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[日本再生]「地域創生」ツーリング 観光を導く 2023年3月17日 目的地は石川県 79%増 宝達志水町 砂浜町 ライダーを誘う

  • honchikojisitenji
  • 2023年3月20日
  • 読了時間: 10分

 

続木 碧(つづき あお) 2023年3月(研究報告№051)

「巻頭の一言」

オートバイに乗って、幾つかの景勝地や観光地を訪ねて旅をする人々が増えています。石川県は、このバイクツーリング(注1)のブームの起爆地になっています。コロナウイルスの蔓延で、各地の経済は毀損されましたが、バイクツーリングの熱烈なファン達は、このコロナの壁を乗り越えて、地域経済を拡大しています。


「地域創生」ツーリング 観光を導く 目的地は石川県 79%増 宝達志水町 砂浜町 ライダーを誘う


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

ツーリング 観光を導く 目的地は石川県 79%増 宝達志水町 砂浜町 ライダーを誘う

ここでは日本経済新聞の2023年2月4日1面の記事を紹介します。


[はじめに]

バイクツーリング(注1)が新たな観光需要を喚起してきました。石川県はイベントを契機に、目的地として選ぶバイクで旅する人(注2、ライダー)が7割増え、周辺観光にもつなげてきました。平均年齢の髙さから購買力も期待できるライダーは、今や地域活性化に向けた標的(注3、ターゲット)となってきています。(2023年2月4日の日本経済新聞の1面(地域再生エディター桜井佑介、佐々木たくみ、平片均也、大倉寛人)を参照引用して記述)。


[石川県宝達志水町 羽咋市 輪島市]

 経済検索大手ナビタイムジャパン(東京・港)が運営する、バイクで走る経路を紹介するサービス(バイク専用経路検索サービス)「ツーリングサポーター」から2022年~1月~10月の匿名データを抽出し、バイクで旅する人(注2、ライダー)が目的地として絞り込んで入力した場所(注4、スポット)を都道府県別に集計してみました。この結果、新型コロナ感染前の2019年同期比で、最も増えていたのは石川県で、76.8%も増加していました。市区町村別でみても、トップは石川県、宝達志水町で9.3倍でした。

 ここで、バイクで旅する人を引きつけたのは、羽咋市と宝達志水町を結ぶ全長8キロメートルの砂浜道路「千里浜なぎさドライブウエイ」なのです。きめ細かい砂が海水を含むことで引き締まり、舗装道路を走るように設計したバイク(注5、オンロードバイク)でも波うち際を、ライディング(注6)の技術を駆使してバイク走行を楽しむことができるのです。

 2022年にスポーツの振興賞である観光庁長官賞を授賞したツーリングイベント「サンライズ・サンセット・ツーリングラリー」(SSTR)は、「千里浜なぎさドライブウエイ」をゴールに設定していました。このイベントでは、参加者が、それぞれ選ぶ太平洋側の海岸を、日の出時刻以降にスタートし、日の入りまでにゴールするのです。2022年のSSTRの参加者は1万2000人に至りました。

 この期間中、役場や商工関係者らが地域を挙げて歓迎し、温浴施設や飲食店での割引も実施しました。羽咋市の岸博一市長は2022年の市議会で、SSTRは20億円の経済効果があっただろう」と見積もっていました。

 千里浜かち北に70キロメートル離れた輪島市も、周遊需要を促そうと「ライダーを笑顔で歓迎する都市」を宣言しました。このバイクの旅で必須となる、タイヤの空気圧の安定を保つ、エアゲージ(注7)を設置した駐輪場を整備しました。さらに、飲食店は歓迎メニューを用意しました。2022年4~12月に同市の道の駅を訪れたバイクで旅する人(注2、ライダー)は2225人と前年同期比、57%も増加しました。


[愛媛県 久万高原町]

 愛媛県は、目的地検索で目的地を愛媛とした人を7.6%増加させました。久万高原町は、2021年に、バイク限定の休憩施設を誕生させました。この景勝地の四国カルストは、俄かに人気が集まりました。ここでは、標高1400メートルの髙さに高知県と愛媛県を結ぶ県道が開通しています。それで、ここは、地点別ランキングでも、2021年には全国13位になりました。2020年の25位から大幅なランキングの浮上となったのです。久万高原町は検索数も2.3倍になりました。

 バイク版道の駅とも言える「アッププレイス」は、コロナ禍で閉鎖に追い込まれた縫製工場を再活用しました。積載力がないバイク利用者に向けて、テントなどを貸し出して、宿泊もできるようにしました。このようなバイクの旅について、ブログの執筆者であるブロガー(注8)が、取り上げて書いてくれましたので、注目され、県外ナンバーが集うようになったのです。この地の上場篤史支配人は「久万高原町をバイクの街にしたい」と話しています。


