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[日本再生]「地域創生」地図情報を統合 2023年3月27日 関東+山梨8都県 住民・事業者向け地区計画や防災関連掲載

  • honchikojisitenji
  • 2023年3月27日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2023年3月(研究報告№054)

「巻頭の一言」

 この研究報告は「統合型地理情報システム(GIS)による改革」の第2編です。


「地域創生」地図情報を統合 関東+山梨8都県 住民・事業者向け地区計画や防災関連掲載

 

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」地図情報を統合 関東+山梨8都県 住民・事業者向け地区計画や防災関連掲載

ここでは日本経済新聞の2023年2月11日39面の記事を紹介します。


[はじめに]

地図情報の共有化は首都圏でも拡がっています。統合型の地理情報システム(GIS、注1)を導入して情報を共有することで、自治体職員の業務の効率を大幅に改善しています。自治体のサイトを通じて住民や事業者にも、様々な地図情報を提供し、災害時や事業計画の立案など幅広い分野で役立っています。(2023年2月11日の日本経済新聞の39面(名波彰人、松隈美帆、篠原皐佑、出口広元)を参照引用して記述)。


[神奈川県川崎市]

この調査研究で、中核となる語である「統合型地理情報システム(GIS、注1)」と言う言葉を、まず、説明します。統合型の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)とは、自治体が使用する地図データについて、県の全ての原課(都市計画、道路、下水道、農地、固定資産など)が利用しているデータ(道路、街区、建物、河川など)を共用できる形に整備し、これを統合して活用するDX(注2)の構築・運用がなされる体制を整備しました、これがこの地図データです。

 日本経済新聞が、その活用度を測定するシステムを開発し測定したところ、関東・山梨の自治体では、川崎市が首位となり、全国でも7位に入りました。川崎市では、都市計画や開発指導支援、台帳管理など局ごとに分かれていた地図情報を統合し、2001年度から統合型GIS(注1)を運用しています。統合に伴うシステム開発費用は1億8000万円で、運用費用は3000万円です。全職員が閲覧可能で、変更があれば担当の職員が修正していきます。

 臨海部や武蔵小杉などで多くの再開発計画が進む川崎市では、全職員が地図情報を共有することで業務の効率化につながりました。例えば、道路や環境整備をする部署が、土地量の現況を把握する部署に問い合わせることは、必要なくなったのです。

 2006年度から市のサイトで、住民や事業者向けに地図情報「ガイドマップかわさき」の提供を始めました。用途地域や地区計画、自動体外式徐細動器(AED、注3)の設置場所、防災、生息する生き物の地図など、幅広い分野に及ぶデーターが検索出来ます。事業者が用途地域の確認などに利用するほか、2019年の台風19号の発生時には、避難所などを記した防災地図のアクセス数が1日平均2千件と通常時の17倍にも増えました。情報化施策推進室は「今後も市民や事業者に公開できる情報があれば拡充していきたい」としています。


[茨城県神栖市]

 県内の各自治体の活用度の平均点が、都道府県別で全国首位だった茨城県は、2008年に県と全44市町村が共同で使う統合形GIS(注1)を導入しました。道路工事など広範囲の自治体に関係する情報を地図上で人手や時間をかけずに共有します。導入の費用負担を軽くするため3億円の初期費用の半分を県が負担し、残りを市町村が、人口や面積に応じて負担しました。茨城県神栖市は県とのシステムのほかに、市独自の統合形GISで住民サービスを向上させています。東日本大震災で被害があった同市は、被害状況を地図上に表記できるシステムを構築し、調査の重複を防ぐことで、迅速に罹災証明書に反映できるようにしました。

 上下水道の復旧状況や仮説トイレの設置場所なども、GIS(注1)によって市役所内で共有しました。災害対策本部以外の応援職員でも、GISにアクセスすれば市民からの問い合わせに答えられるようにしました。


[埼玉県本庄市]

 2016年に、統合型GIS(注1)を導入した埼玉県本庄市は現在、1242件の地図情報を庁内に保有し、部署を越えて庁内で共有し、部署横断で活用しています。バス停留所間の距離計測や居住誘導区域内の人口算出、災害ハザードエリア(注4)の確認作業など、導入前なら、複数の資料を参照する必要のあった作業が効率的に確認できるようになりました。市の職員は「導入前に比べ、おおむね半分程度の作業で仕事が終わるようになった」と評価しています。

 都市計画の情報やバス停留所の位置、フリーWi-Fi(ワイファイ)(注5)が使える場所などを記した「ほんじょうマップ」を住民に公開してからは、電話や窓口での問い合わせが大きく減りました。


[千葉県流山市]

 千葉県流れ山市も庁内の業務改革だけでなく観光案内地図や近隣の介護施設を探すために地図として利用するなど、住民や事業者向けに幅広く活用しています。

 流れ山市は庁内のGIS活用を積極的に推進し、年に数回、GISの操作方法を学ぶ職員向けセミナーを実施しています。担当者は「毎回各部署から30人ほど参加し、庁内の関心の髙さを感じています」と話しています。(2023年2月11日の日本経済新聞の39面(名波彰人、松隈美帆、篠原皐佑、出口広元)を参照引用して記述)。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年2月11日の日本経済新聞39面の記事には、一つの図表が記載されていました。①統合型GIS活用度の高い自治体、(図表1、注6)と題し、関東・山梨の8都県の統合型GIS活用度の高い自治体について、活用度の評点の高い順に列記して示していました。これを以下に示します。


