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[地域創生]ドローン活用  市町村の3割が農畜産業を省力化(その1)  2022年11月14日  宮崎県先行 高知県 自然災害迅速に把握

  • honchikojisitenji
  • 2022年11月14日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2022年11月(研究報告№012)

☆巻頭の一言 

小型無人機(ドローン)による搬送の実用化が急速に普及してきました。ドローンによる物流の合理化は、ポストコロナにおける変革の重要なものの一つです。ドローンの飛行に対する規制は、いよいよ、強まりますが、この規制を超えて、この改革は急速に展開します。

  

[ドローン活用  市町村の3割が農畜産を省力化]

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

 宮崎県先行 高知県 自然災害迅速に把握

ここでは日本経済新聞の2022年8月20日の2面記事を紹介します。

[はじめに]

ドローン(小型無人機)を2021年度時点で実用化した自治体は、全体の1割まで増えてきました。人材や財政面で大きな負担となる農地や橋の点検などに活用し、省力化につなげます。人口集中地区の飛行制限など規制が強まる現状を逆手にとって、自由な飛行が楽しめる地域へ愛好家を呼び込む「ドローンツーリズム(注1)」の模索も始まりました。


[ドローンを実用化している自治体223]

 経済産業省の「自治体のドローン・自動配送ロボット等の利活用促進に向けた調査」(2021年度)によりますと、都道府県を含む全1788自治体のうち、実用化している自治体が223ありました。導入自治体の割合が最も多かったのは、宮崎県の29.6%でした。以下高知県(25.7%)、石川県、鳥取県、島根県(いずれも25.0%)が続きます。


[宮崎県]

 宮崎県都城市は、職員が1日かかりきりで確認していた農地の耕作状況調査にドローンを活用しました。上空から確認すれば耕作状況は一目瞭然となります。

 遠隔確認の利点は、外部からの病原菌を持ち込ませないことが重要な畜産業でも、効果を発揮します。宮崎県川南町は外部に一部委託してきた農場の見取り図作成に、ドローンを活用しました。町職員自ら運用できるようになり、2022年6月には、伝染病の発生に備え、埋却地の選定調査にも使いました。


[高知県]

 2位の高知県は、災害発生時にドローンを飛ばすことで被災状況の迅速な把握を目指します。2014年度に導入を始め、現在、県庁(知事部局、教育委員会計)だけで100台を保有しています。

 県土に占める森林は全国一の84%です。県内には、容易に足を運べない土地が多いのです。2022年7月、線状降水帯による大雨で、土砂崩れが起きた中土佐町でもドローンが出動し、被害を把握するとともに復旧工事の計画策定に活躍しました。

四万十町では災害に備えて導入したドローンを、認知症の高齢者の捜索や、地上からは把握が難しい太陽光発電システムなどの固定資産確認に活用しています。買い物弱者の救済に向け、2021年度には歯磨き粉などの生活用品を運ぶ実証実験も実施しました。

 

[千葉県]

 老朽化が進むインフラの点検に活用する自治体も多いのです。国土交通省が2019年、定期点検要領を見直し「『近接目視』と同等の診断を行うことができる方法」を認めたことから、千葉県君津市は2020年度から橋梁点検に導入しました。2022年度には100カ所の点検に用いる見込みです。ここでは「近接目視」を、ドローンの映像を使って実施しました。職員が操縦から診断まで一貫して行うことで、専門業者への委託に比べて、費用を5年間で5000万円圧縮できる見込みです。


[ドローン活用の法整備が進む]

 ドローンには、安全面の懸念もあります。国は2015年に首相官邸屋上で、未確認のドローンが発見された事件を機に、空港や人口集中地区などの飛行制限に踏み切り、夜間やイベントなどでの飛行も原則承認が必要となりました。2022年6月には、重量100グラム以上の機体も規制対象となり、機体の登録も義務化されました。年内には操縦ライセンス国家資格制度も始まるなど安全な運行体制構築のための法整備が進みます。


[徳島県・石川県]

 こうした状況を好機とみる自治体もあるのです。徳島県那珂町は「日本一ドローンが飛ぶ町」を目指して、私有地上空の飛行許可を町が事前に取得しました。こうして手続きを簡素化したのです。自由に飛ばせる利点に目をつけて、大勢の愛好家が集まっています。

 石川県加賀町でも、2021年8月、体験ツアーを実施しました。通常は飛行が制限される花火大会を空撮できるとあって好評を博し、これを実施した人達の間では、さらなるドローンツーリズム(注1)の拡充が、視野に入ってきています。(参考資料1、2022年8月20日、日本経済新聞(瀬口蔵弘、富田龍一、松尾哲司)を参照引用して記述)


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した、2022年8月20日の日本経済新聞の記事には、三つの図表が掲載されていました。①ドローンが実用化されている自治体の割合。(図表1、注2)。②ドローンを利活用する主な自治体の取り組み。(図表2、注3)。③無人航空機飛行に係わる承認許可申請件数。(図表3、注4)。


