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[日本再生]「地域創生」企業版ふるさと納税に萌芽(その1)2022年12月23日 6市町村、10億円超の寄付金を集める。

  • honchikojisitenji
  • 2022年12月23日
  • 読了時間: 6分

続木 碧(つづき あお) 2022年12月(研究報告№026)

☆巻頭の一言 

日本の自治体(都道府県・市区町村)は、理想を求める未来社会の継続的な成長に向けて、必要な資金を適宜取得する貴重な手段を獲得しました。民間企業からそれに必要とする資金の寄付を受ける道が拓けたのです。それは「ふるさと納税企業版」です。


「地域創生」企業版ふるさと納税に萌芽(その1)

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」[企業版ふるさと納税に萌芽(その1)6市町村、10億円超の寄付金を集める]

ここでは日本経済新聞の2022年10月22日2面の記事を紹介します。

[はじめに]

法人が自治体に寄付する企業版ふるさと納税が広がってきました。2021年度の総寄付額は、前年度の2.1倍に膨らみました。2016年度の制度開始後、累計で10億円超を集めた自治体は6市町村に上ります。この新たな「自主財源」は、地域にとって、ポストころな社会の活性化に向けた大きな武器になりました。工場立地など事業上のつながりが深い地域だけでなく、首長が率先して「営業」した自治体などに寄付が集まりました。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の2面(杉本耕太郎、本田幸久、菅野宏哉)を参照引用して記述)


[企業版ふるさと納税制度とは]

 企業版ふるさと納税は、民間企業が、国の認定を受けた地方創生の計画を持つ都道府県や市町村を選んで、寄付ができる制度です。ここでは、寄付した立地自治体に納める法人税の控除が受けられる上、一部を損金に計上することで最大9割、税負担を軽減できるのです。でも、本社がある自治体への寄付はできません。寄付実績のPRはできるのですが、個人版と異なり返礼品の受け取りは禁止されています。


[全国の寄付額の推移]

 全国の寄付額は、2019年度までは20億~30億円程度で推移していたのですが、2020年度に税負担の軽減割合が最大6割を超えて高まったことを受け、2021年度は225億円、利用企業数3098社まで拡大しました。参加する自治体も2021年度は、前年度の8割増の956自治体に増加しました。


[自治体別受け入れ額の集計]

 自治体(市区町村)別に2016~2021年度の累計受け入れ額を集計したところ、最多は青森県東通村の18.3億円、2位は静岡県裾野市の17.4億円でした。東通村は東北電力などの原子力発電関連、裾野市はトヨタ自動車などが主な寄付企業で、もともと事業上のつながりが深い地域に企業が寄付していました。


[ゆかりのない企業に自治体が積極営業][茨城県境町]

 一方でゆかりがない企業に自治体が積極的に営業することで、寄付獲得に成功したケースも多いのです。全国3位の17.0億円を集めた茨城県境町は、町の有識者会議の民間委員などに、知人の創業経営者などを紹介してもらい、町長がトップセールスを仕掛けています。

境町職員から町議を経て町長へ転じた橋本正裕氏は、「企業版では、企業が納める税金の使い方を希望できます。そこを理解して「営業」すれば、自治体間で差を出すことが出来るのです」と話しています。

 営業では、相手が興味を引く寄付金の活用事業や税軽減の効果を最大限に生かせる寄付の規模などを、企業ごとに提案します。多い時は月に数回も経営者と会い、税収の1割ほどにあたる3~4億円程度を毎年安定して獲得します。


[群馬県前橋市]

 前橋市は元国会議員秘書で群馬県議も務めた山本龍市町が、直筆の手紙を300社に送付しました。制度を知らない企業もあるため、紹介するパンフレットも同封します。この手紙の効果があって、寄付受け入れ額は、2020年度の10万円から2021年度は3.3億円へと大幅に増大しました。2022年度も9月までに、2.1億円を集めており好調です。


[徳島県神山町]

 明確な活用事業を掲げて寄付を集めているのは徳島県神山町です。IT(情報技術)起業家の輩出を目指して、2023年に開校する「神山まるごと高専」の運営支援事業を、国の企業版ふるさと納税ポータルサイト(注1)上でPRしています。

