日本再生]「地域創生」企業家教育 熊本が先行 2023年5月15日 高校全国大会 4分の1超出場 和水町(なごみまち)会社設立 配当も実践
- honchikojisitenji
- 2023年5月15日
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続木 碧(つづき あお) 2023年5月(研究報告№066)
「巻頭の一言」
中学生・高校生への起業家教育が各地で活発化しています。高校生らが事業案を競う全国コンテストの出場校の数も急増しています。日本が遅れを取ってしまった起業家教育の推進が、今、急速に開始されており、これが地域の起業家意識を高めています。これが各地の雇用を生み出すカギとなると思われます。
「地域創生」企業家教育 熊本が先行 高校全国大会 4分の1超出場 和水町(なごみまち)会社設立 配当も実践
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」企業家教育 熊本が先行 高校全国大会 4分の1超出場 和水町(なごみまち)会社設立 配当も実践
ここでは日本経済新聞の2023年4月22日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
中高生への起業家教育が各地で活発になっています。高校生らが事業案を競う全国コンテストの出場校は2022年度に高校全体の4分の1を超えました。出場に熱心な地域ほど若い世代の創業が盛んな傾向もあるのです。日本が遅れを取る起業家教育の推進が、地域の起業家意識を高めて、雇用を生み出すカギを握るのです。2023年4月22日の日本経済新聞の2面(桜井佑介)を参照引用して記述します。
[「高校生ビジネスプラン・グランプリ」出場記録集計]
政府系金融機関の日本政策金融公庫(略称、日本公庫、注1)が2013年度に始めた「高校生ビジネスプラン・グランプリ(注2)」の出場記録を、日経が集計しています。これは、高校や高等専門学校の生徒が、グループや個人で応募した出場記録です。
この出場者からは、アルバイト仲介アプリで成長するタイミー(東京・港)の小川嶺(おがわりょう)社長や、ベトナムで食育などを手掛けるWELY(東京・渋谷)の松岡奈々社長など、20代のスタートアップ経営者が育っています。
2023年1月に最終審査があった2022年度は455校から、4996件の応募がありました。この455校を、全国の高校・高専約5000校と比較しますと、占める割合は9%です。初回だった2013年度は3%でした。かなり拡大しています。
都道府県別では熊本県の割合が25.6%と最も高く、大分県(19.6%)、鳥取県(18.2%)と続きました。
2013~2022年度上位の10府県では、若年創業者の比率は11%でした。下位の10県でも9%で、地域の若い世代の起業意識の髙さを映し出しています。
[熊本県]
熊本県は、地元に本社を置く大企業が少ないこともあり、古くから起業家教育を重視してきました。2016年度に国が実施した「中・小学校等における起業体験事業」では、選ばれた全国11の教育委員会に、熊本県教育委員会と熊本市教育委員会の二つが入りました。
熊本県和水町(なごみまち)町立、三加和(みかわ)中学校では2018年度から起業体験プログラムに取り組みました。約70人の全校生徒がグループに分かれて社名、事業内容などを決めて、PTAなどの出資で実際に会社を設立しました。地元事業者と交渉して仕入れた商品を、イベント時に販売し、決算書をまとめて株主に利益分配をしました。
熊本県内出身の古賀碧(こがあおい)さんは、人吉高校(人吉市)を経て崇城大学(熊本市)を卒業後、特産品の焼酎のかすを用いて、培養菌により、畑の土壌を改良するバイオペンチャー、Ciamo(シアモ、熊本市)を20代で立ち上げました。古賀さんは、この体験で、「地域全体で、起業を後押しする空気を感じた」と話しています。
[大分県・山形県]
大分県では、県立情報科学高校(大分市)の2~3年生が2023年から、必須授業で新事業の立ち上げに挑みました。生徒の各チームが「事業部」としてビジネス案を考え、起業を将来の選択肢にできる生徒を育てます。
東日本で出場割合がトップだった山形大学が、起業家教育のプログラムを在校生のほか、地域の中高生に広げています。
[この項のまとめ]
地域の課題解決や雇用創出を担う起業家を育てるには、早くから挑戦心を養う教育が欠かせません。2023年2月に発表した国際調査「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター調査(注4)」によりますと、日本の起業環境は、先進22カ国中16位と、とても立ち遅れています。欧米だけではなく、韓国にも後れをとっています。日本はここで、13の評価項目の内「高校生までの起業家教育」が20位と大きく立ち遅れたのが、全体の順位を大きく押し下げているのです。
日本では今、中高生の起業家教育が盛んになり、各地で積極的を動きが出てきたことは、とても嬉しいことですが、世界での動きで見れば、まだ、凄く立ち遅れているのです。今、国をあげ、教育現場と企業の総力をあげ、国民みんなで、力を合わせ、この活動を加速させねばなりません。
政府は2022年11月に示した「スタートアップ育成5カ年計画(注5)」に「小中高生への起業家教育の充実」を盛り込みました。起業家の実務者を講師とした教育支援プログラムを新設し、総合教育支援プログラムも新たに設置し、総合的な学習などの授業時間に活用しました。体系的な起業家教育を進める高校・高専やSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の高い能力を持つ小中高生の支援も強めています。私たち国民みんなも、ここで力を合わせて頑張りましょう。今、起りつつある積極的な機運を、一気に盛り上げましょう。(2023年4月22日の日本経済新聞の2面(桜井祐介)を参照引用して記述)。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年4月22日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①高校・高専の起業家コンテスト出場率が高い都道府県(2022年度)図表1、注6。(注)日本政策金融公庫の高校生ビジネスプラン・グランプリ出場校の割合。「②日本の高校までの起業家教育」は先進22カ国中20位、図表2,注7。(注)「とても不十分(0)」から「とても十分(10)」までの専門家評価。出所はグローバル・アントレプレナーシップ・モニター。
