[日本再生]「地域創生」東京稲城市「自転車の町」前面に 2023年2月13日 東京多摩市 町田市とツアー開催
- honchikojisitenji
- 2023年2月13日
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続木 碧(つづき あお) 2023年2月(研究報告№042)
「巻頭の一言」
この研究報告は、2編連続の「通勤・通学の自転車利用の推進」の第2編です。
「地域創生」東京稲城市「自転車の町」を前面に 東京多摩市 町田市とツアー開催
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」東京稲城市「自転車の町」を前面に 東京多摩市 町田市とツアー開催
ここでは日本経済新聞の2022年11月26日41面の記事を紹介します。
[はじめに]
首都圏の自治体でも、自転車を通勤・通学に活用する動きが広がっています。茨城県つくば市や埼玉県朝霞市は、シェアーサイクル(注1)を活用した実証実験を進め、神奈川県茅ヶ崎市は職員に自転車通勤を促しています。環境負荷の少ない自転車を利用し、健康増進にもつなげる狙いがあります。(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の41面(伏井正樹、仲村宗則、篠原皐佑、牛山知也)を参照引用して記述。)
[茨城県つくば市]
通勤・通学時に利用する交通手段のうち、「自転車のみ」を利用する人々を「自転車分担率」と定義した日本経済新聞の発想は、とても良かったと思います。これを数値化したので、状況がとても解りやすくなりました。
この自転車分担率の増加率をみますと、つくば市が2022年に12.1%と茨城県内でトップでした。一方、同市は自転車分担率自体も6割と全国平均を上回るクルマ社会です。運転免許をもたない人も増えています。交通弱者を減らすため、市は自転車とIT(情報技術)を活用した街づくりに前向きです。
2022年10月下旬つくば市に開業した大型商業施設のそばに、自転車が並ぶ一角が現れました。市が進めるシェアサイクル(注1)の実証実験「つくチャリ」の駐輪ステーション(注2)です。コンビニや公園、筑波大学の構内などにステーション(注2)をきめ細かく配置しています。
スマートフォンの専用アプリで自転車に取り付けたQRコード(注3)を読み取り、開錠して使います。目的地につくと最寄りのステーション(注2)でアプリを起動します。鍵をかけて返却します。専用アプリには、クレジットカード情報を登録します。15分あたりで77円で利用できます。
市のサイクルコミュニティ推進室は、1日平均40~60人が利用しており、「想定以上」と言っています。「駅から企業に近いステーション(注2)まで定期的に利用する人もいます。「通勤に使っているようだ」とサイクルコミュニティ推進室は言っています。ステーションの増設を望む声は多く、実験の終了後、定常サービスへ移行します。
[神奈川県茅ヶ崎市]
神奈川県茅ヶ崎市は通勤・通学の自転車利用率が18.1%と県内自治体で最も高いのです。同市は平らで細い道が多く、普段の生活でも自転車は手放せない存在です。その特性を生かし、市は「人・自転車を優先したまちづくり」を掲げて様々な取り組みを進めています。
市の職員にも自転車通勤を推奨しています。2020年8月には、国土交通省の「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」の宣言団体に、全国の市として初めて認定されました。企業向けの説明会を開き「健康増進や車の渋滞解消、企業の経費節減、二酸化炭素(CO2)削減などのメリットがあるとPRしています。
ただ、自転車利用率が高い一方で、事故も多いのです。市は現在、交差点での自転車事故を減らす社会実験を始めています。信号機のない十字路交差点内の4カ所にセンサーライト(注4)を設置し、交差点に進入する自転車などがあることを、他の自動車や歩行者に知らせて注意喚起しています。
[埼玉県朝霞市]
埼玉県朝霞市は、2021年から、職員に1キロメートル以内の移動は、シェアサイクル(注4)を使うように呼びかけています。市と協力してシェアサイクルの実験をしているソフトバンク系のオープンストリート(東京・港)の自転車を使います。料金は、市が公費で支払います。導入から現在まで、県職員から定期的に利用申請があります。市の担当者は、「公用車の台数を減らしてもカバーできている」と言っています。
同市での自転車による現場視察が、よりきめ細かくできるかは、公務でのシェアサイクル(注5)の利用が、本格的に進むかにかかっています。
