[日本再生]「地域創生」サウナブームが地域を活性化 2023年3月10日 山梨県は施設増へ助成 商談活用の動きも
- honchikojisitenji
- 2023年3月10日
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続木 碧(つづき あお) 2023年3月(研究報告№049)
「巻頭の一言」
コロナウイルスの感染が、日本列島の経済・社会の全てを沈滞させたと思われていた中で、サウナブームが起きていました。日本の人々は、この社会・経済の苦境の中で、「元気が出る」「活性化する」手段を見付けていたのです。ここでは、これを2編連続で報告します。
「地域創生」サウナ熱向上 官民が汗 山梨県は施設増へ助成 商談活用の動きも
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
サウナ熱向上 官民が汗 山梨県は施設増へ助成 商談活用の動きも
ここでは日本経済新聞の2023年1月28日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
「サウナブーム」を地域活性化に生かそうとする動きが加速してきました。サウナを目的にした旅「サ旅(サたび、注1)」やサウナの前後に楽しむ食事「サ飯(サめし、注2)」など関連消費も広がり、山梨県や大分県豊後大野市など力を入れる自治体が相次いでいます。企業内にも続々と「サウナ部(注3)」が誕生し、ビジネスパーソン(注4)を呼び込む手段としても注目が集まっています。(2023年1月28日の日本経済新聞の1面(久保田皓貴、松永高幸、赤堀弘樹、佐々木たくみ、菅野宏哉)を参照引用して記述)。
[山梨県]
「人口10万人あたりのサウナ数(注5)」が最も多い山梨県では、2021年、サウナを観光資源に育てる「やまなし自然サウナととのいプロジェクト」がスタートしました
サウナや組立型プールなどの購入費として最大20万円を補助しキャンプ場などに23社が新規導入しました。2022年4月には男女が一緒に利用しやすいように公衆浴場法施行条例を改正しました。着衣があれば共に楽しめるようにしたのです。
特設ホームページを設けアウトドアサウナを紹介するほか、「さ飯(注2)」を動画でリポートするなど周辺消費も促します。主導する県観光振興課の斉藤隆太主任は「体験を通じて交流人口を創出し活性化につなぎたい」と語ります。
[大分県豊後大野市]
「サウナのまち」を2021年に宣言したのは大分県の豊後大野市です。同市には溶結凝灰岩の岩壁に穴を堀った蒸し風呂を楽しむ文化か残るのですが温泉はありませせん。サウナブームを好機として「温泉はなくてもサウナがある」を前面に、専用ロゴ(注6)やプロモーション動画(注7)をつくり、全国からの「サ旅(注1)」を狙います。
豊後大野市では、コロナの厳しいさなかの2022年度のサウナ施設の利用者が、12月末時点までで2700人になり、2020年度の通年の8倍にまで増加したのです。「サ飯(注2)」や宿泊に使えるクーポン券を配布し、市内の飲食店「カフェパラム」では、年間売り上げが1.5倍に増えました。
[コロナの最中でサウナブームが熱を帯びる]
各地がサウナの活用に力を入れるのは、全国的にサウナが熱を帯びている背景があります。グーグルトレンドの2022年度の「サウナ」の国内検索頻度は、5年比5倍に膨らみました。一般社団法人、日本サウナ・温冷浴総合研究所の2021年の集計によりますと、月に4回以上サウナに入浴する人の数は255万人を超えています。
全国のサウナ数はサウナ情報サイト「サウナイキタイ」によりますと、2022年12月15日時点で1458施設でした。都道府県別では東京都が875施設で最も多く、北海道、大阪府がこれに続きます。
一方人口10万人あたりでみますと山梨県の30.1施設を筆頭に、長野県、石川県が続きます。全国平均は8.3施設でした。
[長野県上田市]
照準をビジネスパーソン(注4)に向けた取り組みも増えてきました。長野県上田市の業務支援サービス、はたらクリエイトは、営業活動にサウナを活用しています。2021年、首都圏の新規顧客など来社機会の創出を狙い、佐久市のオフィスにサウナを設置しました。
