[日本再生]「地域創生」東京新宿区 おもちゃの美術館住民集う 2023年2月20日 歌舞伎町吉本興業と大衆文化再興へ
- honchikojisitenji
- 2023年2月21日
- 読了時間: 7分
続木 碧(つづき あお) 2023年2月(研究報告№044)
「巻頭の一言」
「廃校校舎を地域活性化の基点基地に変身させる動き」の第2稿です。
「地域創生」東京新宿区 おもちゃの美術館住民集う 歌舞伎町吉本興業と大衆文化再興へ
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」東京新宿区 おもちゃの美術館住民集う 歌舞伎町吉本興業と大衆文化再興へ
ここでは日本経済新聞の2023年1月7日35面の記事を紹介します。
[はじめに]
関東・山梨の8都県で廃校の活用が進んでいます。市町村合併と小子化を背景に、廃校が増えたものの、東京都心に近い立地と自然環境を生かし、観光施設や高齢化住宅を整備したり、オフィスに転用したりして雇用を生み出す事例が続出しています。子供たちの学びの場が、観光客や高齢者が集う新たなコミュニティに生れ変わりつつあります。(参考資料1、2023年1月7日の日本経済新聞の35面(刈谷直政、本田幸久、仲村宗則、鈴木菜月)を参照引用して記述)。
[東京都新宿区]
東京都新宿区では、学校の統廃合で100年の歴史に幕を閉じた旧四谷第四小学校が交流施設「四谷ひろば」へと生れ変わりました。地域住民中心のボランティアらで構成する協議会が管理運営をしています。世代を超えた交流の場にと「東京おもちゃ美術館(注1)」を誘致しました。
新宿区は旧四谷第五小学校にも、歌舞伎町の大衆文化を再興させる事業の一環で、吉本興業東京本部と関連会社を誘致しています(注2)。区の担当者は「発言力や想像力、コンテンツが区政に大きく寄与している」と話しています。平素、プロの芸能人と話す吉本興業の人達が、住民と直接話し合うのは異例ですが、これは大きな効果を生んでいるようです。住民の発想が豊かになり、発言力も見事に成長しました。
[山梨県 北斗市]
廃校活用率が全国第1位の山梨県では、北斗市が地域の合意を得て、廃校をきめ細かく活用する制度を設けています。廃校を活用する企業・団体の選定では、北斗市と地域との協調関係の構築と事業の安定性を、重要な評価項目として審査しています。
選定された地元NPOが運営するのが「八ヶ岳コモンズ」です。教室はコワーキングスペース(注3)に、また屋内プールはスケートボードパーク(注6)に生れ変わりました。理科室は家具メーカー「ナハティガル」の工房兼本社となりました。ナハティガルの梶本聖貴社長は「元理科室だから水回りが充実していて助かる」と話しています。
[群馬県高崎市]
群馬県高崎市は、2018年4月、過疎化で廃校となった小学校の跡地に木造2階建ての山村留学施設「くらぶち英語村」を開きました。県内外の小中学生が1年間、保護者のもとを離れて英語を母国語とするスタッフと共同生活をしながら、農作業やハイキングなどの課外活動を通して「生きた英語」を学んでいます。
英語村のある倉淵地区は、2006年に高崎市に編入された旧倉渕村の山間部の地域です。現在は東京や大阪などから集まった5期生22人が地元の小中学校に通いながら施設で共同生活を送っています。
年間100万円程度の費用がかかりますが、入学倍率は5倍に達する程の人気で、「全国各地から視察も相次いでいる」と担当者は話しています。
[神奈川県 相模原市]
少子化による廃校は、首都圏でも例外ではないのです。神奈川県の最も北西に位置する相模原市の旧藤野町は、山に囲まれた自然豊かな里山地域です。開校130年の篠原小学校が廃校となり、地元住民らでつくるNPO法人「篠原の里」が、2005年から活用しており、宿泊研修施設と認定保育園を運営しています。
2021年度の施設利用者は2200人、宿泊者数は260人でした。東京から利用客も多いのです。ホタルの観察のほか、バーべューや石窯を使ったパン・ピザ作りが人気です。地元住民のサークル活動の拠点としても使われており「地域の中心施設」となっています。
[栃木県那須町]
自然豊かな栃木県那須町で、廃校を活用したコミュニティづくりが着々と進んでいます。高齢者住宅の整備・運営をする会社「那須まちづくり」が2016年に廃校となった旧朝日小学校を町から借り、子供や高齢者、障害者ら老若男女が楽しく暮らせる施設を整備中です。
校庭に建設した49戸の高齢者向け住宅「ひろばの家・那須1」を核に、介護サービスを受けられる「ひろばの家・那須2」や、終末期を過ごす「みとりえ」など、健康状態に応じて移れる施設を設けました。
