[日本再生]「ごみ処理対策」全国市区町村の2割が「ゴミ処理費」を削減した(その1)2022年12月19日 鹿児島県十島村・岡山県奈義町など416自治体(市町村)がごみ処理費を削減
- honchikojisitenji
- 2022年12月20日
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続木 碧(つづき あお) 2022年12月(研究報告№025)
☆巻頭の一言
高齢化が、ますます進展し、人口減少もさらに進む中で、膨張し続ける日本の「ごみ処理費」。この膨張を止め減少に転じることは、ポストコロナ時代の日本と日本人の喫緊の課題です。でも、このきわめて困難なテーマも、解決の糸口が見えてきました。
「ごみ処理対策」全国市区町村の2割が「ゴミ処理費」を削減した(その1)
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「ごみ処理対策」全国市区町村の2割が「ゴミ処理費」を削減した(その1)鹿児島県十島村・岡山県奈義町など416自治体(市町村)がごみ処理費削減]
ここでは日本経済新聞の2022年10月15日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
リサイクル処理の増大などで、全国のごみ処理費は2020年度、2兆1000億円を突破しました。人口減少で、ごみ施設の維持管理も難しくなりつつあります。そうした中で、全国の市区町村の2割が住民1人あたりの処理費を2011年度比で減らしました。鹿児島県十島村や岡山県奈義町は、民間や周辺自治体との連携で効率化を進めました。(参考資料1、2022年10月15日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、深野尚孝、井田正利)を参照引用して記述)
[わが国のごみ処理事業経費の状況]
環境省の一般廃棄物処理の実体調査によりますと、2020年度のごみ処理事業経費は、2兆1290億円と2011年度の1兆7904億円から2割増加しました。
事業経費は環境意識の高まりとともに、1990年代に、ダイオキシン類対策特別処置法が施行された翌年の2001年度には、2兆6029億円まで膨らみました。その後、投資の一巡で下落基調に転じましたが、2013年度以降は老朽化した設備の更新もあって、再び増加に転じました。
自治体財政が厳しさを増す状況で、処理や維持にかかる費用を抑制することが不可欠となっています。
[処理費圧縮自治体416市区町村]
市町村別で1人あたり処理及び維持管理費をみますと、2011年度比で、圧縮した自治体(市区町村)は、74.9%減らした鹿児島県十島村(1人あたり処理費は829円)など、416市区町村ありました。
[鹿児島県十島村など]
南北160キロメートルにわたり有人7島が点在するトカラ列島の中の十島村などは、2007年、処理量が少なく高コストになりがちだった年内の最終処分場を閉鎖しました。島外の民間施設に委託する一方、島民への環境啓発を進めました。各島で出た燃やすごみも従来は焼却施設を持つ4島に集約して処分していましたが、原油高に伴って高まる海上輸送コストの抑制を狙い、2018年から焼却施設を順次増設し、全7島に完備しました。
[岡山県奈義町]
削減率74.3%減の岡山県奈義町(2632円)は、津山市、鏡野町、勝央町、美咲町との1市3町で、津山圏域資源循環施設組合(津山市)を組織し、広域処理で人口減に対応しました。2016年3月に総事業費145憶円をかけた総合ごみ処理センター「津山県域クリーンセンターが稼働し、1日128トンを焼却処理しています。町の支出は毎年度1442万~4829万で、圧縮効果は最大5分の1程度となります。
人口は2020年度時点で583人と、2011年度に比べ8%減りました。岡山県税務住民課は、「人口が減少する中、インフラをどう維持するかが課題となります。持続可能な住民サービスを提供するため広域連携は不可欠です」と話しています。
[北海道栗山町]
他の自治体との連携に取り組む処は、増えています。71.0%増えた北海道栗山町(2万366円)は、処理費削減を進めるため、千歳市など2市3町が参加する組織である「道央廃棄物処理組合」に加入し、2024年度から新たな焼却施設で共同処理します。なお、北海道栗山町は「新施設の負担金を差し引いても年数百万円のコスト減につなるがる」とみています。
コスト低減には、コミュニティの協力が不可欠となります。少子高齢化の進展で人口密度が低下する地域では、住民自らが所定の場所にゴミを集める「集団回収」が効果を生みます。
[北海道せたな町]