図表1 統合型GISの活用度が高い自治体


    全国順位       自治体名           活用度

     7         川崎市            128点

    10         茨城県石岡市         120

    10         茨城県常総市         120

    10         茨城県神栖市         120

    25         茨城県笠間市         112

    25         茨城県かすみがうら市     112

    25         埼玉県本庄市         112

    25         千葉県流山市         112

    25         東京都町田市         112

    40         埼玉県熊谷市         108

    40         神奈川県横須賀市       108


   (注)活用度は、利用している部署の数(最大18)と整備方法・活用

      状況(最大11項目)を掛け合わせて算出。出所は総務省。


 私は、この図表を見て以下のことを痛感しました。この図表は、関東・山梨8都県で、統合型GIS(注1)の活用度が高い自治体を列記してありますが、ここに出てきている自治体には、偏りがあります。茨城県の躍進が著しいのです。


 統合型GISの活用度の高い自治体(市区町村)11の内、5カ所が茨城県でした。そのトップ6の内5が茨城県なのです。この研究報告では川崎市、本庄市、流山市と茨城県が実施したGISの統合による成果を述べていましたが、これらの自治体(市区町村)の都市計画、道路、上下水道、農地、固定資産などの地図データが共用できるようになり、整備統合され、「自治体も個人もテクノロジー(IT)を活用して、事業や業績を根底から変化させるDXが、具体的に実現」していました。これにより、自治体の職員の作業の合理化が驚くほど進み、効率は高まり、作業日数・時間は短縮し、コストも驚異的に削減できました。そして、国と企業や市民とのコミュニケーションの深化も進みました。


 これは、各都道府県内の全市区町村が一致団結して実施することが、まず第一に重要なのです。ここでは茨城県が、その点で圧倒的に凄かったのです。知事を先頭とする県組織のリーダーシップが、とにかく凄かったのです。この図表がそれを示しています。

 今後は、これが都道府県間のGISの横の共有へと、急速に拡大して行くでしょう。これによって日本国全体が、生産性の高い、無駄の少ない、コストの安い、合理化進展の進んだ国家に成長していくはずです。市民一人一人,また企業間が連携した豊かなコミュニティーが形成されて行くでしょう。この日本社会・産業・企業の「肝(きも)」になる処を、日経がまとめて示してくれました。この新聞を、今、世界の人々が読んでいます。日本も急いで下さい。素早い諸外国に先行されます。団結と実行を急がねばなりません。(2023年2月11日の日本経済新聞の39面(名波彰人、松隈美帆、篠原皐佑、出口広元)を参照引用して記述)。


(注1)統合型の地理情報システム(GIS:Geographic Information System):地方自治体で使用する地図データについて、全ての複数原課(都市計画、道路、下水道、農地、固定資産など)が利用しているデータ(道路、街区、建物、河川など)を共用できる形に整備し、これを統合して活用するDXの構築・運用がなされる体制を整備した地図データこと。


(注2)デシタルトランスフォーメーション(digital transformation:DX):「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説。2004年にスウェーデンウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱した。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的であるが、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。なお、本用語はビジネス用語としては一般的に「DX」と表記される。英語の接頭辞「trans-」には「across(を超えて)」という意味があり、「DX」と表記されることが多い。

デジタルトランスフォーメーション(Di+gital Transformation):企業がAI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、基幹システムからの脱却や企業風土の変革をも実現させることを意味する。


(注3)自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED):心停止の際に機器が自動的に心電図の解析を行い、心室細動を検出した際は除細動を行う医療機器除細動器の一つであるが、動作が自動化されているため施術者が非医療従事者でも使用できる。


(注4)災害ハザードエリア:(1)一定の開発の禁止、開発の抑制、住宅等の開発に対する勧告によって新規立地を抑制する、(2)移転を支援する制度によってエリアからの移転を促進する、(3)立地適正化計画において、災害レッドゾーンの居住誘導区域からの除外、居住誘導区域内で防災対策・安全確保策を定めることによって防災まちづくりを推進する 地域である。


(注5)フリーWi-Fi:公衆無線LANや無料Wi-Fiスポットとも呼ばれる。無料で自由に接続できるWi-Fi。携帯電話会社の料金プランは月々のデータ利用量の上限が決められている。出先で動画を視聴したり、オンラインゲームをプレイしたりすると、月々のデータ利用量の上限を超えてしまう。データ通信制限がかかってしまうことが多い。フリーWi-Fiを使えば、無料で利用できるため、データ利用量の節約に役立つ。広く普及しており、鉄道、バス、飛行機などの交通機関や、図書館、市役所などの公共施設、コンビニやカフェ、レストランなどで提供されている。

(注6)日本経済新聞の2023年2月11日(39面)に掲載された図表1「①「統合型GSIの活用度が高い自治体」)(図表1、注6)。」


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2023年2月11日(39面)。

[付記]2023年3月27日。

 
 
 

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