同社の柚木真取締役は「ブームを利用して会社を訪問してもらえる理由をつくりたかったのです。投資額は数百万円にのぼりますが『サウナ営業』に加え、社内コミュニケーションも活性化し効果的でした」と話しています。
[ビジネスシーンの活性化 企業内サウナ部連合]
ビジネスシーンの活性化狙い、日本航空やコクヨが主導して2019年に立ち上げた企業内サウナ部連合には2022年12月に、157社が名を連ねました。ビジネス活用の潜在需要は、それだけ大きいと言えるのです。
[三重県志摩市 徳島県徳島市]
三重県志摩市では、ワーケーション(注5)需要を取り込もうと、コワーキングスペース(注6)やサテライトオフィス(注7)、サウナが一体となった複合施設が、2023年4月に開業します。
起業家の間でも、高い人気があるとされることから、徳島県徳島市はスタートアップを呼び込む手段として、サウナを活用した施設やイベントの実施などの検討を始めました。内藤佐和子市長は「地域に新たな経済を生み出す切り札になれば」と期待しています。(2023年1月28日の日本経済新聞の1面(久保田皓貴、松永高幸、赤堀弘樹、佐々木たくみ、菅野宏哉)を参照引用して記述)。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年1月28日の日本経済新聞1面の記事には三つの図表が記載されていました。①「人口10万人あたりのサウナ数は、山梨県、長野県、石川県で多い(図表1、注8)。②サウナは新型コロナ禍でも関心を集めている(図表2、注9)」。③「国内で約1600万人もの利用者がいる(2021年)。」(図表3、注10)。
図表1(注8)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、都道府県別のサウナ数が茶色の濃淡で塗り分けて示してありました。都道府県別でみて、人口10万人あたりで最もサウナ数が多い処は、20以上の処で、最も濃い茶色(黒茶色)で示してありました。このランク1の処は、山梨県と長野県の2県でした。次にサウナ数の多いランク2の処は、サウナが20以上40未満の処で北海道、青森県、秋田県、鹿児島県、石川県の1道4県でした。
結局、サウナの多い処(ランク1~2)は1道6県でした。これを全国の視点でみますと、日本列島の中心部に、人口10万人あたりのサウナ数で先頭に立っている、山梨県、長野県、石川県がありました。また、その次ぎにサウナ数が多い処は、日本国の北部の北海道、東北北部、青森県、秋田県と日本列島の最南部の鹿児島県でした。すなわち、人口10万人あたりのサウナ数では、先頭を牽引する各地を除くと、多い地域は日本列島の南北端に偏在していたのです。
図表2は「サウナは新型コロナ禍でも関心を集めている」と題した図表であり、2018年の20ポイント弱から2022年の100ポイントまでのサウナ数のポイントの推移を示す棒グラフが書かれていました。サウナ数は、コロナ禍に関わらず、右肩上がりに一気に増大していました。
私は驚きました。日本の列島全てのものが衰退したと思っていたコロナ禍の中で、サウナだけ、唯一、大繁栄し拡大したのです。日本国民は、全ての動きがコロナにより沈滞化した中で、コロナに負けず元気で過ごす手段を見付けていたのです。これから始まるポストコロナの経済社会の再建において、大きな活路を見出していました。日本国、日本人はこれからの日本再建において、サウナを重要な鍵として、活用していくべきです。この日本地図で、サウナの数が最も少なかった地域(ランク4、サウナ数が5未満の地域)である、埼玉県、愛知県、福岡県は、早くこれに気がついて、対処するべきです。残るサウナ数が中程度の38地域も、認識を改めて頑張っていただきたいのです。
図表3は「国内に約1600万人もの利用者がいる(2021年)」と題する図表です。 コロナ禍の中でのサウナの活況は、コロナ禍のなかでもサウナファンが急速に増えていることを予測させますが、この図表3は、国民が、月に何回サウナに入っているかの統計資料を調べたものです。図表では、月に15回以上から,年に1回程度まで、サウナ入浴頻度が表に記してありました。これを以下に示します。
