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[日本再生]「地域創生」自転車利用 広島で加速 2023年2月10日 北広島町 購入補助・誘客両輪に

  • honchikojisitenji
  • 2023年2月10日
  • 読了時間: 8分

[日本再生]「地域創生」自転車利用 広島で加速 2023年2月10日 北広島町 購入補助・誘客両輪に

 

続木 碧(つづき あお) 2023年2月(研究報告№042)

「巻頭の一言」

 通勤・通学の手段として自転車の利用を推進する自治体が増えています。日本経済新聞社は、通勤・通学に自転車のみを利用する人を「自転車分担率」と呼び、全国における、その普及度を数値化しました。自転車利用の促進は、CO2の発生を抑制し、環境を改善するとともに、人々の健康を増進します。とても良い試みです。この数値化により、自転車利用の通勤・通学は、今後も拡大するでしょう。


「地域創生」自転車利用 広島で加速 北広島町 購入補助・誘客両輪に


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」自転車利用 広島で加速 北広島町 購入補助・誘客両輪に

ここでは日本経済新聞の2022年11月26日2面の記事を紹介します。

[はじめに]

通勤・通学の手段として自転車の利用を推進する自治体が増えてきました。環境意識や健康意識の高まりに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で、「密」の回避の動きが強まったことも、この利用促進を後押ししています。専用道路整備やシェアサイクル(注1)を街づくりと連携させる取り組みも加速しています。(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の2面(橋本慎一、塚越慎哉、山崎哲哉、伏井正樹、片平均哉、桜井佑介)を参照引用して記述)。


[「通勤・通学の交通手段の内、「自転車のみ」を利用する人を「自転車分担率」とし、その増減率を算出]

 日本経済新聞では、2022年7月に公表された国勢調査の「利用交通手段」のデータを基に、全国1741市区町村の住民が、通勤・通学に利用する交通手段(自転車、バス、鉄道、自家用車など)を分析しました。このうち「自転車のみ」を利用する人達を、「自転車分担率」と定義して、2010年時点との増減率を算出しました。


[広島県北広島町]

市区町村で最も利用が増えたのは広島県北広島町です。3.6ポイント増の9.2%となりました。土地取得や工場建設などで利用できる奨励金を充実させたことで、車部品関連産業の集積が加速し、従業員の自転車利用が増えました。町は2022年3月に、「自転車活用推進計画」を策定し、「購入補助制度の利用促進と、環境負荷の少ない街づくりをめざす」と宣言しました。

 自転車は観光誘客の目玉の一つにもなるのです。サイクリング(注2)、バイクツーリング(注3)などによる周遊支援を開始し、全長144キロメートルのサイクリングコースを整備しました。役場などにもサイクルスタンド(注4)を設置し「自転車の街」として存在感を高めました。広島県北広島町は、こうして、通勤・通学への自転車積極利用推進活動の牽引者となったのです。


[長野県川上村]

長野県川上村(3.3ポイント増の4.9%)では、レタス栽培を担う外国人労働者が急増しました。同村は冷涼な気候を生かし、収穫量で全国トップを誇ります。2020年の作物統計調査によりますと、作付面積は2170ヘクタールで、村の面積のおよそ10分の1を占めます。 

 広大な畑で栽培するため、コロナ禍以前は1000人の外国人が働いていました。宿舎から農場まで通うのに自転車は欠かせない手段となりました。2005年には村の要請を受けて、東京都品川区が放置自転車を100台村へ寄贈しました。


[国は「自転車活用推進計画」の策定を自治体に促す]

 国は「自転車活用推進計画」の策定を、自治体に促しています。健康促進と脱炭素を両立させる自転車の活用にとくに力を入れているのです。それで、計画を策定した自治体は2022年3月末時点で47都道府県すべてを含む206自治体と、1年前比で51カ所増えました。

 

[大阪府 大阪市 摂津市]

都道府県別にみた自転車分担率では、大阪府が21.1%で首位となりました。以下、京都府(15.5%)愛媛県(14.5%)の順でした。

大阪府では都市部を中心に、地形が平坦で職住近接の生活者が多いのです。コスト意識が高いこともあり、自転車通勤・通学が盛んです。府内の各自治体は、かねてから、自転車利用の環境整備を進めてきました。大阪市は1970年代から全国に先駆け、自転車歩行者道や駐輪場などを整備してきました。また、大阪府・大阪市は2010年代には各地に先駆けて自転車活用推進計画を策定していました。

ダイキン工業淀川製作所(大阪府摂津市)では、全従業員の2割に当たる600人が、通勤で自転車を利用していました。それで、同社は自宅から1.5キロメートル以上の距離がある社員には、自転車通勤手当を支給しています。

 


[茨城県つくば市 新潟県新潟市]

 駅やバス停から目的地までの「ラストワンマイル(注5)」の手段として「シェアサイクル(注1)」が、各地で存在感を高めています。そのことで茨城県つくば市は、特に注目されます。同市は、実証実験「つくチャリ」に取り組んでいます。市役所や駅前など22カ所にサイクルスタンド(注4)56台を配置しました。ここでは24時間、通勤、通学、買い物などに、これを利用できるのです。

新潟県新潟市も2022年9月、新潟駅周辺地域に、これを導入しました。


[この項のまとめ]

もっとも、自転車の利用が増えれば、事故の危険性も相対的に増えるのです。長野県川上村では、日本の交通ルールを十分に把握していない外国人の利用が増えたことで、危険な走行も目立っていたと言われています。村は研修会を随時開催し、ルールの周知徹底に、鋭意努力していました。