[都内で自転車が増えたのは多摩丘陵の自治体]
2010年から2020年にかけて東京都内で自転車の利用が増えたのは稲城市(0.9ポイント増)、町田市(0.8ポイント増)、多摩市(0.7ポイント増)など多摩丘陵の自治体が目立つのです。すなわち、これは、上り坂でも利用しやすい電動アシスト自転車(注6)が普及し、脚力に自信のない人でも、この丘陵地での自転車通勤・通学がしやすくなったことが大きかったのです。
[東京都稲城市 多摩市 町田市]
東京五輪では自転車競技のコースが市内を通っていました。それで、そのコースに面した地域は、ますます、自転車の聖地になりました。
サイクリング環境が整う多摩川に面する稲城市は「自転車のまち稲城」を標榜しています。自転車を観光振興などに生かしているのです。多摩市、町田市を含む3市にまたがる自転車ツアーを、度々、開催しています。2021年度にはスマホのアプリを活用したサイクリングマップ(注7)も作成しました。また、市は、自転車シェア(注5)の「ハローサイクリング」を手掛けるオープンストリートと協定を締結しました。
今、この3市では、自転車の活用が急速に拡大しています。手軽な利用環境を丁寧に整備したことが利用拡大につながっているのです。(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の41面(伏井正樹、仲村宗則、篠原皐佑、牛山知也)を参照引用して記述。)
[まとめ]この研究報告の執筆で参照引用した2022年11月26日の日本経済新聞41面の記事には一つの図表が記載されていました。①関東・山梨の自転車分担率(図表1、注8)。
図表1(注8)では、「関東・山梨の自転車分担率」と題し、日本経済新聞社が調査した、関東・山梨の1都7県の自転車分担率を表に表記していました。以下にこれを示します。
図表1 関東・山梨の自転車分担率
都県名 自転車分担率
東京都 13.4%
埼玉県 13.0
神奈川県 8.7
千葉県 8.7
栃木県 7.8
群馬県 7.8
茨城県 6.7
山梨県 6.7
(出所)2020年国勢調査のデータを基に日経新聞が算出
(参考資料1、2022年11月26日の日本経済新聞の41面(伏井正樹、仲村宗則、篠原皐佑、牛山知也)を参照引用して記述。)
この表を眺めてみますと、関東・山梨の1都7県では、東京都と埼玉県の自転車分担率が突出して大きいことが分かりました。日本の次世代にむけて、通勤・通学の足として、自転車の利活用は、今後一層、進んでいくと思いますが、東京都、埼玉県では、その牽引者として、ますます、工夫と活用が急速に前進していくものと期待しております。
自転車は、どの地域でも身近な存在でしたが、その利活用を、地域が総力をあげて推進するようになって、各地とも、地域活性化に大いに寄与しています。コロナ後の経済再生にも、一助となってくれるものと、私は期待しています。
(注2)駐輪ステーション=サイクルステーション:駐輪機能だけでなく、自転車を楽しむ人々のため、休憩スペースや飲み水・サイクル情報の提供などの機能を持つことが多い。
(注3)QRコード:1994年に自動車部品メーカーである、デンソーの開発部門が発明したマトリックス型の二次元コード。
(注4)センサーライト:センサーで人の接近を感知すると,自動的に一定時間だけ点灯するライト。
(注5)シェアサイクル:他の人と自転車をシェア (共有)し、必要なタイミングで自転車を利用するための仕組みや方法のこと。 シェアサイクルは都市部を中心に展開していて、さまざまな場所に設置してあるサイクルポート(駐輪場)で自転車を借りることができる。 新しいサービスなのでいくつか呼び方があり、 自転車シェアリング、コミュニティサイクル、サイクルシェア、都市型レンタサイクルとも呼ばれる。
(注6)電動アシスト自転車:電動機(モーター)により人力を補助する自転車。搭乗者がペダルをこがなければ走行しない。 モーター単体のみで自走可能な自転車は電動自転車と呼ぶ。
(注7)サイクリングマップ:サイクリング用の本・地図類。amazonで「サイクリングマップ」と検索すると49件の「大型本、単行本、ムック本(雑誌のような作りをした単行本)・電子書籍・雑誌・地図・資料が検索できる。
(注8)日本経済新聞2022年11月26日(41面)に掲載された図表「①「関東・山梨の自転車分担率」、(図表1、注7)」。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年11月26日(41面)。
[付記]2023年2月13日。


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