図表3 国内に約1600万人もの利用者がいる(2021年)
サウナ入浴頻度 人数
月に15回以上 20万6153人
月に9~14回以上 84万4756
月に4~8回以上 152万6605
月に3回以下 213万8038
月に1回以下 307万5090
2~3カ月に1回程度 273万6900
半年に1回程度 289万7834
1年に1回程度 233万1846
(注)日本サウナ・温冷泉浴総合研究所、2021年12月調査・推計値
この図表3の標題は「国内に約1600万人もの利用者がいる」となっており、表中の人数を集計しますと1600万人弱になっています。2021年の日本の人口は1億2550万人で、この表の人数以外に、まだ、約1億人もいるわけです。その1億人の人達に、サウナに1回行ってもらったら、凄い経済効果になるでしょう。ポストコロナの経済社会の再建において、「国民皆サウナ運動」を国をあげて行うのも、極めて有効な対策だと私は痛感しました。
(注1)「サ旅(サたび)」: サウナを目的にした旅。
(注2)「さ飯(サめし)」:サウナの前後に楽しむ食事。
(注3)サウナ部:サウナに関連する業務を行う企業内の部署。
(注4)ビジネスパーソン:ビジネスマン・ビジネスウーマンに代えて用いられる性差のない語。実業家。経営者。また、会社員。事務員。
(注5)人口10万人あたりのサウナ数:日本経済新聞は、全国の自治体でのサウナの設置数を比較するため、人口当たりのサウナ数を計算した。しかし、サウナ数は、人口数に比べて著しく小さいため、極めて小さい数字になる。試みに山梨県の計算を示すと以下である。
山梨県の人口:806,201人(2021年)、サウナ数:242カ所、
人口1人当たりのサウナ数:242÷806,201=0.000301
これではわかりにくいので、この数字に10万を掛ける
0.000301×10000(10万)=30.1
こうして分かりやすい数字とし、10万人あたりのサウナ数を指標として採用している。
(注7)プロモーション(promotion):セールスの助長、推進、奨励。販売促進のための宣伝資料。プロモーション動画:販売促進のための動画。
(注8)日本経済新聞2023年1月28日(1面)に掲載された図表1「人口あたりのサウナは山梨県、長野県、石川県で多い(図表1、注8)。(注)人口10万人あたりのサウナ数。サウナ情報サイト「サウナイキタイ」の2022年12月15日時点記載分、人口は2021年10月時点。
(注9)日本経済新聞2023年1月28日(1面)に掲載された図表2「サウナは新型コロナ禍でも関心を集めている(図表2、注9)」。(注)検索キーワード「サウナ」の検索頻度を指数化したグーグルトレンド(国内)。
(注10)日本経済新聞2023年1月28日(1面)に掲載された図表3「国内で約1600万人もの利用者がいる(2021年)。」(注)日本サウナ・温冷水浴総合研究所2021年12月調査、推計値。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2023年:1月28日(2面)。
[付記]2023年3月10日。
[追記]
私は、図表1をまとめていた際に、大きな疑問を感じていました。図表1の分析では、サウナ数が全国で1番多い東京都と、2番目に多い大阪府が、「自治体単位でサウナ数が多い処」に出てこないのです。
「人口10万人あたりのサウナ数」は、日本各地のサウナの活況を比較検討するには、とても都合が良い指標でした。でも、東京・大阪などの巨大都市は、人口が余りに多いので、10万人当たりのサウナ数を計算すると、その数値は小さくなってしまうのです。すなわち、この数字の取り扱い方は、充分考えておく必要があります。この点に関しては、3月13日に発信する次報で述べます。


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