持続性のある地方の営み
- honchikojisitenji
- 2023年2月21日
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昨年秋、大阪府の南東端の千早赤阪村に参りました。楠木正成、正行の本拠地で有名な山里ですが、この地に吉野の林業と並び立つというかそれを超えるような河内林業があったことを学びました。そして、その林業の系譜は残ってはいるものの、地域としては林業が基幹産業として持続しているとは言えない状況も学びました。
戦後の復興期から高度経済成長期に当たって、木材の需要が供給を上回り、恒常的な木材不足に陥りました。木を伐り過ぎて、山は荒れ、洪水や土砂災害なども多数発生したようです。都市では木造の建物を作らないように、政府、国会、学会が決議するという事態を招きました。が、需給ギャップから木材の価格が高騰したために、さらに伐採が若い木もある程度太くなるのを待たずに伐るほどの過剰な伐採が行われました。木材は儲かるというので、その後の造林はされましたが、伐る木、売れる木がなくなり、旺盛な木材需要を満たすために1964年に自由化された外国から輸入される木材に供給を依存せざるを得ない状況になりました。まさに木材生産を持続することができなくなるとともに、植栽木の保育投資に費用がかかるばかりでした。国産の木材は儲からない、収入を上げられないことで、国内や地域内で大きく経済的地位を落としてしまったのです。
河内の林業は、まさにこの間の伐り過ぎて、持続性を失ってしまった典型のようです。私自身も、林業地として河内林業という言葉を学んだり、耳にしたことはありませんでした。林業の持続性とは資源、環境の持続とともに、経済の持続性を兼ね備えていなければならなかったのです。
このことを痛い経験として反省し、森林・山村を抱える地方の創生には、もう一度持続性のある林業を再建することが必要なのだと思います。とにかくまずは儲けることがなければ人はいなくなるのです。


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