[静岡県伊豆市]

 かって「危ない」「怖い」などと敬遠されることもあったバイクに対する見方は、変わりつつあるのです。人気のツアーコース(注9、ツーリングコース)、西伊豆スカイラインを擁する静岡県伊豆市の菊地豊市長は「事故など不安を持つ市民もいると思いますが、避けるのではなく、積極的に環境を整えたい」として、2022年7月に、ツーリング(注9)受け入れ拡大を表明しました。


[この項のまとめ]

国会では、2021年7月に、バイカーズ議員連盟が発足し、バイクで旅する人(注2、ライダー)の地位の向上を目指しています。

 二輪車市場動向調査によりますと、2001年度に38.5歳だった二輪車購入者の平均年齢は、2021年度には、54.2歳まで上昇しました。しんきん経済研究所(静岡県・浜松市)の鈴木好伸研究員は「ライダーは金銭的にゆとりのある世代が多いのです。消費を呼び込むチャンスがあるのです」と述べています。(2023年2月4日の日本経済新聞の1面(地域再生エディター桜井佑介、佐々木たくみ、平片均也、大倉寛人)を参照引用して記述)。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年2月4日の日本経済新聞1面の記事には三つの図表が記載されていました。①「ツーリング目的の検索が増えた都道府県(2022年)(図表1、注10)。」②「ツリンーグ目的の検索が増えた市町村(図表2、注11)」。③「検索頻度の高い人気目的地(2022年)。」(図表3、注12)。


図表1(注10)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、ツーリング(注9)を目的とする検索が増えた都道府県が緑色の濃淡で塗り分けて示してありました。都道府県別でみて、ツーリング目的の検索が最も増えた処は、その増加が40%以上の処で、最も濃い緑色(黒緑色)で示してありました。このランク1の処は、石川県、新潟県、富山県、愛媛県の4県でした。次いでツーリング目的の検索が増えたランク2の処は、ツーリング目的の検索が20以上40%未満の増加の処で、長野県、兵庫県、徳島県の3県でした。結局、ツーリング目的の検索の増加が多い処(ランク1~2)は7県でした。

これを全国の視点でみますと、バイクツーリング(注1)で新たな観光需要を喚起していく活動の牽引者は日本列島の中核部に4県と中国地方に1県、さらに四国に2県ありました。一方、この活動で最も遅れていた地域(第4ランク、0%以上10%未満)は、東北地方の青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県と茨城県、それと九州の大分県、佐賀県、長崎県+山口県でした。この活動に立ち遅れている処も、地域的に偏在しているのです。


でも、このバイクツーリングが活性化したのは、ごく最近のことなのです。バイクツーリングは、コロナウイルスの感染拡大で、日本中が縮みあがった時に、見事な挑戦で開花したのです。今からでも、遅くないのです。立ち遅れた地域も、急いで後を追うべきです。確実に、地域活性化につながります。


 図表2は、「ツーリング目的の検索が増えた都道府県(2022年)(図表2、注11)」と題した図表であり、ツーリング目的の検索が増えた市町村を、増加率の大きい順に示してありました。これを以下に示します。


図表2 ツーリング目的の検索が増えた市区町村(2022年)              


  順位    市町村          2019年比

   1    石川県宝達志水町      9.3倍                

   2    群馬県榛東村        7.2

   3    福島県双葉町        7.2

   4    愛媛県上島町        6.3

   5    北海道鷹栖町        5.7

   6    高知県越知町        5.4

   7    兵庫県川西市        5.3

   8    佐賀県上峰町        4.5

   9    鹿児島県瀬戸内町      4.3

  10    神奈川県南足柄市      3.9


(注)同じ値の場合、小数点2位以下で順位付け。検索数が極めて

少ない35市町村は除いた。


 この図表2を眺めていて、私は感動しました。2019年から2022年までのコロナ禍のもとの、たった3年間で、バイクで旅する人が4倍以上に増えた市町村が、9カ所もあるのです。それも、この9市町村の所属する都道府県をみますと、石川県、群馬県、福島県、愛媛県、北海道、高知県、兵庫県、佐賀県、鹿児島県と、日本全国に広く拡がっているのです。コロナに負けずに、ポストコロナの経済再建に立ち上がった地域が、全国に拡がっているのです。


 図表3は、検索頻度の高い人気目的地と題した図表であり、各地の人気スポット名が、人気順に記されていました。以下にこれを記します。


図表3 検索頻度の高い人気目的地(2022年)

