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[日本再生]「地域創生」東京都新宿区の「地域商標」2023年3月6日 内藤とうがらし 歴史・文化つなぐ 宿場名産 外国料理で活躍

  • honchikojisitenji
  • 2023年3月7日
  • 読了時間: 7分

 

続木 碧(つづき あお) 2023年3月(研究報告№048)

「巻頭の一言」

 この研究報告は、「地域団体商標」の報告の第2弾です。


「地域創生」東京都新宿区の「地域商標」 内藤とうがらし 歴史・文化つなぐ 宿場名産 外国料理で活躍


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

東京都新宿区の「地域商標」 内藤とうがらし 歴史・文化つなぐ 宿場名産 外国料理で活躍

ここでは日本経済新聞の2023年1月21日35面の記事を紹介します。

[はじめに]

群馬の「桐生織」や埼玉の「北本トマトカレー」――。地域の特産品を地域団体商標として登録し、ブランド価値(注1)を高めて需要を喚起する動きが、関東・山梨でも広がっています。8都県での登録は2022年末で93件と、制度が始まった2006年度から5倍に増えました。千葉県はナシを中心に各地で登録が進み、18倍と全国トップでした。(2023年1月21日の日本経済新聞の35面(篠原皐佑、田原悠太郎、鈴木菜月、仲村宗則)を参照引用して記述)。


[群馬県桐生市]

 群馬県桐生市は「西の西陣、東の桐生」と言われ、織物の産地として知られています。中国など海外の低価格品の攻撃を受けるなか、桐生織物協同組合は2008年、桐生織で地域団体商標を取得しました。和装だけでなく、洋服やカーテンなど幅広い商品で認知度を高めようと、統一ロゴマーク(注2)も作りました。

 2018年度からは日本貿易振興機構(ジェトロ、注3)の支援を受け、海外に打って出ました。桐生織の「背景にある産地や職人を見せる」(佐竹正規・協同組合事業部長)ことで、ブランド(注1)をアピールしています。

 規模の大きい中国市場を狙おうと、中国出身のデザイナーを桐生に招き、生産現場を視察してもらいました。2019年に上海市で開かれた「上海ファッションウィーク」に桐生織を使った洋服を出展しました。海外向けブラインド「KIRYUtextile」のロゴ(注4)も製作し、日英中の3カ国語に対応したウェブサイトを開設するなど、海外に活路を見いだそうとしています。


[埼玉県北本市]

 埼玉県北本市の「北本トマトカレー」はルー(注5)やトッピング(注6)、ライスのすべてに地産品のトマトを使います。「全国ご当地カレーグランプリー」といった品評会で優勝するなど、全国的に知名度を上げてきました。ブランド(注1)価値をさらに高めようと、同市観光協会が2016年に商標を取得しました。

商標取得で「市内外の飲食店などの認定メニューの提供状況を把握できるようになりました。認定要件に合致しないカレーを提供している店には、止めるように要請できます」とし、ブランド価値(注1)の保護・向上につなげています。


[茨城県龍ケ崎市]

 茨城県龍ケ崎市はB級グルメの「龍ケ崎コロッケ」で登録し、街おこしに生かしています。2022年1月上旬から同市や関東鉄道など9団体で作る協議会が始めた、次世代移動サービス「MaaS」の実証実験の目玉は、軽飛行機とタクシーを使った名物コロッケの食べ歩きでした。

 竜ヶ崎飛行場から飛び立つ遊覧飛行(15分間)と関東鉄道竜ヶ崎駅から市内のコロッケ店をタクシーで巡る食べ歩きなどを組み合わせたツアー「F1y!龍ケ崎アゲアゲチケット」(料金は1万5千円)が人気といいます。2022年3月末までの実験期間中、コロッケをテコに観光誘客や交流人口の拡大を狙います。


[神奈川県三浦市]

 神奈川県三浦市のみうら漁業協同組合の「松輪サバ」は、2006年に登録されました。今では「西の関サバ、東の松輪サバ」と言われるほどの高級ブランド魚として有名です。

 松輪サバは三浦半島南東の松輪地区の漁港で水揚げされるサバを言います。主に一本釣り漁法で捕獲され、鮮度を保つため荷揚げするまで人の手に触れることがほとんどないことが特徴です。地域商標登録や漁協を通じてのみ市場に出荷することで品質とブランド(注1)を守っています。


[東京都新宿区]

東京都新宿区では甲州街道の宿場町「内藤新宿」の地産品だった「内藤とうがらし」を復活させました。房状の八房種のとうがらしで、うまみと優しい辛さが特徴です。2018年に登録されました。

