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[日本再生]「地域創生」動物園・水族館、観光の核に(その2)2023年1月6日 東京都上野動物園、地域と連携親子ら参加、埼玉県こども動物自然公園、栃木県なかがわ水遊園ら独自工夫で集客

  • honchikojisitenji
  • 2023年1月6日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2023年1月(研究報告№032)

「地域創生」動物園・水族館、観光の核に(その2)


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」動物園・水族館、観光の核に(その2)東京都上野動物園、地域と連携親子ら参加、埼玉県こども動物自然公園、栃木県なかがわ水遊園ら独自工夫で集客

ここでは日本経済新聞の2022年11月5日35面の記事を紹介します。

[はじめに]

関東・山梨8都県の公設動物園や水族館も集客力を取り戻してきました。新型コロナウイルス禍が本格化する前の2019年度の入園者数は17施設にまで増加し、8都県合計では2010年度比で6%増となっていました。人気のある動物の飼育や施設のリニューアルだけでなく、企画を工夫して魅力を高めている施設もあります。(参考資料1、2022年11月5日の日本経済新聞の35面(桜井芳野、岩崎貴行、森岡聖陽、名波彰人)を参照引用して記述)


[千葉県千葉市]

千葉県の千葉市動物公園は、特異な戦略で経営しています。一般には子連れ客が中心である動物園で、大人だけの来園者を集客し始めているのです。すなわち動物園の社会的な役割を考え始めました。動物の飼育・展示だけでなく、種の保存の研究や、教育といった役割についても考え始めました。このため、ライオンやハイエナに、有害駆除されたイノシシの肉を餌として丸ごと与える「屠体(とたい)給餌」を実施しており、チーターについては、野生と同じ状態で捕食する様子を、客に観察させているのです。自然界での本当の動物の生きる姿を展示しているのです。この企画は、今、好調であり、世界の動物園から注目されています。

2021年にチーターの赤ちゃんが6頭生れたこともあり、入園者数は2010年度以降で最多の69万人を記録しました。


[千葉県市川市]

 市川市動物公園(千葉県市川市)の2019年度入園者数は、2010年度比6%増でした。ライオンなど、人気が高い大型肉食動物は飼育していないのですが、中国四川省から寄贈されたシセンレッサーパンダを飼育しています。2022年4月からは、マイクロブタの飼育を始め、子供が触れ合える機会を提供しています。


[埼玉県東松山市]

 埼玉県こども動物自然公園(同県東松山市)は2022年3月、ガラス張りのキリンの屋内展示室を新設しました。キリンは好天時は、屋外で見学できますが、悪天候の日は外へ出ません。雨の日でもガラス越しにみることができる動物園は全国初です。

 2022年7月には、コウノトリ舎もリニューアルしました。日本で、長年人里近くに生息してきたコウノトリの生態環境に近づけるため、田園風景をイメージしました。ニホンコウノトリや埼玉県の鳥であるシラコバトなども観察できます。「生物多様性のある環境の創造をコンセプトにした」と担当者は言っています。

 2020年には、小型カンガルーの一種、クオッカの飼育を始めました。口角が上がった笑ったような表情から「世界一幸せな動物」と呼ばれています。生息地のオーストラリア以外で見られるのは同園だけとあって、多くの客が訪れます。


[東京都台東区]

 上野動物園(東京・台東)はコロナ前は入園者数が国内最多で、地域と連携して観光誘客に力を入れてきました。目玉は、日本でも数えるほどしか飼育されていないジャイアイトパンダで、2021には双子のパンダが生れました。2022年10月には、パンダ来日50周年記念イベントを上野観光連盟が主催し実施しました。着ぐるみによるショーやポストカードがもらえるスタンプラリーなどを企画し、これを親子連れが楽しみました。同連盟の二木忠雄名誉会長は「パンダを中心に、このようなイベントを実施していきたい」と話しています。


[栃木県大田原市]

 栃木県なかがわ水遊園(同県大田原市)は淡水魚を中心に330種類、2万匹の生き物を飼育しています。

タガメを使った洋菓子マリトッツオづくりや、貝から採取した真珠を使ったアクセサリーづくりなど、ユニークなイベントを次々と打ち出しています。タガメの煮汁は、青リンゴの味に似ていると言っています。

アマゾン川を模した展示コーナーもあり、園内のカフェでは、展示しているアマゾンの魚「ピラルク」を食べることも出来ます。カップルで訪れる大人も多く、リピーター獲得に力を入れています。担当者は「レジャーの種類が増えるなか、何度も足を運んでもらうことが重要です。毎週来ても楽しめる水族館を目指しています」と話しています。


[群馬県桐生市]

桐生が岡動物園(群馬県桐生市)では、2019年度の入園者数が2010年度比38%増加しました。入園無料のため、隣接する桐生が岡遊園地(同)の入園者数から推測しています。ライオンやキリン、ペンギンなど飼育動物は、500種以上、500点を超えます。丹波泰史園長は「公立動物園ではかなり多い」と言っています。遊園地と隣接するため集客力が高く、相乗効果が生れていると見ています。2022年にはレッサーパンダ3頭の飼育を始めており、さらに集客力のアップにつなげます。


[神奈川県川崎市]