ダイキン工業は職場までの道で事故が起りやすい場所を自らの地図に明示する「ハザードマップ(注6)」の作成を、義務づけています。(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の2面(橋本慎一、塚越慎哉、山崎哲哉、伏井正樹、片平均哉、桜井佑介)を参照引用して記述)。


[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照引用した2022年11月26日の日本経済新聞2面の記

事には三つの図表が記載されていました。①自転車分担率は西高東低の傾向(図表1、注

8)。②自転車分担率の増加幅が大きい自治体(図表2、注9)。③シェア自転車は全国で拡大(図表3)。


図表1(注8)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、都道府県別の自転車分担率の多い自治体(都道府県)が青色の濃淡で塗り分けて示してありました。都道府県別でみて自転車分担率が最も多い処は14.0%以上の処で、最も濃い青色(黒青色)で示してありました。このランク1の処は、大阪府、京都府、愛媛県の2府1県でした。次に自転車分担率が多いランク2の処は、11.0~13.9%の処で、埼玉県、東京都、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、徳島県、高知県の1都7県でした。

結局、自転車分担率が多い道府県は、合計で1都2府8県で、11自治体でした。この分布は、まさに西高東低でした。最も自転車分担率が大きいランク1のところは、関西と四国にあり,ランク2は中国地方と四国にあります。すなわち「西」が多く2府6県あり、「東」は東京都と埼玉県の1都1県のみでした。


 図表2(注8)は「自転車分担率の増加幅が大きい自治体」と題した表であり、全国で自転車分担率の増加幅が大きい自治体が、第1位~第10位まで表に列記してありました。これを以下に示します。


図表2 自転車分担率の増加幅が大きい自治体(市区町村)


順位        自治体名      増加幅(ポイント)

1       広島県北広島町     3.6

        2       長野県川上村      3.3

        3       高知県芸西村      3.0

        4       奈良県安堵町      3.0

        5       熊本県長洲町      2.6

        6       岡山県新庄村      2.3

        7       香川県多度津町     2.1

        8       福岡県久山町      2.1

        9       沖縄県竹富町      2.0

       10       沖縄県伊是名村     1.9


(注)2020年と2010年を比較。同じ値は少数点2位以下で順位付け


この図表を眺めてみますと、ここには、いつも半数以上を占めている「市」が一つもありません。自転車分担率の増加幅が大きい自治体のベスト10では、全て「町と村」で占められており、町が6カ所で、村が4カ所も入っているのです。今全国的に、自転車の先進的な活用の牽引では、規模の小さい自治体(町村)が頑張っているのです。



 図表3は、「シェア自転車(注1)は全国で拡大」と題して、エリア数の拡大の折れ線グラフと、シェア自転車台数の拡大の棒グラフが示めされていました。ここでは拡大したシェア自転車台数を表に表記して示します。


          図表3 シェア自転車は全国で拡大


年月              シェア自転車台数

2016年3月           0.25万台

       2016年9月           0.5

       2018年3月           1.75                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

       2018年9月           1.1

       2020年3月           1.35

       2020年9月           1.65                                                                                                                                                                                                                                                                                           

       2022年3月           1.75

       2022年9月           1.85


図表3でみますと、2016年3月から2020年3月まで、一直線に右肩上がりに、シェア自転車台数は増加しており、この後も2022年9月まで、少しペースをさげて順調に増加しています。(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の2面(橋本慎一、塚越慎哉、山崎哲哉、伏井正樹、片平均哉、桜井佑介)を参照引用して記述)。


(注1)シェアサイクル=自転車シェアリング::自転車を有料で貸し出すレンタル事業の一つ。シェア自転車とも言う。


(注2)サイクリング(cycling):英語では自転車利用の総称(スポーツレクリエーション、および移動や輸送のための自転車利用全般のこと)。しかし、日本語では主に遠乗りなどのレクリエーションや(競技以外の)スポーツを指す。


(注3)バイクツーリング:英語の正式な呼び方ではモーターバイク・ツーリング(motorbike touring):オートバイを移動手段として利用しつつ、いくつかの景勝地や観光地などを訪れること。オートバイに乗って走ること自体を楽しむために いくつかの景勝地や観光地を旅すること。


(注4)サイクルスタンド:自転車のスタンド。スタンド(Stand)は、二輪で自立できない自転車を立てたまま保持するための部品。車両取付型と独立型がある。車両取付型は、自転車に設置し、足で蹴って使用するため「キックスタンド」と呼ばれ、外出先などスタンドが用意されていない場所での駐輪時に用いる。独立型は、駐輪場などに固定設置され複数台を収納するものや、自転車を高く掲げて上下に収納できるものなど、収納時に利用するタイプのほか、軽量小型で持ち運び可能な外出時に利用できるタイプもある。


(注5)ラストワンマイル(Last one mile):元々は通信業界で用いられていた用語で「生活者や企業に対し、通信接続を提供する最後の区間」を意味していたが、現在は、物流交通業界において多く用いられ、「顧客にモノ・サービスが到達する最後の接点」を指す。


(注6)ハザードマップ(Hazard map):自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したもの。防災マップ、被害予測図、被害想定図、リスクマップなどの名称で作成される場合もある。ハザードマップは土地の成因あるいは地形や地盤の特徴をもとに、被害想定区域、避難経路や避難場所、防災関係施設の位置などの防災地理情報が地図上に図示される。



(注8)日本経済新聞2022年11月26日(2面)に掲載された図表「②自転車分担率の増加率の大きい自治体、(図表2、注8)」。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年11月26日(2面)。

[付記]2023年2月10日。

 
 
 

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