[日本再生]「地域創生」子ども中心に交流の輪 2023年5月8日 神奈川・YKSホワイトキングス新設 ベイサイドリーグ始動 野球教室や通学路見守り
- honchikojisitenji
- 2023年5月6日
- 読了時間: 7分
続木 碧(つづき あお) 2023年5月(研究報告№065)
「巻頭の一言」
この研究報告は、「野球中心で地域創生を進める」研究報告の第2弾です。
「地域創生」子ども中心に交流の輪 神奈川・YKSホワイトキングス新設 ベイサイドリーグ始動 野球教室や通学路見守り
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」子ども中心に交流の輪 神奈川・YKSホワイトキングス新設 ベイサイドリーグ始動 野球教室や通学路見守り
[はじめに]
球春到来です。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC、注1)日本代表優勝の余韻が続くなか、日本のプロ野球も開幕しました。新型コロナウイルス禍で、2020年以降は観戦率が落ち込みましたが、2022年は回復が見られました。関東・山梨では、独立リーグ(注3)に加盟する球団の活躍も、人気回復の原動力なのです。ここでも野球を主軸に据えた街づくりが進んでいます。2023年4月8日の日本経済新聞の33面(刈谷直政、田原悠太郎、荒牧寛仁、二村俊太郎)を参照引用して記述。
[野球観戦率、2022年は4都県が二桁台に回復]
コロナ禍で野球界は逆風に見舞われました。日本野球機構(NPB、注2)の人気球団が集まる関東は影響が大きく、2021年8都県の観戦率(注6)は1ケタ台に落ち込みました。でも、観客数の制限が緩和された2022年は軒並み上向き、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の4都県が二桁台を回復しました。山梨県と群馬県はコロナ拡大前の2019年の観戦率を上回りました。人気回復には、日本野球機構(NPB、注2)だけでなく、独立リーグ(注3)も貢献しているのです。
[栃木県]
2023年3月12日、栃木県足利市にある野球場で、栃木県ゴールデンブレーブス(GB、注10)の今年初の対外試合が開催されました。序盤こそ選手の動きに硬さも見られましたが、終盤に打線が爆発し、勝利を収めました。観客席から熱烈な拍手や声援が送られて、人気の髙さをうかがわせました。
同球団は人材派遣のエイジック(東京・新宿)が2016年に創設しました。2017年から独立リーグのルートインBCリーグ(注4及び注3(2))で戦いが始まりました。これは野球人口の拡大と地域振興が狙いでした。
また、このチームは、ファンの高い人気を保有する選手を積極的に採用しました。福岡ソフトバンクなどで活躍した川崎宗則選手や、お笑いタレントとの「二刀流」で知られる高岸宏行選手を獲得しました。同社は選手のセカンドキャリア(注5)の支援にも力を入れています。日本野球機構(NPB、注2)の経験者らがコーチを務める「ベースボールアカデミー」を開設しました。大勢の子ども達がプロ野球選手を目指します。
[群馬県]
ルートインBCリーグ(注3、(2))の北地区所属の群馬ダイヤモンドペガサスは、球団の発信力を生かして、群馬県内の企業を紹介する活動を2021年から開始しました。県内企業の製品を選手が使ったり、試合会場で発売したりして、群馬企業の認知度向上を後押ししました。
2023年4月6日には、靴の高機能インソール(中敷き)製造のBMZ(群馬県みなかみ町)と連携協定を締結しました。試合場で観客にBMZ製サンダルを販売するほか、球団のホームページでも宣伝しました。
球団を運営する群馬スポーツマネジメント(高崎市)の糸井丈之会長は「群馬企業の魅力を高めていきたい」と意気込んでいます。
[埼玉県]
埼玉県は、快晴の割合が高く、野球観戦に適した地域です。2022年の観戦率(注6)は10.5%と高水準でした。ファンとの深い接点を作り、客足を取り戻しています。
埼玉西武ライオンズ(注7)は、所沢市に本拠地を構えて40年以上になります。西武鉄道沿線の住民らが熱い声援を送ります。2015年以降は埼玉県内55以上の自治体と連携協定をむすび、連携先の市民を対象に割引優待を導入するなどファン獲得に余念がありません。
2019年に182万人だった観客数は、コロナの感染拡大で2020年には30万人に落ち込みましたが、2022年には、120万人まで回復しました。今年は2007年以来のテレビCM放映を再開して、野球観戦の経験の少ないファン層も取り込もうとしています。
埼玉県にも独立リーグ(注3)のチームは沢山あります。熊谷市を本拠地とする埼玉武蔵ヒートベアーズ(注3、(2))は、その代表例で、スポンサー企業と野球教室やイベントを開き、地域密着に徹しています。「NPB(日本野球機構、注2)と比べ、ファンと選手の距離の近さが武器です」と、同社の松山浩隆常務取締役は述べています。
同球団の収入は、企業からの後援が中心です。コロナ禍で始まった無観客試合では、オンライン中継で広告を流すなどして、スポンサー離れを防いでいました。これによってファンクラブの会員数はコロナ禍前よりも増えたのです。
[神奈川県、千葉県]
関東では2023年度から新たな独立リーグ「ベイサイドリーグ、注3、(8)」も本格的に立ち上がりました。神奈川県が地盤のYKSホワイトキングス(注7)、千葉県船橋市などで活躍する千葉スカイセイフーズ(注8)の2球団が新たに新設されました。
YKSホワイトキングスでは、2023年4~9月に、神奈川県海老名市や綾瀬市、千葉県船橋市や市原市などで40試合を開催します。
[この項のまとめ]