 夢見ケ先動物園(神奈川県川崎市)は、周辺にマンションや保育園が増え、入園無料とあって、入園者数が6.5%増えました。レッサーパンダやペンギン、シマウマが人気です。村木芳夫園長は「動物だけでなく、高台にあり眺めが良い。富士山や夜景などを楽しめる場所として訪れる人も多い」と話しています。(参考資料1、2022年11月5日の日本経済新聞の35面(桜井芳野、岩崎貴行、森岡聖陽、名波彰人)を参照引用して記述)


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2022年11月5日の日本経済新聞35面の記事には、二つの図表が掲載されていました。①来園者数を増やした主な動物園・水族館(図表1、注1)。②関東・山梨の公営動物園・水族館の入園者数増減率(図表2,注2)。


図表1は、関東・山梨8都県での来園者数を増やした動物園・水族館の増加率のベスト5を、増加率の多い順に示これをした表を掲示していました。これを以下に記します。


図表1 来園者を増やした主な動物園・水族館(注1)


施設名(所在都道府県)    2019年度入園数      増加率

  大島公園動物園(東京)      5万9386人      45.3%

  足立区生物園(東京)      20万3842       44.4

  桐生が岡動物園(群馬)     32万7940       33.0

  なかがわ水遊園(栃木)     22万1418       32.5

  上野動物園(東京)      347万9990       30.0


(注記:日本動物園水族館協会(JAZA)のデーターを基に作成。増加率は2020年度比2019年度)


図表2は、関東・山梨8都県の公営動物園・水族館の入園者増減率を表で示していました。以下に記します。


図表2関東山梨の公営動物園・水族館の入園者の増加率(注2)

都県          増減率

群馬          33%

栃木          32.5

        埼玉          16.5

        東京          10.6

        山梨           6.5

        茨城          ▲0.7

神奈川         ▲7.8

        千葉         ▲10.1


注記:増減率は2010年度比2019年度、▲はマイナス


 関東・山梨8都県にも、優れた動物園・水族館があります。上野動物園は日本を代表する動物園ですが、その他にも優れた動物園・水族館があります。

 栃木県なかがわ水遊館は、淡水水族館としては、世界有数の存在です。那珂川の流れをそのまま、水族館の大水槽に導き入れており、河川の鮎が俎上してきて産卵する姿を、水族館で直接観察することができます(注3参照)。


群馬県桐生が岡動物園は、1952年に全国に先駆けて、野生生物の救護に対する取り組みを始めたところから、目下、桐生が岡動物園が、日本最初の鳥獣保護センターであると言われています(注4参照)。


千葉県千葉市動物公園は、2010年度比2019年度の増加率では、▲10.1%で、10.1%の減少となっており、集客の増加率からみると最悪ですが、その経営戦略は、極めて特異な発想で展開していおり、今、大きな注目を集めています。すなわち、これまで子供連れが常識であった動物園で、大人だけの来園者を集めようとしているのです。

ここでは、野生動物が、どのようにして獲物を捕食しているかを顧客に観察させるために、チーターについては、野生と同じ状態で捕食する様子を、客に観察させています。ライオンやハイエナには、有害駆除されたイノシシの肉を餌として丸ごと与える「屠体(とたい)給餌」を実施してしています。ここでは、野生動物が野生と同じ状態で捕食する様子を、客に観察させているのです。自然界での本当の動物生きる姿を展示しているのです。この企画は、今、凄く好調です。

この千葉市動物公園の経営戦略が世界の動物園の経営の流れを大きく変えました。(参考資料1、2022年11月5日の日本経済新聞の35面(桜井芳野、岩崎貴行、森岡聖陽、名波彰人)を参照引用して記述)


(注1)日本経済新聞2022年11月5日(35面)に掲載された図表「①来園者数を増やした主な動物園・水族館(図表1)」。注記、:日本動物園水族館協会(JAZA)のデーターを基に作成。増加率は2010年度比2019年度。

(注2)日本経済新聞2022年11月5日(35面)に掲載された図表:「②関東・山梨の公営動物園・水族館の入園者数増減率。注記:日本動物園水族館協会(JAZA)のデーターを基に作成。増減率は2010年度比2019年度、▲はマイナス。

(注3)栃木県なかがわ水遊園:栃木県大田原市佐良土の那珂川の畔にある栃木県水産試験場に併設された淡水魚水族館及び関連する公園。2001年7月15日に開館。関東地方を代表する水族館。が遡上する清流、那珂川の畔に在り、様々な淡水魚類を展示している。「おもしろ魚館」の他に公園展望台、お魚ふれあいステーションなどが施設されている。目玉はアマゾン熱帯魚を展示する巨大水槽とドーム型のトンネルである。巨大な古代魚ピラルクーや淡水のエイなど海水魚に負けない大きな熱帯魚が水槽の中を泳ぎまわる。さらに那珂川の上流域から下流域を模して展示する流域毎の淡水魚の展示が注目されている。日本の各種淡水魚、熱帯海水魚、触れる水槽、日本の希少魚の展示コーナーなどもある。

(注4)桐生が岡公園:群馬県桐生市宮本町西久方町に位置している桐生市立の都市公園。公園は、桐生市が直営で管理する動物園指定管理者の財団法人桐生市スポーツ文化事業団が管理する遊園地からなっている。の名所として知られる。桐生市中心部にある丘陵地に位置する。展望台や観覧車からは市内を一望できる。動物園は1952年に、全国に先駆け野生動物救護の取り組みを始めたことから、桐生が岡動物園が、日本最初の鳥獣保護センターと言われている。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年11月5日(35面)。


[付記]2023年1月6日。

 
 
 

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