[日本再生]「地域創生」企業版ふるさと納税に萌芽(その2)2022年12月26日 8つの自治体で、累計1億円以上の寄付を集めました。
- honchikojisitenji
- 2022年12月26日
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続木 碧(つづき あお) 2022年12月(研究報告№027)
「地域創生」企業版ふるさと納税に萌芽(その2)
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」[企業版ふるさと納税に萌芽(その2)8つの自治体で、累計1億円以上の寄付を集める]
ここでは日本経済新聞の2022年10月22日35面の記事を紹介します。
[はじめに]
法人が自治体に寄付をする企業版ふるさと納税制度を使い、関東・山梨でも多くの自治体が企業からの寄付金を受けています。制度が始まった2016年度以降、8つの自治体が累計で1億円以上を集めました。スポーツ振興や物価高騰対策、梅の名所の再生など、活用の幅も広がっています。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の35面(本田幸久)を参照引用して記述)
[群馬県太田市]
群馬県では、太田市が全国6位の累計11億4千万円を受け入れました。
男子プロバスケットボール1部(B1)の群馬クレインサンダースが2021年に前橋市から本拠地を移したことを契機に、大田市はスポーツを軸にしたまちづくりに力を入れています。ホーム会場として使う新市民体育館が2023年4月に完成する予定です。その建設費などスポーツ振興への寄付が多く集まりました。
新体育館はB1開催時には、5000席以上を確保できます。高機能の音響設備・演出証明などを備える国内屈指のアリーナ(注1)になります。太田市企画製作課は「スポーツ以外にも活用できるので、企業の期待感は高まっています」と説明しています。
[茨城県境町]
全国3位の累計17億円の寄付を獲得した茨城県境町は、制度が始まった2016年から橋本正裕町長のトップセールスで、企業に働きかけてきました。これまでに住宅メーカーの一条工務店(東京・江東)からの寄付で、災害時に仮設住宅となる建物を整備するなど建築物を建設してきました。
橋本町長は、「企業版ふるさと納税は、まだまだ発展途上の制度です。我々が分かりやすい使い方のメニューを示すことで、寄付企業も増えてくると思います」と言っています。
[茨城県稲敷市]
茨城県では稲敷市も2021年度と2022年度にバイク用ヘルメット大手のSHOEIから各1億円の寄付を受けました。同社は市内に工場があり、一般ふるさと納税の返礼品としてヘルメットを登録するなど、市とのつながりが深いのです。新型コロナウイルスの流行でアウトドアのバイクの人気が高まり、業績が好調なこともあって寄付を申し出たと言っています。
市は物価高騰対策として、小中学校の給食費無償化に5000万円を充てます。町の魅力を発信する大型スクリーンや子育て支援住宅の設置への活用も検討しています。「市のPRや子育て支援を充実させることで、寄付してくれた企業の従業員への還元にもつながります」と稲敷市まちづくり推進課は言っています。
[神奈川県横須賀市]
累計1億円を集めた神奈川県横須賀市は2019年度100万円、2020年度3000万円、2021年度7100万円と寄付額を伸ばしました。ICT(情報通信技術)を活用した観光周遊の促進事業や全国の高校生向けのeスボーツ大会運営費などに充てました。
2022年10月には、サッカーの横浜マリノス(横浜市)が設立した一般社団法人Fマリノススポーツクラブとともに、循環型社会を目指す事業の検討を始めました。これからの具体的な成果が期待されます。
[埼玉県越谷市]
埼玉県では、埼玉りそな銀行のまちづくり支援会社「地域デザインラボさいたま」(ラボ玉、さいたま市)が越谷市、志木市、鳩山市から企業版ふるさと納税支援事業を受託しています
越谷市は2022年度に入り6件の寄付を受けました。SDGs(持続可能な開発目標、注2)など現代の価値観に合った寄付金の使い道の設定などを、ラボたまが自治体に助言しました。「ノウハウを共有して募集をサポートします。埼玉りそな銀行のネットワークを生かし、企業に制度活用の意義を紹介しています」とラボたまの担当者は説明しています。
[東京都青梅市]
東京都では、青梅市が「ふるさと納税企業版」を積極的に活用しています。2017年度から累計で2685万円を受け入れました。寄付金を使って成果がえられたのは梅の名所として知られる「梅の公園」の再生プロジェクトです。
この公園では梅の木がウイルスに感染し、2014年に全て伐採されました。名所復活を願う企業から2020年度までに計約1000万円が寄せられ、苗木の購入や再植栽などの費用に充てました。現在は1200本の梅の木が植栽され、花見客の姿も戻ってきています。
梅の再生プロジェクトは終了し、今は別の事業で企業版ふるさと納税を募っています。青梅市の財政担当者は、「寄付金はとても助かっている。今後も制度の周知に力を入れたい」と話しています。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の35面(本田幸久)を参照引用して記述)
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2022年10月22日の日本経済新聞35面の記事には、一つの図表が掲載されていました。それは「①関東・山梨で受け入れ額の多い自治体(全国順位、図表1)」です。
図表1では、寄付受け入れ額の多い自治体(市町村)の関東・山梨でのベスト5が表で示してありました。これを以下に示します。