「トウガラシ畑の真っ赤なじゅうたんが秋にみられた」との記録が江戸時代にはありましたが、宅地開発が進み、生産は衰退しました。新宿の新しい歴史文化をつくろううと、区内の事業者が2010年にプロジェクトを立ち上げ、栽培を始めました。

新宿区は外国人コミュニティ(注7)や外国料理店が多く、内藤とうがらしを使ったメニューをを提供するなど「多文化共生」のツールにもなっています。プロジェクトリーダーの成田重行氏は「区内の小学校は外国籍の子供たちも多く通います。子供たちは、とうがらしが主役の家庭料理を誇らしげに教えてくれます」と話してくれます。(2023年1月21日の日本経済新聞の35面(篠原皐佑、田原悠太郎、鈴木菜月、仲村宗則)を参照引用して記述)。

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年1月21日の日本経済新聞35面の記事には、一つの図表が記載されていました。①地域団体商標の登録数(図表1、注8)と題し、関東・山梨8都県の2006年度と2022年12月末を比較して、その倍率を表で示していました。これを以下に示します。


図表1 地域団体商標の登録数(関東・山梨)

 

      都県名     2022年12月末    2006年度比

      東京都        23          3倍

      千葉県        18         18

      神奈川県       10          5

      埼玉県        10          5

      群馬県        10          5

      栃木県         9          9

      山梨県         8          4

      茨城県         5          5


(出所)特許庁


 この表を眺めていて、以下のことを感じました。「地域団体商標の登録数の増加」という点だけから言うと、千葉県が特出していました。これはナシを中心に、県内各地での登録を推進した県の多大な努力が報われたのです。

 関東・山梨8都県でも、「地域団体商標」を活用した地域起こし」には、優れた発想の動きが胎動していましたが、県が中心になり県全体の推進で、県特産品と県のイメージを向上させ、観光客や交流人口の拡大を図り、ポストコロナ下での地域の再成長を図るべきだと思いました。また、江戸時代に繁栄した「内藤新宿」の復活は見事でした。どの県にも、このような「江戸時代の繁栄」があるはずです。これを、今、こそ、再発掘するべきです。 

 これらにより成長する地域を増やし、日本国全体を成長する国にしていく事が、極めて重要です。今、日本は、これが成し遂げられるかどうかの分岐点にあります。この時にあって、「みんなで推進する地域団体商標」は、極めて重要なツールなのです。(2023年1月21日の日本経済新聞の35面(仲村宗則、桜井芳野、相松孝暢、本田幸久)を参照引用して記述)。


(注1)ブランド(brand)銘柄:サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービスと消費者の接触点で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験・思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財・サービスに対して出来上がるイメージの総体。ブランド価値=ブランドの価値:特産品や地域のイメージの総体の価値。


(注2)ロゴマーク:企業やブランドのイメージを図案化したもの。そのマークを目にしただけで、誰もがそれがどの企業やブランドのマークなのかを判断することができる。 例えば、ヤマト運輸のクロネコのマークなど。


(注3)日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization):東京都港区赤坂に本部を構える経済産業省所管の中期目標管理法人たる独立行政法人。2003年10月1日設立。日本の貿易の振興に関する事業、開発途上国・地域に関する研究を幅広く実施している。


(注4)ロゴタイプ(logotype),通称「ロゴ」(Logo) :図案化・装飾化された文字文字列のことで組織名・商号・商品名・雑誌名・書名などを印刷・表示する際などに使用される。ロゴタイプは、社名や商品名などを表す文字のデザイン、ロゴマークは、消費者がブランドを識別するためのシンボルを指す。


(注5)(カレーライスの)ルー:古典フランス料理で、ソースや煮込み料理などにとろみをつけるために使う、バターと小麦粉を合わせて炒めたものの呼び名。


(注6)トッピング(Topping):(1)ケーキの上飾りなど、料理において仕上げの段階で飾りとなる食品などを盛り付ける調理法。また、その飾り付ける食品のこと。(2)レストランなどの料理に用意された追加できる食材のこと。別皿で提供される物、仕込みの段階で入っている物など上飾り以外の物でもトッピングと呼ばれる。


(注7)コミュニティ(community): 場所や空間を共有する結合の形式で、地縁による自生的な共同生活。地域社会や、居住地域を同じくし利害をともにする共同社会のこと。


(注8)日本経済新聞2023年1月21日(35面)に掲載された図表1「地域団体商標の登録数」。(出所)特許庁。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2023年1月21日(35面)。

[付記]2023年3月6日。

 
 
 

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