[日本再生]「地域創生」少子高齢化が加速する中 全国の自治体が「子育て世代に選ばれる街づくり」に注力し始めた 2023年2月3日 日経の「サービスの手厚さの採点・調査」で東京豊島区が首位になった
- honchikojisitenji
- 2023年2月3日
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続木 碧(つづき あお) 2023年2月(研究報告№040)
「巻頭の一言」
日本国は、「人口減少」で、いよいよ、沈没する危機に直面したと思われていました。今年の出生数は、予想を下回り、過去最少になる見込みだからです。こんな中で、嬉しいことに、とても希望を持てる動きが、各地で広がってきたのです。全国各地で、「子育てする世代に選ばれる街づくり」の進展が、具体的に始まっていたのです。
その実態を、きめ細かく知ろうと日本経済新聞と「日経xwoman」が、共同で丁寧な調査をしてくれました。そして「子育て世代に選ばれる街づくり」が具体的に進展している市町が具体的に、浮かび上がってきたのです。そこで、これについて2編続けて調査研究を発信します。
「地域創生」少子高齢化が加速する中 全国の自治体が子育て世代に選ばれる街づくりに注力し始めた 日経のサービスの手厚さの採点・調査で東京豊島区が首位になった
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」少子高齢化が加速する中 全国の自治体が子育て世代に選ばれる街づくりに注力し始めた 日経のサービスの手厚さの採点・調査で東京豊島区が首位になった
ここでは日本経済新聞の2022年12月24日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
少子高齢化が加速する中、全国の自治体が子育て世代に選ばれる街づくりに注力し始めました。支援の中心は、従来の「量」の拡充から「質」の向上へ移り、女性の就労支援やテレワークワーク(注1)環境整備といったワークライフバランス(注2)の推進が重要になってきました。日本経済新聞社と「日経xwoman」が主要都市をサービスの手厚さなどで分析・採点したところ、東京都豊島区が首位となりました。(参考資料1、2022年12月24日の日本経済新聞の2面(中川竹美、伴和砂、日経xwoman、飯島圭太郎、久保田智美)を参照引用して記述)
[主要都市のサービスの手厚さの調査]
調査は首都圏などの主要市区や政令指定都市、県庁所在地市、人口20万以上の180市区を対象に、2022年9~10月に実施し、165市区から回答を得ました。0歳児の認可保育所の入りやすさや子育て支援拠点数、キャリア支援など45項目をもとに、共働きで子育てしやすい街ランキングを作成しました。
この調査での第2位は、前回2021年の調査で首位だった千葉県松戸市でした。愛知県豊橋市、東京都羽村市、栃木県宇都宮市、三重県四日市市、奈良県奈良市がこれに続きました。2022年4月時点の待機児童ゼロ達成は6割に及び前年の5割から改善しました。
[東京都豊島区]
東京都豊島区は前回17位から首位に浮上しました。認可保育所の入りやすさや待機児童ゼロの達成など「量」への取り組みに加えて、在宅で子育てする家庭や出産を控えている家庭を対象に、子育ての悩みを保育園に相談できる「マイほいくえん」制度や、妊娠から就学期までを同じ保育師が担当する切れ目のない支援制度を設けるなど、「質」への取り組みに力をいれたことが奏効しました。区内で起業を目指す女性を支援するプロジェクトを立ち上げ、働く場を増やす取り組みも平行して進めています。
豊島区は「女性にやさしいまちづくり」を重点事業に掲げています。日本創生会議が2014年に公表した「消滅可能性都市」に東京23区で唯一挙げられたことで、高野之夫区長は「子育てしやすい街を作ろうと奮起した」と振り返っています。2021年度の20~30歳代の女性人口は1999年比8800人増加するなど、施設充実が新たな子育て世代を呼び込むことにつながっています。
[千葉県松戸市]
千葉県松戸市は、コロナ禍でテレワークが浸透したことを踏まえ、支援策を充実させました。孤独を感じる人が増えていることを受け、親子が集まれる「おやこDE広場」や送迎保育拠点を活用し、託児所付きのコワーキングスペース(注3)を5カ所設けました。子育てと仕事の両立を支援したのです。
最近、「質」の向上の取り組みとしては、不妊治療に対する自治体独自の助成が広がっています。国は、2022年4月に、公的医療保険の適用範囲を拡大しましたが、一方で高額な「体外受精」などを対象に1回当たり最大30万円を助成していた従来の制度を原則廃止したことなどから、治療費が高くなった世帯も少なくないのです。松戸市は、これに対する対策を鋭意検討しています。
[栃木県宇都宮市]
この調査で5位だった栃木県宇都宮市は、45万円を上限に初回治療の自己負担を助成するなど、手厚い支援制度を設けています。2回目以降は保険適用外の一部治療に30万円を上限に7割助成します。
宇都宮市の担当者は「経済的な負担軽減で夫婦を後押ししたい」と話しています。このような助成は、規模はそれぞれ異なるものの、今、全国に広がっています。このような支援制度を設けている自治体は50.9%に上っています。
