日本再生]「地域創生」地域サッカー熱極めて強く、世界との差を縮める 2023年1月16日 地域のサッカー熱を牽引する佐賀県 特産品・バス代「応援の輪」 観客を動員し5人に一人は観戦
- honchikojisitenji
- 2023年1月17日
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続木 碧(つづき あお) 2023年1月(研究報告№035)
「巻頭の一言」
サッカーワールドカップカタール大会は、日本チームが強敵を次々となぎ倒し、日本人は等しく興奮しました。私が研究報告の執筆において、参照引用している日本経済新聞が、これを取り上げていましたので、今日はこれを読んで報告します。
これを読みますと、日本国内のプロサッカーリーグでも、各チームが激しい闘いを繰り広げていました。日本国民も、それぞれ好みのチームを応援して、強烈な熱狂の渦の中にいました。この平素からの大熱狂が、先日のワールドカップ時の大興奮の渦につながっていたのです。国民のこの後押しが、チームの大健闘につながったのです。
「地域創生」地域サッカー熱が極めて強く、世界との差を縮める 地域のサッカー熱を牽引する佐賀県 特産品・バス代「応援の輪」 観客を動員し5人に一人は観戦
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」地域サッカー熱が極めて強く、世界との差を縮める 地域のサッカー熱を牽引する佐賀県 特産品・バス代「応援の輪」 観客を動員し5人に一人は観戦
ここでは日本経済新聞の2022年12月3日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は連続の決勝トーナメント進出を決めました。かって、「手が届かなかった夢舞台」でしたが、「常時出場できるレベルに実力を高める」ことを狙い1993年に結集したJリーグが、この土台を作ったのです。Jリーグのクラブ数も今や58に拡大しています。佐賀県や山口県が先頭に立ち、各地がまちづくりと一体になった活動を進めています。(参考資料1、2022年12月3日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、諸岡良宣、古宇田光敏)を参照引用して記述)
[Jリーグの設立趣旨]
Jリーグの設立時には、その設立趣旨は「レベルの向上」「スポーツ文化醸成」「地域に根差すホームタウン制を基本に、住民が心ゆくまで、トップレベルのサッカーと触れ合えるようにする」でした。日本経済新聞は、各地のサッカー熱を測るため、都道府県別で2022年時点の人口に占める観客動員数(複数チームがある場合は合算)を算出しました。この結果、トップは19.6%の佐賀県でした。佐賀県では住民の5人に一人は観戦していたことになるのです。
[佐賀県]
佐賀県は2004年、チームを核として地域振興を図ろうとして、全20市町と協議会を立ち上げました。鳥栖市のホーム競技場に足を運ぶサポーターに、イチゴやコメなど特産品を配ったり、県民が20人以上で応援する場合は、貸し切りバスのバス代金を補助したりと、入場者を増やす取り組みを続けました。
民間にも応援の輪が広がり、隣県の福岡県久留米市に生産拠点があるブリジストンは「スタジアムを満員に」の目標を掲げ、2007年から冠試合を開催しました。今シーズンのホーム試合のほとんどで、地元企業や自治体がマッチスポンサーとなりチームを支えています。
この支援は実を結び、ホーム試合の平均入場者数は、2019年に1万5000人になり、15年前と比べて4倍に増加しています。
[山口県]
一方、クラブ別の「人口に占める観客動員数の増減」を調べてみますと、現在の形のリーグ制になった2014年比の増減で、増加率が最も大きかったのは、J2・レノファ山口で24.5ポイント増でした。当初は山口市中心に活動していましたが、2017年に、県内19市町をホームタウンに設定したところ、ファンが一気に拡大しました。
チームも、各市町に選手を割り当て、サッカー教室やトークショーなどに派遣しています。ホーム試合では特産品販売や観光案内など、自治体のPRの場としても活用しています。山口県は、2019年に実施した、Jリーグのスタジアム観戦者調査で、家族で来場する割合が、67.1%と、最も高い地域となりました。