図表1 関東・山梨で受け入れの多い自治体(全国の順位)
関東・山梨 全国の順位 自治体名 寄付受け入れ額
での順位
1 3位 茨城県境町 17億円
2 6位 群馬県太田市 11億4千万円
3 16位 前橋市 4億2千万円
4 41位 群馬県 2億円
5 65位 群馬県みどり市 1億1千万円
6 71位 埼玉県深谷市 1億円
7 72位 神奈川県横須賀市 1億円
8 74位 茨城県稲敷市 1億円
(注記)金額は2016~2021年度の累計。内閣官房・内閣府資料から集計。同額は100万円台
で順位を決めた。
すなわち、この図表1は、関東・山梨8都県で、この表に記した8つの自治体で、寄付の受け入れ額が1億円に達したことを紹介しているのです。
関東・山梨8都県での首位は、全国3位の茨城県境町です。ここは橋本正裕町長が、率先した営業活動を展開して、企業の寄付を大量に集めた町です。橋本さんは「ふるさと納税企業版」を、今日の姿にまで育てた、日本の次世代を牽引する牽引者です。
同2位は、全国6位の群馬県太田市です。太田市は、スポーツを軸にしたマチづくりをすると決意して、見事に、これを実現しました。この2自治体が、関東・山梨8都県の「ふるさと納税企業版」のリーダー企業です。また、この関東・山梨に、寄付金が1億円に達している処が8カ所もあるのです。
しかし、本文の紹介文の中にあった神奈川県横須賀市と茨城県稲敷市は、全国の順位では72位、74位なのです。全国ではそれほど成果をあげている地域が多くなっているのです。活動が活性化しているのです。
この「調査研究」で引用した一文も丁寧な紹介文でて[EM1] したが、全国65位の群馬県みどり市と71位の埼玉県深谷市は、この紹介文からは漏れていました。「ふるさと納税企業版」は、今、急拡大のさなかにあり、情報整理は、追いついていないのかもしれません。しかしこれは、「ふるさと納税企業版」が、今、まさに楽しみな状態であることを示しているのだと思います。このプロジェクトのここでの急拡大を期待しています。
[追記]
ここで紹介されていた「ふるさと納税企業版」の活動は、どれも凄いと思いましたが、私が一番深い感動を受けたのは、東京都青梅市の「梅の公園」の復活でした。寄付を受けた寄付額は、他の事例と比べれば小ぶりですが、この程度の金額の寄付額で、ウイルスで全滅した梅林が復活し、花見客が帰ってきたのですから、とにかく素晴らしいのです。
日本各地に、同じような事例は沢山あると思います。各地の自治体の皆さんと、寄付をしても良いと思っている企業のみなさんが、意気投合して、花見の木を1200本植えて、花見客を復活すれば、そして何よりも、村に町に、季節の美しい花園がもどってくれば、さらに、季節の到来を告げる花園が、地域を美しく彩ってくれれば、どれだけ、心が明るくなることでしょう。
どうか、地域の自治体の皆様と、地域に居住されている皆さまは、来年の春が訪れたら、青梅の梅園を、皆で見学に行ってください。そして「梅園復活プロジェクト」の自治体関係者や地域の人達と、寄付企業の人達と会い、その活動の経過を聞き、その進め方のノウハウの伝授を受けてください。そして、2024年の春には、どちらの地域も、明るい春を迎えてください。プロジェクトを進めた、地元の自治体・住民のみなさんと寄付をした企業の方々の間では、暖かいコミュニティが育っていると思いますから、地域が明るい社会へと進化しているのは確実なのです。ですから、なおさら、楽しみなのです。
また、群馬県太田市の「スポーツを軸にしたマチにしたい」と決心した決断も、素晴らしいのです。プロバスケットボールチームとの親交を深め、支援するには、この「ふるさと納税企業版」はもってこいのシステムのようです。神奈川県横須賀市のサッカー横浜マリノスも同様です。
どの地域も、このようなプロスポーツを誘致できれば最高です。これが出来なくても、アマチュアスボーツのチームを応援して、まだ、プロ化出来ていない競技のプロリーグ設立を支援して「ふるさと納税企業版」を使えれば、楽しみな未来が到来するのではないかと思います。「ふるさと納税企業版」は地域創生の凄い応援団なのです。
ここで積極性の出て来た地域は、ぐんぐん伸びていくと思います。これで日本国と日本人も、未来の地域社会が拡大していく楽しみな夢を、膨らませて行くことが出来るでしょう。
埼玉県越谷市を支援してくれている、埼玉りそな銀行の「まちづくり支援会社」も注目の的です。各地を支援してくれている地方銀行が、皆、このう[EM2] ような動きをしてくれれば、日本の地域創生は、ずんずん進むでしょう。地域経済が急展開するでしょう。
今までも、そのような動きは、各地にありましたが、なかなか、順調に動くきっかけは、つかめませんでした。その点「ふるさと納税企業版」は、神様・仏様なのです。(参考資料1、2022年10月22日の日本経済新聞の35面(本田幸久)を参照引用して記述)
(注1)アリーナ:スポーツ施設・芸能会会場。
(注2)SDGs(持続可能な開発目標):貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、世界のさまざまな問題を根本的に解決し、すべての人たちにとってより良い世界をつくるために設定された、世界共通の17の目標。
(注3)日本経済新聞2022年10月22日(35面)に掲載された図表。「①関東・山梨で受け入れ額の多い自治体(全国順位)」。(図表1、注3)。注記、2016~2021年度の累計。内閣官房・内閣府資料から集計。同額は100万円台で順位を決めた。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年10月22日(35面)。
[付記]2022年12月26日。


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