[この項のまとめ]
国内で2022年度の出生数が80万人を割り込む見通しとなるなど、少子化が想定を上回るペースで進んでいます。今回の調査で、保育所の整備に向けた最大の課題として最も多かった回答は「需用予測が難しい」でした。全体の40.7%が、このように回答していました。
また、この調査で9位だった北九州市は、「待機児童が発生する地域が依然としてある一方、定員割れの保育所も少なからず存在する。バランスをどう取るかが課題だ」と指摘しています。そうなのです。全体のバランスを徹底的に検討することが極めて重要なのです。(参考資料1、2022年12月24日の日本経済新聞の2面(中川竹美、伴和砂、日経xwoman、飯島圭太郎、久保田智美)を参照引用して記述)
[まとめ]
この研究報告の執筆で参考引用した2022年12月24日の日本経済新聞2面の記事には二つの図表が記載されていました。①2022共働き子育てしやすい街ランキング 図表1、注6)。②上位自治体の子育て支援の例(図表2、注7)。
図表1(注6)では、「2022共働き子育てしやすい街ランキング」と題し、日本経済新聞社と「日経xwoman」が、主要都市のサービスの手厚さなどを分析・採点した結果、ベスト20となった都市を、得点の多い順に表に表記していました。以下にこれを示します。
図表1 2022共働き子育てしやすい街ランキング
自治体 得点
1 東京都豊島区 83
2 千葉県松戸市 81
3 愛知県豊橋市 80
4 東京都羽村市 79
5 栃木県宇都宮市 78
6 三重県四日市市 74
6 奈良県奈良市 74
8 東京都板橋区 73
9 東京都葛飾区 72
9 大阪府堺市 72
9 福岡県北九州市 72
12 宮城県仙台市 71
12 東京都青梅市 71
12 神奈川県厚木市 71
12 大分県大分市 71
16 福島県福島市 70
16 東京都中野区 70
16 神奈川県秦野市 70
16 新潟県新潟市 70
16 三重県鈴鹿市 70
図表2(注7)では、「上位自治体の子育て支援の例」と題して、ここで上位を占めた6市区について子育て支援の実例を列記していました。以下示します。
図表2 上位自治体の子育て支援の例
東京都豊島区 出産前から子育ての悩みなどを、指定保育園に相談できる「マイほいくえん」制度を整備。
千葉県松戸市 働きやすい環境整備に向け、一時預かり所併設のコワーキングスペース(注3)を5カ所設置。
愛知県豊橋市 市独自で設定した「歩いて暮らせるまち区域」に移住した人に固定資産相当額を補助金と子育て奨励金を交付。
東京都羽村市 学童保育の質向上に向け、希望者に対し、夏休みなど長期休業中に昼食の配食サービスを実施。
栃木県宇都宮市 不妊治療の助成制度を充実させ、国の保険適用外となった一部治療に対しても支給。
三重県四日市市 国基準よりも対処を広げ、0~2歳の第3子以降の保育料を無償化。
(参考資料1、2022年12月17日の日本経済新聞の45面(牛山知也,鈴木菜月、仲村宗則、岩崎貴行)を参照引用して記述)
(注1)テレワーク(telework):勤労形態の一種で、情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語。在宅勤務、モバイルワーク、リモートワーク、とも呼ばれる。
(注2) ワークライフバランス:これには2つの概念がある。①ファミリーフレンドリーと②男女均等推進である。ファミリーフレンドリー:仕事と家庭の両立への支援のこと。家庭と仕事の両立ができるような育児や介護を実現させるための環境整備。男女均等推進:性別による差別を受けず、能力に応じた平等な機会を与えることを目的としている。国も仕事と家庭の両立の支援に力を入れている。
(注3) コワーキングスペース:複数人での打ち合わせに適したスペースや会議室が準備される。インターネットを利用するための、Wi-Fi環境(注4)、複写機、プリンターなどが提供される。コワーキングスペースの語は、本来は、これらを共有しつつ、利用者がそれぞれ自分の作業を行うための環境を指す。多くのコワーキングスペースはフリーアドレス制となっており、利用者は空いているブース(机等)を利用して作業を行う。コワーキングスペースは、フリーランス(注5)で働く人や起業したばかりの会社が、オフィス代わりに利用するケースが一般的であった。しかし、近年は企業の従業員が利用する場面が増加している。具体的には、在宅勤務やテレワークの際、自宅等に落ち着いて作業できるスペースがないため、自宅近くにあるコワーキングスペースを利用する使い方が増大している。
(注4)Wi-Fi:無線LANの規格のひとつ。 インターネットは有線で引くのが一般的である が、それを無線で通信する際に使う通信規格のこと。無線LAN:無線通信を利用して構築されるLAN。LAN(Local Area Network):構内情報通信網。
(注7)日本経済新聞2022年12月24日(2面)に掲載された図表「②上位自治体の子育て支援の例(図表2、注7)」。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年12月24日(2面)。
[付記]2023年2月3日。


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