功者と濃密な情報交換をし、皆で手を結んで新たな挑戦を展開してください。
この報告に書きましたように、奈良県川上村の栗山忠明村長は、児童福祉費の増大を目指して、果敢に挑戦を進められました。ありとあらゆる対策を決断し、断固として実施しました。栗山村長は「住み続けてもらうには居心地を良くすることが大事です」と述べておられます。村長は、小児科医や産婦人科医が村内にいないので、出産をする女性は不安だろうと、オンラインで医師に無料で、相談できる体制を整えました。栗山村長は「お金の支援だけでは十分ではありません。子育ての悩みをいかに解消できるかが知恵の出しどころです」と強調されています。
このように、栗山村長が、大変な努力を積み重ねて積み上げた川上村の児童福祉費の増加率の達成実績は2.2倍でした。しかし、保育所を認定子ども園にした鳥取県の日吉津村は、児童福祉費の増加率を3.5倍を達成したのです。
実は鳥取県には、偉大な知事がおられるのです。総務官僚から鳥取県知事に転じた平井伸治知事が「この戦略を実施すれば、遅れている地域も、直ちに先端知識を活用した地域に変身できる」と言う「鳥取県で週1副社長」という革命を発出させているのです。
県知事というトップリーダーの、その改革についての深い知識と、限りなき情熱とリーターシップ。これで鳥取県を、今、大変身させつつあるのです。
読者の皆様、是非、私の、この報告を、もう一度読んでください。この報告は、2023年1月9日の報告です(参考資料2)。
なお、今回の報告:「児童福祉費と若年人口の増加率の拡大」についても、奈良県川上村と鳥取県日吉津村が連携し、栗山忠明川上村村長と平井伸治鳥取県知事が手を結ばれれば、今の日本の最大の国難を一気に打破する強烈なエネルギーが噴出するはずなのです。私は、限りない発展の可能性を感じています。
[図表3]
図表3(注7)には、「こども予算は2016年度比で4割増」と題した折れ線グラフと棒グラフが記してありました。ここには、二つの図表があり、それは「①子ども予算の歳出全体に占める割合」と題した折れ線グラフと「②児童福祉費」と題した棒グラフです。
「①子ども予算の歳出全体に占める割合」
子ども予算の歳出全体に占める割合は、2016年度の14%弱から2021年度の15%までの上昇線をなしていましたが、途中、2020年度にコロナ禍の影響で15%に転落しました。しかし、翌2021年度には、逆転して16%に増加しています。
世界の産業社会が、等しく深い痛手を被ったコロナ禍のもとでも、日本の子ども予算の歳出全体に占める割合は、見事に上昇を維持しました。
「②児童福祉費」
児童福祉費は2016年度の8兆円弱から2020年度の9兆円へ、コロナ禍の影響を受けずに順調に増加し、2021年度は10兆円強へと急増しました。コロナ禍に負けない順調な増加を達成したのです。
図表3の(注):市区町村の合計。出所は総務省「地方財政調査」。
(注1)認定子ども園:日本の幼稚園及び保育所等における小学校就学前の子供に対する保育および教育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を行う施設。都道府県知事が条例に基づき認定する。2006年10月に創設された。
(注2)児童福祉: 児童に対して政府等が行う福祉サービスのことを指す。1980年代後半から従来の「児童福祉」の概念に代わるものとして、家庭や家族を取り込んだ「子ども家庭福祉」や「児童家族福祉」などの概念が提唱されるようになった。
(注3)1.57ショック:1989年の人口動態統計において、合計特殊出生率が過去最低の1.57に低下した事態を「1.57ショック」と呼んでいる。合計特殊出生率(total fertility rate、TFR):人口統計上の指標で、15~49歳までの既婚・未婚を問わない全女性の年齢別出生率を合計したもので、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」を意味する。
(注4)消滅可能性都市:人口減少によって都市機能が破綻し、存続が困難になると危惧される地方自治体を指す語。日本創成会議・人口減少問題検討分科会が提言した。日本創成会議は、出産を担う若年女性の減少を人口推移の主な手がかりとし、若年女性が(地方から都市への流出も含めて)減少し続けると人口減少に歯止めがかからず都市の消滅に繋がるとしている。その上で、2010年から2040までの30年間における人口減少を都市別に推計し、若年女性の人口が5割以下になると算出された都市を「消滅可能性都市」であるとした。日本創成会議の試算によれば、消滅可能性都市に含まれた地方自治体の数は896に上る。これは全国の市区町村の49・8%に相当する。
(注5)日本経済新聞2023年3月18日(1面)に掲載された図表1「①「こども予算」は全都道府県で増加(2021年度の児童福祉費の2016年度比増加率)。(注)市区町村の決算額を都道府県別に合算。出所は総務省「地方財政状況調査」。
(注6)日本経済新聞2023年3月18日(1面)に掲載された図表2「②児童福祉費と若年人口が増えた市区町村)。(注)児童福祉費増加率は、2021年度で2016年度比。若年人口増加率は0~19歳、2022年1月と2017年1月の比較。出所は総務省「地方財政状況調査」「住民基本台帳人口」。
(注7)日本経済新聞2023年3月18日(1面)に掲載された図表3「こども予算」は、2016年度比で4割増(歳出全体に占める割合、児童福祉費)。(注)市区町村の合計。出所は総務省「地方財政調査」。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年3月18日(1面)。
(2)続木 碧(つづき あお)研究報告:[日本再生]「地域創生」地方副業(その1)、鳥取県が先行 首都圏のプロ人材を呼ぶ 「週1で副社長」300人集う、2023年1月9日。
[付記]2023年4月14日。


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