手入れの履歴が如実に出る人工林資源
- honchikojisitenji
- 2023年3月31日
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今回も智頭のスギ人工林のお話。林齢はおよそ150年です。こちらの写真は維新杉です。
前回の慶長杉と比べると、このような森林があのように育つのだな、と納得できます。
1mは積もる積雪地帯。根曲がりもせずスッとした幹をしています。太さが揃っているのが、明治~昭和にかけて適切な間伐が意図的に行われた証拠です。しっかりと手入れがなされた人工林だと思います。
手入れが行き届かない人工林は、根元が雪に押されて幹が曲がったり、枯れ枝がたくさん残っていたり、不定芽という太くなった幹に後から出てくる枝が出ていたりします。年数と太さだけでは優れた木とは評価されません。木材として利用されるのに有利なように手入れされて来たのです。
地域の資源を利用するうえで、現状で、そこに何らか付加価値が付いているものがあると有利です。この人工林の場合、その付加価値とは手入れの歴史なのです。製材されたときに、どのような木材が生まれるでしょう。年輪の幅が揃ってきれいな木目を自然がデザインしてくれています。死んだ枝の跡(死節)も出ないでしょうし、もちろん木材に節穴が発生することもありません。
また、歴史を語ることで、違った付加価値を付けることも可能になるでしょう。歴史が木材の価値を上げるようにマーケッティングするというだけでなく、観光資源や人間教育という価値につなげることも考えられます。
地域の森林資源を利用した地域の活性化に、先人たちの御労苦の結晶である人工林の資源が貢献してくれることを願ってやみません。


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