[顧客動員1000万人を超える]
Jリーグは開幕当初のブームが去って、次第に観客動員数が落ち込みましたが、丁度この頃、地域密着型の応援が根付いたことで、盛り返しました。2019年には1040万人と、始めて1000万人の大台を超えたのです。サッカーチームが活躍すれば、経済面でも効果は大きいのです。松本山雅FCは、J1昇格を果たした2019年には、地元長野県松本市への波及効果が64億円に達しました。(参考資料1、2022年12月3日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、諸岡良宣、古宇田光敏)を参照引用して記述)
[まとめ]
この研究報告の執筆で参考引用した2022年12月3日の日本経済新聞2面の記事に、は三つの図表が記載されていました。①人口に占めるJリーグとJFLサッカー観客数の割合 (図表1、注1)。②人口に占める観客数が増えた地域(図表2、注2)。③Jリーグ観客総数(図表3)。
図表1(注1)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2022年のサッカー観客入場者数の各地(都道府県別)の人口に対する入場者数の割合が、青色の濃淡で塗り分けて示してありました。
サッカー入場者数が、各地(都道府県)の人口に対する割合が最も多かった処は15%以上の処で、最も濃い青色(黒青色)で示してありました。このランク1の処は、佐賀県で一カ所でした。
次に入場者が多いランク2の処は、12%以上15%未満の処で、山形、新潟、山梨、静岡、徳島、大分の6県でした。
さらに次の第三ランクは、8%以上12%未満の処で、 宮城、茨城、神奈川、長野、岐阜、三重、奈良、香川、高知、福岡、宮崎の11県でした。
結局、この合計18県が、サッカーと地域のコミュニティの連携を拡大できた、観客数が多い地域(都道府県)なのです。この図表を概観して見ますと、サッカーで多く観客を集めている自治体(都道府県)は、全国に広く分布しています。サッカーの地域住民への浸透は順調に全国に展開しているのです。
図表2(注2)には、人口に占める観客数が増えたサッカーチームのベスト5の、チーム名、都道府県、人口に占める顧客数の増加ポイントが表に表記してありました。これを以下に示します。
図表2 人口に占める観客数が増えた地域(注2)
チーム名(2022年所属) 都道府県(ホームタウン) 人口に占める観客数増加ポイント FC今治(J3) 愛媛県今治市 26.0
レノファ山口(J2) 山口県山口市など全県 24.5
ヴィアンティン三重(JFL) 三重(桑名市など) 19.3
鈴鹿ポイントゲッタース (JFJ) 三重(鈴鹿市) 17.7
FC琉球(J2) 沖縄(沖縄市など全県) 11.3
(注)Jリーグ公式データとJFL公式記録から算出(2014年の所属がJFLより下の場合は参考値)、人口はメインのホームタウンの国勢調査(2020年、2015年)
この表を良く見てみますと、今、観客数を増やしているプロサッカーリーグは、プロサッカーの中心チームが揃っているJ1ではないのです。今、観客動員数の増加を牽引しているのは、J2以下のホームタウンが中心であり、JFJの健闘も目立つのです。すなわち、日本のプロサッカーは、今、下から底上げして来る理想的な姿なのです。今後に向けて成長を続けていく芽が着実に育っています。今後の日本のプロサッカーの観客動員率の増加を支えてくれるのも、J2、JFJのホームタウンに集う人達になってくることが、とても期待できるのです。
これは日本の未来にむけての大きな期待です。すなわち、これは日本社会が今後継続的に活性化を続けて行く上で、サッカーが強い力になってくれることを、暗示してくれていると思えるからです。結局、日本社会の未来の持続的な拡大のために、サッカーを始めとした市民スポーツの振興が、きわめて重要であることは、とても明確です。(参考資料1、2022年12月3日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、諸岡良宣、古宇田光敏)を参照引用して記述)