映画の上映やコンサートを開けるホール、食事を提供するカフエ、野菜などを販売するマルシェ(注7)などは、校舎を改修して整備しました。ひろばの家・那須1は40戸が契約済みで1月下旬から入居が始まります。
那須町では、ほかにも廃校を学童施設や福祉施設、アートと観光の複合施設に転用しています。「新たな雇用を生み出すとともに、地元の住民も利用できる施設にしたい」と那須町総務課は言っています。
(参考資料1、2023年1月7日の日本経済新聞の35面(刈谷直政、本田幸久、仲村宗則、鈴木菜月)を参照引用して記述)。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年1月7日の日本経済新聞35面の記事には一つの図表が記載されていました。①関東・山梨8都県の廃校活用率 (図表1、注8)。
図表1(注8)は「関東・山梨8都県の廃校活用率」と題した表です。これを以下に示します。
図表1 関東・山梨8都県の廃校活用率
全国の順位 都県 廃校活用率
1位 山梨県 84(%)
3 栃木県 81
5 神奈川県 79
8 群馬県 75
11 埼玉県 72
22 茨城県 65
28 東京都 63
40 千葉県 59
(注)2002~2022年度に発生した廃校で活用されている施設。
文部科学省の統計を基に自治体にヒヤリングした。順位は全国ランキング。
この図表を見渡してみますと、関東・山梨8都県で、いつも上位を維持している首都圏の4都県、東京、神奈川、埼玉、千葉が、総じて下位に沈んでいます。特に、千葉が最下位だったケースはあまり前例がありません。
千葉は多くのテーマで首位や上位を維持していました。渾身の力を振り絞っていたテーマも多かったのです。それで、この廃校活用については、手が回らなかったのかもしれません。
でも、前報で述べましたように、わが国にとってこれは、きわめて重大な難問です。今、大いに力をいれて頑張ってもらわねばならない課題なのです。先稿並びに本稿で報告した各地の成功例を丁寧に参照して、是非、頑張ってください。この難問は、全国のみんなで、力を合わせて頑張らねばならないことなのです。どうかよろしくお願いいたします。(参考資料2、2023年1月7日の日本経済新聞の35面((刈谷直政、本田幸久、仲村宗則、鈴木菜月)を参照引用して記述)。
(注2)東京都新宿区と吉本興業:吉本興業の東京本部の住所は東京都新宿区新宿5丁目18番21号 旧新宿区四谷第五小学校:新宿区役所第二分庁舎分館。
(注3)コワーキングスペース:複数人での打ち合わせに適したスペースや会議室が準備される。インターネットを利用するための、Wi-Fi環境(注4)、複写機、プリンターなどが提供される。コワーキングスペースの語は、本来は、Wi-Fi等を共有しつつ、利用者が、それぞれ自分の作業環境とすることを指す。多くのコワーキングスペースはフリーアドレス制となっており、利用者は空いているブース(机等)を利用して作業を行う。コワーキングスペースは、フリーランス(注5)で働く人や起業したばかりの会社が、オフィス代わりに利用するケースが一般的であった。しかし、近年は企業の従業員が利用する場面が増加している。具体的には、在宅勤務やテレワークの際、自宅等に落ち着いて作業できるスペースがないため、自宅近くにあるコワーキングスペースを利用する使い方が増大している。
(注4)Wi-Fi環境:無線LANの規格のひとつ。 インターネットは有線で引くのが一般的であるが、それを無線で通信する際に使う通信規格のこと。無線LAN:無線通信を利用して構築されるLAN。LAN(Local Area Network):構内情報通信網。
(注6)スケートボード:アメリカを始め、世界各国の若者などに絶大な人気のあるスポーツ。そのファッション性などから若者文化に多大な影響を与えている。 最近ではTVのCMなどでもスケートボードの映像が使われ、一般的な認知も得られてきた。 発祥の地、アメリカではストリートスポーツ専用の施設「スケートパーク」が数多く建設されており、老若男女を問わず多くの愛好者が技術の向上や健康維持、コミュニケーションの場として活用している。スケートボードパーク:スケートボードを行う競技場。
(注7)マルシェ:「市場」を意味するフランス語。 フランスでは、農家が採りたての新鮮な野菜やフルーツ、ハンドメイド雑貨や絵画までマルシェで直接販売する。
(注8)日本経済新聞2023年1月7日(35面)に掲載された図表「①関東・山梨8都県の廃校活用率、(図表1、注8)」。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2023年1月7日(35面)。
[付記]2023年2月20日。


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