北海道せたな町(51%減、7033円)では、行政に代わって市街地の子ども会などが古紙を回収し、経費軽減につなげました。町内では、近年,日用品の購入などをインターネット通販に頼るケースが増えており、包装用段ボールの廃棄量が増加傾向にあります。集めた古紙は回収業者に引き取ってもらい、会の財源として活用します。責任者を務める竹内佑輔さんは、「町の回収コスト削減にもつながり、ウインウインの取り組み」と話しています。(参考資料1、2022年10月15日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、深野尚孝、井田正利)を参照引用して記述)
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2022年10月15日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が掲載されていました。①一人当たりごみ事業経費(2020年度 2011年度比)、(図表1、注1)。②市町村別一人あたりのごみ処理経費を削減した主な自治体(2020年度 2011年度比)、(図表2、注2)。③全国のごみ処理経費、(図表3、注3)。
図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図が示されており、2020年度の住民一人当たりのごみ事業経費が茶色の濃淡で塗り分けて示してありました。住民一人当たりのごみ事業経費が最も少ない地域は、経費が1万4000円未満の処で、最も濃い茶色で示してありました。この1万4000円未満の処は、群馬県、埼玉県、神奈川県、愛知県の4県でした。
次に一人当たりの事業経費が低かったのは、1万4000円以上1万5000円未満の処で、新潟県、山梨県、大阪府、宮崎県の4府県でした。この合計の8府県が、住民1人当たりのごみ事業経費の少ない自治体(府県)です。
この図を見渡してみますと、首都圏を中心に住民1人あたりのごみ事業の低減が進んでいるように見えます。でも、この改革で、最重要の東京都の改革進展は、かなり遅れているのです。ですから、この改革は、まだ、道半ばだと思います。これから、大きな展開が進むと思われます。
図表2では、市町村別の住民1人あたりのごみ処理経費を削減した主な自治体(市区町村)が、表で列記されていました。これを以下に示します。
経費 経費増減
1位 鹿児島県十島村 9829円 ー74.9%
2位 岡山県奈義町 2632 ー74.3
3位 長野県生坂村 2667 ー73.0
4位 長野県筑北村 1901 ー68.9
5位 沖縄県渡名喜村 1万9579 ー56.1
6位 秋田県上小阿仁村 6524 ー53.9
7位 福島県昭和村 4060 ー52.4
8位 栃木県矢板市 2594 ー51.5
9位 北海道せたな町 7033 ー51.0
10位 静岡県御殿場市 9222 ー50.7
(注記)建設改良費にかかる費用は除き、組合分担金は含む。出所は環境省「一般廃棄物
処理実態調査」
この表を見て驚きました。ごみ経費の削減率の1~7位の.市区町村別を見ますと、「村」が6カ所を占めています。村が圧倒的に多いのです(村6、町1)。日本では近年、村は少なくなっています。でも、ここでは、その村が多いのです。
日本では、村は人口の減少が著しいのです。ですから、住民1人当たりのごみ事業経費は拡大しています。このため、規模が小さい「村」は、特に危機感が強いのでしょう。でも一方で、規模の小さい「村」は、改革への対応は、迅速にできるはずなのです。
組織の大きいところは、どうしても、動きが遅いのです。これは、現在の日本国の動きの遅い姿を、そのまま示しているように思います。国も国民も、心を合わせて、重要事項の解決を迅速に進めることに、全力を注がねばなりません。
図表3では、2000年から2020年にかけての、全国のごみ事業経費の推移を折れ線グラフで示してありました。2001年度の2兆600憶円の大暴騰から、投資の一巡で急落し1.7~2.0兆円弱の水準で推移し、2013年から老朽化した設備の更新で、再び上昇したごみ処理事業経費の推移を、このグラフは、そのまま映しだしていました。
(参考資料1、2022年10月15日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、深野尚孝、井田正利)を参照引用して記述)
(注1)日本経済新聞2022年10月15日(2面)に掲載された図表「①一人当たりのごみ事業経費(2020年度)。」注記、環境省「一般廃棄物処理実態と調査」。
(注2)日本経済新聞2022年10月15日(2面)に掲載された図表「②市町村別1人あたりのごみ処理経費を削減した主な自治体 2020年度 2011年度比」。注記、建設改良費にかかる費用は除き、組合分担金は含む。出所は環境省「一般廃棄物処理実態調査」
(注3)日本経済新聞2022年10月15日(2面)に掲載された図表「③全国のごみ処理経費。注記、(出所)環境省。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年10月15日(2面)。
[付記]2022年12月19日。


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