(注1)日本経済新聞2022年12月3日(2面)に掲載された図表「①人口に占めるJリーグとJFLサッカー観客数の割合 (図表1、注1)。(注)2022年入場者数をJリーグ公式データとJFL公式記録から算出。人口は2020年国勢調査。福井、和歌山はJFL以上のチームがないため観客数データ無し
(注2)日本経済新聞2022年12月3日(2面)に掲載された図表「②人口に占める観客数が増えた地域(図表2、注2)。(注記)Jリーグ公式データとJFL公式記録から算出(2014年の所属がJFLより下の場合は参考値)、人口はメインのホームタウンの国勢調査(2020年、2015年)
(注3)サッカーチームFC今治(J3):1976年に大西サッカークラブとして創設。愛媛FCの下部組織「愛媛FCしまなみ」時代を経て、2012年からFC今治にチーム名を変更。2014年11月に日本代表元監督の岡田武史が代表に就任。2016年にJリーグ百年構想クラブとして承認され、2020年にJリーグに入会。ホームスタジアムは今治新都市にある「ありがとうサービス. 夢スタジアム」である。
(注4)サッカーチームレノファ山口(J2):1949年創設の「山口県サッカー教員団」を起源とし、2006年にクラブチーム化して発足。クラブ名称の「レノファ」は、英語の「renovation(維新)」の頭文字「レノ」と「fight(戦う)」の「ファ」を合わせて作られた造語。「山口県民に愛され、山口県民へ感動・勇気・元気を与える山口県民による真の地元クラブを創造する」ことをチーム理念としている。運営母体は2006年から2010年までは任意団体「レノファ山口FC」、2011年から2013年は「特定非営利活動法人山口アスレチッククラブ」(YAC)、2014年以降は「株式会社レノファ山口」。ホームタウンは、Jリーグ準加盟時は「山口市を中心とする山口県全県」であったが、2017年3月21日付で県内全19市町がホームタウンとして登録された。
(注5)サッカーチームヴィアンティン三重(JFL): Jリーグ百年構想の趣旨に賛同するサッカークラブとして2012に設立された。「ヴィアティン」とはオランダ語で「14」を示す言葉であり、クラブ設立前に視察をした、三世代が集まるオランダのスポーツコミュニティを手本とすることを念頭に置いていた。ホームタウン創設当初は桑名市・四日市市を中心とする三重県全域としていたが、のちに亀山市・いなべ市・及び桑名郡木曽岬町・三重郡菰野町・朝日町の合計4市3町をホームタウンに制定。現在は2市5町で構成されている。なお、下部組織については「桑名市、四日市市を中心とした三重県全域」をホームタウンとしている。
(注6)サッカーチーム鈴鹿ポイントゲッタース (JFC):三重県名張市を拠点としていた「三重FCランポーレ」と、三重県鈴鹿市を拠点としていた「鈴鹿クラブ」が合併して2009年に「FC鈴鹿ランポーレ」として発足。2020年1月、メディア事業とコンサルティング営業を展開し、ポイントサイト「アメフリを 運営するエムフロとの間でネーミングスポンサー契約を締結。「あなたのポイントがクラブを強くする」をキャッチコピーに、ファン・サポーターが稼いだポイントが、クラブの運営費に還元される「ポイントサポータークラブ」とした。同年2月1日には、クラブ名を「鈴鹿ポイントゲッターズ」へ変更。
(注7)サッカーチームFC琉球(J2):沖縄市を中心とする沖縄県全県をホームタウンとする日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するサッカークラブ。2003年に創設。2013年にJリーグ準加盟クラブとして承認され、2014年にJリーグに入会。運営法人は琉球フットボールクラブ株式会社。クラブ名は沖縄本島を中心に存在した琉球王国に由来。チアリーディングチームは「琉球MBERZ」。試合前やハーフタイムでのパフォーマンスを通じて、ゲームや試合会場の盛り上げに貢献している。ホームスタジアムは沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年12月3日(2面)。
[付記]2023年1月16日。


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