「➂高校・高専の起業家コンテスト出場率は上昇、図表3、注8。(注)2020年度は中止。
[図表1]
図表1(注6)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、高校・高専の起業家コンテスト出場率の都道府県別(2022年)の結果を茶色の濃淡で塗り分けて示していました。ここで高校・高専の起業家コンテスト出場率が、最も高かった地域は、2022年の時点で20%以上の処で、熊本県の1県でした。
次いで起業家コンテスト出場率が大きかった地域は、15%以上20%以下の処です。このランク2の処は、大分県、山形県、鳥取県、奈良県の5県でした。
結局、ここで高校・高専の起業家コンテスト出場率が高い地域は6県でした。(2023年4月22日の日本経済新聞の2面(桜井祐介)を参照引用して記述)。
[図表2]
図表2(注7)は、日本の「高校までの起業家教育は、先進22カ国中20位」と題した表でした。この表には、全国の高校までの起業家教育のレベルを、グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(注4)が評価した評点が示してありました。以下にこの表を記します。
表2 日本の「高校までの起業家教育」は、先進22カ国中20位」
順位 国名 評点
1 イスラエル 7.6
2 アラブ首長国連邦 7.1
3 カタール 5.7
4 韓国 4.6
12 米国 3.5
14 英国 3.2
19 ドイツ 2.7
20 日本 2.5
21 キプロス 2.5
22 オーストリア 2.2
(注)「とても不十分(0)」から「とても十分(10)」までの専門家評価。出所はグローバル・アントレプレナーシップ・モニター。
この表には、韓国は6位にいますが、米国、英国、ドイツは12位~19位におり、成績は、さらに良くありません。これらの諸国も、今、改善を急いでいるものと思われます。
[図表3]
図表3(注8)は「高校・高専の起業家コンテストへの出場率は上昇」と題した表でした。この表には、左側縦欄に、コンテスト出場率0~10%が取ってあり、下欄に2013年度から2022年度がとってあります。これに各年度の出場率がプロットしてありました。
この表をみますと、この活動を始めた2013年度の3%から、2017年度の8%までは、順調に増加していました。2017年度から2019年度までは頭打ちで、2020年度はコロナの影響でデータがなく、2021年度はコロナで7%まで下落しましたが、2022年度は、参加率が9%まで急上昇しています。
日本国内の全産業がコロナにより多大な打撃を受けたのですが、若者の起業家コンテスト出場は、大きな成長を目指して、躍進を開始しているのです。私は、これは素晴らしいことだと思います。明日に向けて明るい未来が見えてきました。みんなで力を合わせて頑張りましょう。(2023年4月22日の日本経済新聞の2面(桜井祐介)を参照引用して記述)。
(注1)日本政策金融公庫:株式会社日本政策金融公庫(Japan Finance Corporation, JFC)、略称日本公庫は、株式会社日本政策金融公庫法に基づいて2008年10月1日付で設立された財務省所管の特殊会社。日本に5つある政策金融機関(政府系金融機関)の一つである 。
(注2)高校生ビジネスプラン・グランプリ:高校生のビジネスプランを競う全国規模の大会。日本の未来、地域の未来を切り拓くビジネスプランを募集する。
(注3)熊本県和水町(なごみまち):熊本県北西部にある玉名郡に属する町。熊本県の北西部、熊本市 の北西約30km福岡県福岡市の南約90kmの場所に位置している。町域は南北に細長く、南北13km、東西9km、北部は福岡県との県境を成している。町域の多くは盆地である。
(注4)グローバル・アントラブレナーシップ・モニター(Global Entrepreneurship Monitor):米国バブソン大学と英国ロンドン大学ビジネススクールの起業研究者達が集い、「正確な起業活動の実態把握」「各国比較の追求」「起業の国家経済に及ぼす影響把握」を目指したプロジェクトチームが実施した調査。
(注5)「スタートアップ育成の5カ年計画」:岸田内閣は2022年を、「スタートアップ創出元年」と位置付け、スタートアップ担当大臣を設置し、過去最大規模となる1兆円の予算措置を閣議決定した。11月24日には、こうしたスタートアップ育成強化の方針となる「5カ年計画」を発表した。
(注6)日本経済新聞2023年4月22日2面に掲載された図表1「高校・高専の起業家コンテスト出場率が高い都道府県(2022年度)」、(注) 日本政策金融公庫の高校生ビジネスプラン・グランプリ出場校の割合。
(注7)日本経済新聞2023年4月22日2面に掲載された図表2、「日本の高校までの起業家教育」は先進22カ国中20位、(注)「とても不十分(0)」から「とても十分(10)」までの専門家評価。出所はグローバル・アントレプレナーシップ・モニター。
(注8)日本経済新聞2023年4月22日2面に掲載された図表3、「高校・高専の起業家コンテスト出場率は上昇、図表3、(注)2020年度は中止。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年4月22日(2面)。
[付記]2023年5月15日


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