日本野球機構(NPB)では、2軍チームを増やす動きもあります。栃木GB(注10)はNPBの2軍リーグへの参入に意欲をみせています。これが実現すればさらなるファンの獲得が期待できそうです。2023年4月8日の日本経済新聞の33面(刈谷直政、田原悠太郎、荒牧寛仁、二村俊太郎)を参照引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年4月8日の日本経済新聞33面の記事には、一つの図表が記載されていました。「①プロ野球の観戦率(%)」図表1、注10。(注)出所はスポーツ庁。
[図表1]
図表1(注11)は「プロ野球の観戦率(%、注6)」と題した表でした。この表には、2018年から2022年までの5年間のプロ野球の観戦率(%)が記してありました。以下にこの表を記します。
表1 プロ野球の観戦率(%)
都県 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
山梨県 7.6(%) 6.9(%) 4.9(%) 5.4(%) 8.2(%)
群馬県 6.3 7.0 7.4 2.1 8.2
栃木県 5.9 8.2 3.1 5.0 6.5
埼玉県 13.2 12.3 9.4 6.6 10.5
神奈川県 14.0 13.6 11.0 6.7 11.5
茨城県 5.4 8.5 4.9 3.8 6.0
千葉県 13.0 14.0 12.1 6.6 11.5
東京都 14.6 14.6 11.3 8.0 11.8
(出所)スボーツ庁。
2023年4月8日の日本経済新聞の33面(刈谷直政、田原悠太郎、荒牧寛仁、二村俊太郎)を参照引用して記述。
(注1)ワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball Classic、略称:WBC):メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会により立ち上げられたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)が主催する、世界野球ソフトボール連盟公認の野球の国・地域別対抗戦で、かつ、世界一決定戦。
(注2)日本野球機構(Nippon Professional Baseball Organization、略称:NPB):、日本プロ野球のJERAセントラルリーグ(セリーグ)及びパーソル パシフィック・リーグ(パリーグ)を統括する文部科学省スポーツ・青少年局所管であった独立リーグである。一般に日本国内で、「プロ野球」は日本野球機構が統括するものを指す。
(注3)独立リーグ: 日本野球機構以外の独立した野球リーグの総称。一時は、日本野球機構と対等の立場をめざしたものもあり、極めて多種・多様であり、整理して示すのは難しい。
現在、活躍中の独立リーグは、以下の8リーグである。
(1)四国アイランドリーグplus(2005年設立)
(2)ベースボール・チャレンジ・リーグ (2007年設立、命名権による通称は「ルートインBCリー
(3)関西独立リーグ (2代目)(2014年設立、2018年シーズンまでの名称は「BASEBALL FIRST LEAGUE」(ベースボール・ファースト・リーグ)。2020年からは命名権による「さわかみ関西独立リーグ」 の名称を使用)
(4)北海道ベースボールリーグ(2020年設立)
(5)九州アジアリーグ(2021年設立、命名権による通称は「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」)
(6)北海道フロンティアリーグ(2022年設立)
(7)ベイサイドリーグ(2022年設立、2022年の名称は「日本海オセアンリーグ」)
(8)日本海リーグ(2023年設立)(注4) ルートインBCリーグ
(注4)ルートインBCリーグ:注3(2)
(注5)セカンドキャリア:「第二の人生における職業」への転職のこと。キャリアチェンジのこと。
(注6)観戦率:特定のもの、条件での観戦の割合。(例)男性の観戦率:男性が観戦した割合。メディアによる観戦率。直接観戦率:過去1年間に体育館・スタジアム等へ足を運んで直接スポーツを観戦した割合。
(注7)埼玉西武ライオンズ(Saitama Seibu Lions):日本のプロ野球球団、パシフィック・リーグに所属している。埼玉県をフランチャイズとし、所沢市にあるベルーナドームを本拠地、埼玉県さいたま市大宮区にある埼玉県営大宮公園野球場を準本拠地としている。1950年のリーグ分裂時、福岡市に本拠地を置き西日本鉄道(西鉄)を親会社とする西鉄クリッパースとして発足。翌年に西鉄ライオンズと改称し、1972年に西鉄が撤退したあと1973年から1978年までは福岡野球の運営でチーム名が太平洋クラブライオンズ→クラウンライターライオンズと変遷した。その後西武グループに買収され、1979年から本拠地を所沢市に移して西武ライオンズとなり、2008年からは球団名を埼玉西武ライオンズに変更し現在に至る。
(注10)栃木GB=栃木ゴールデンブレーブス(Tochigi Golden Braves): 独立リーグ・ベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ、注4)に所属する栃木県のプロ野球チーム。2016年加盟。
(注11)日本経済新聞2023年4月8日33面に掲載された図表1「プロ野球観戦率(%)(注)出所はスボーツ庁。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年4月8日(33面)。
[付記]2023年5月8日


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