      

      順位

       1(1)  道の駅どうし(山梨県道志村)

       2(15) 千里浜なぎさドライブウェイ(石川県宝達志水町)

       3(10) 道の駅針テラス(奈良県奈良市)

       4(2)  ビーナスライン(長野県茅野市)

       5(4)  道の駅美ヶ原高原(長野県上田市)

(注)順位のカッコは2019年。所在地はナビタイムジャパンの分類に

基づく。


 この図表3も、私を感動させました。この日本全体を動かした大改革の牽引者となった石川県宝達志水町は、2019年の15位から2022年に2位に、大躍進していました。

また、2022年に3位になった奈良県奈良市も2019年の10位からの大躍進組なのです。これらの地域の人達が、これまでの「バイクツーリングの大躍進」の牽引者でした。

でも、東京都心に直近の「道の駅どうし(山梨県道志村)」も、2019年には、すでに首位で、最高人気の地域でした。そして、2022年も、まだ、首位を保っているのです。

2022年に4位だった長野県茅野市のビーナスラインも、2019年に2位でしたが、今も、4位で頑張っています。また、2019年に4位だった長野県上田市も、今年5位のポジションを保っています。早くから先行していた、人気スポットは、今も健在で立派に頑張っているのです。新たに台頭した処と、古くから頑張っていた処が、人気スボット上位5位に並んでいました。


日本は、今、未来に向けて、分岐点に立っていますが、大丈夫です。今、この時点で、みんな元気です。ここで、大きな改革が、力強く走り出すのは間違いありません。私は、そう確信して、大いに元気になりました。立ち遅れている方は急いで追いかけましょう。すぐ、地域振興が始まります。


(注1)バイクツーリング=英語の正式な呼び方ではモーターサイクル・ツーリング(motorcycle touring)、あるいはオートバイ (モーターバイク)でのツーリング (ツアー)のこと。オートバイを移動手段として利用して、いくつかの景勝地や観光地を訪れることである。オートバイに乗って走ること自体を楽しむために、いくつかの景勝地や観光地を目的地に設定して「旅」という形に仕立ててオートバイで走ることの総称である。日本語ではバイクツーリングと言う。


(注2)ライダー:バイクに乗る人。バイクで旅する人。


(注3)ターゲット:① 標的。まと。また、販売などの対象。「若い女性をターゲットにした雑誌」。②物理学で、高速の粒子を当てる電極


(注4)スポット: 1点をピックアップすること。たくさんある物の中からピンポイント的な対象を指し示す。スポットな場所:目的地として絞り込んだ場所。目的地として入力したスポット:目的地として絞り込んで入力した場所。


(注5)オンロードバイク: 舗装路で性能を発揮するように設計されたバイク。オンロードバイクは、舗装路で高い性能を発揮するようにエンジンやサスペンション、ホイール・タイヤなどを設計している。このロードバイクには、スポーツ走行やレースでの使用を前提としたスーパースポーツ、市街地での走行性能を重視した正統派のネイキッド、長距離ツーリングを目的としたツアラー、ハーレーダビッドソンに代表されるアメリカンなどがある。


(注6) ライディング(Riding): オートバイ自転車水上オートバイにおける運転技術の1つ。バイクや自転車を用いて、主に舗装路面で行われる運転技術向上の一種である。バイクは主に新規免許取得者や高齢者ペーパーライダーを対象として、各地の自動車学校等で講習会が開催されている。 自転車においては、主に小学生以下や高齢者を対象とした運転技術向上の一種として実施されている。


(注7) エアゲージ:タイヤの空気圧を測定するための計器。エアゲージは、ガソリンスタンドや、カーショップ、整備工場などに設置されており、タイヤの空気管理をする上で重要な役割を果たす。空気圧が適切ではない場合、タイヤの劣化が早まるため、エアゲージを使って空気圧をはかることが重要になる。


(注8)ブロガー: 趣味や本人の詳しい分野に関しての情報のブログを執筆し運営する人。


(注9)ツーリング:オートバイや自動車などで遠出をすること。遠乗り。


(注10)日本経済新聞2023年2月4日(1面)に掲載された図表1「①「ツーリング目的の検索が増えた都道府県(2022年)(図表1、注9)。」


(注11)日本経済新聞2023年2月4日(1面)に掲載された図表2、②「ツーリング目的の検索が増えた市町村(図表2、注10)」


(注12)日本経済新聞2023年2月4日(1面)に掲載された図表3、③「検索頻度の高い人気目的地(2022年)。」(図表3、注11)。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2023年2月4日(1面)。

[付記]2023年3月17日。

 
 
 

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