 実際の寄付集めは高専の寺田親弘理事長(Sansan社長)が、企業や個人を延べ300~400回以上説いて回りました。人口4900人の同町にとって高専は、「過疎の町の存続を懸けた一大プロジェクトだ」と後藤正和町長は言っています。同町は寄付金のほとんどを高専の寮の整備や新校舎の建築の補助金に充てています。


[企業版ふるさと納税の狙い]

 企業版ふるさと納税には、都市部に集まる税収を地方に分散させる狙いがあります。自治体の財源は、社会保障費の増加により硬直化が進みます。1970年ごろに70%前後だった経常収支比率は、直近では90%前後で推移しており、政策的に自由度の高い財源は1割弱にまで縮小してしまいました。茨城県境町の橋本町長は「お金がなければ稼ぐマネジメントが、きわめて重要だ」と力強く強調しています。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の2面(杉本耕太郎、本田幸久、菅野宏哉)を参照引用して記述)


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2022年10月22日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が掲載されていました。①都道府県別の寄付受け入れ額(2016~2021年度の都道府県と市町村の累計)、(図表1、注2)。②寄付受け入れ額が多い自治体

(図表2、注3)。③ 寄付受け入れ額と利用企業は増加傾向、(図表3、注4)。


 図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図が示されており、2016~2021年度の都道府県別の寄付受け入れ額(都道府県と市町村の累計)が緑色の濃淡で塗り分けて示してありました。

寄付受け入れ額が最も多い地域は、受け入れ額が20億円以上の処で、最も濃い黒緑色で示してありました。寄付受け入れ額が20億円以上の処は、北海道、青森県、茨城県、群馬県、静岡県、広島県の6県でした。

 次に寄付受け入れ額が多かったのは、10億円以上20億円未満の処で、岩手県、福島県、長野県、徳島県、広島県、福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県の9県でした。この合計の15道県が、寄付受け入れ額が多い自治体(道県)です。

 この図表を見渡してみますと、北海道と東北北部の日本列島北部と列島南部の九州の展開が進んでいるように見えますが、このテーマに関しては、総じて全国に程よく展開しているように見えます。


図表2では、寄付受け入れ額の多い自治体(市町村)のベスト5が掲載されていました。これを以下に示します。


図表2 寄付受け入れ額が多い自治体

全国の順位 市町村      寄付受け入れ額     主な内容

1位  東通村(青森)   18.3億円   主な寄付企業は電力関連

2位  裾野市(静岡)   17.4     トヨタ自動車などが寄付

3位  境町 (茨城)   17.0     町長のトップセールスが成功

4位  神山町(徳島)   12.0     IT企業家育成高専の寄付に活用

5位  広島市(広島)   11.7     新サッカー競技場整備で集まる


(注記)金額は2016~2021年度の累計。内閣官房・内閣府資料から集計。


 この図表を見て、私は感じました。「ふるさと納税企業版」では、各自治体とも、とても自由な発想で、活動を展開しています。動きの堅い日本社会において、地域創生の貴重な戦力になっています。

 2021年、2022年と活動は、急拡大していますが、ここで2023年、2024年と、さらに一段と大きく展開していくことを、私は強く希求しています。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の2面(杉本耕太郎、本田幸久、菅野宏哉)を参照引用して記述)


(注1)ポータルサイト:: portal site)とは、WWWにアクセスするときの入口となるウェブサイトのこと。検索エンジンニュースオンライン辞書天気予報、Webサービスなどのサービスを提供し、利用者の便宜を図っている。

(注2)日本経済新聞2022年10月22日(2面)に掲載された図表「①都道府県別の寄付受け入れ額(2016~2021年度の都道府県と市町村の累計)」。注記、内閣官房、内閣府「企業版ふるさと納税ポータルサイト」の「寄付実績一覧」から集計。

(注3)日本経済新聞2022年10月22日(2面)に掲載された図表「②寄付受け入れ額が多い自治体」。注記、金額は2016~2021年度の累計。内閣官房・内閣府資料から集計。

(注4)日本経済新聞2022年10月22日(2面)に掲載された図表「③寄付受け入れ額と利用企業は増加傾向」。注記、内閣官房・内閣府資料から作成。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年10月22日(2面)。


[付記]2022年12月23日。

 
 
 

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