図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図が示してあり、各都道府県別の「ドローンが導入され、実用化されている自治体(市町村)の割合」が青色の濃淡で塗り分けてありました。

ここでは、各都道府県ごとのドローンが導入され実用化されている市町村の比率(%)を15%以上と、15%未満の2群に分けドローンの導入が進んでいる市町村が多い地域と少ない地域に分けてみました。

この結果、各都道府県内の全市町村の内、ドローンが導入され高いレベルで実用化されている市町村の数が、15%以上ある自治体(都道府県)は、、北海道、岩手県、秋田県、新潟県、茨城減、長野県、岐阜県、石川県、神奈川県、静岡県、鳥取県、島根県、広島県、山口県、和歌山県、徳島県、高知県、佐賀県、宮崎県の19道県でした。

 新聞の日本列島の地図を、2色に色分けしてみますと、ドローンが実用化されている地域は全国的にほどよく拡がっていると感じました。でも、日本の未来を牽引していく大都市である、東京・大阪・京都・名古屋は、ここでの進んでいる地域には入っていません。これらの地域は、輸送手段には、まだ、切迫感がないのかもしれません。でも、ちょっと本気になれば、ベスト20位には、すぐ入って来るでしょう。しかし、この4大都市の市町村は、むしろ強力に日本全体の未来を牽引して貰わねばならない存在なのです。ですから、何か対策を講じる必要があるかもしれません。


図表2には、ドローンを利活用する主な取り組みが表記されていました。要約すると以下です。

(1) 大分県では、産官学による協議会を設置して、230人以上の会員が参加し、ドローンの活用について、熱い議論をしています。利用者と事業者のマッチングに力を注いでいます。

(2) 神奈川県大和市では、消防本部隊員が、赤外線カメラで、くすぶる火種を特定しています。消防本部の全隊員をパイロットに育成しています。

(3) 静岡県焼津市では、大規模火災に備え、防災航空隊を結成しています。映像の共有で、指揮精度を向上させています。

(4) 石川県加賀市では、市内の3D地図を作成しています。目視外でも電線や鉄塔などを避けてドローンを飛行させることが出来るようになりました。

(5) 長野県伊那市では、山間部の買い物支援サービスの事業化を実施しています。当日の注文で商品をドローンで配達しています。


 これらの取り組みは、どの地域でも、すぐ取り組めるテーマです。各地で多くの事例が始まっていますから、各地の情報を共有し、一斉に進めれば、各地は、急速に便利になり安全になります。


図表3には、2016年度~2021年度における、無人航空機飛行に係わる許可申請件数が折れ線グラフで書かれていました。2016年度の2万件弱から、右肩上がりで2020年度の8万件弱まで、一気に増加しています。ドローンの許可申請は、今後、急速に拡大するものと思われます。


この研究報告を書いていて、ここへきて自治体職員の方が、自らコンピュータやスマホを使って、AIやIoTのような先端ソフトを使いこなし、橋梁などの検査を実施できるようになってきたことを知りました。それで、年間、5000万円も節約できる事例も出ています。

 自分で出来るようにして、人に頼まないのが一番効率が良いのです。精度も品質も自分で責任が持てるのです。それに安上がりなのです。

 民間企業も、ある程度大きい会社では、社内の人が勉強して、自分でやって業者に頼まないのが一番コストが安いのです。業者に頼むための会議。これがなくなればコスト削減は甚大です。


 でも、自分でやらないで、業者を呼ぶ癖は、なかなか、直らないでしょう。ですから、市町村職員の方は、どうか見本を示してください。お願いします。

 日本社会が人口減少の中で生き残っていくには、生産性を上げていかねばなりませんが、このあたりが、実は最大の鍵なのです。壁なのです。

 日本の産業社会は、中小企業に支えられています。この中小企業の社員に、自治体の職員の方が、自分で直接やることの面白さとやり甲斐を知ったことを、教えて上げてください。きっと、砂が水を吸い込むように、小さい企業の若手は吸収すると思います。そうすれば、日本人は、みんな一緒に元気になるのです。今の世の中は、それしか無いのです。


(注1)[ドローンツーリズム]: ツーリズム(tourism) :「関心を持たれる場所を訪れるための商業的な組織や運営」と定義される。ドローンツーリズム: 関心を持たれる場所を訪れるため、ドローンの持つ優れた機能を最大限に発揮させるために、関連する全てのものを組織化し、それを最大限に運営すること。具体的には、最高の景色を撮影しながら、ドローンのスキルの深層を学び、高度の空撮を楽しみ、さらに地元の最高に美味しい食べ物や凄い名所を巡り、神仏などの日本文化の神髄を楽しむ。結局ドローンツーリズムはウィズコロナ時代の新しい観光のカタチです。観光地に行かないで、多くの人と密集しないで、「これまで見たことのない極限のものを見る!」を実現します。

(注2)日本経済新聞、2022年8月20日(2面)に掲載さた図表「①ドローンが実用化されている自治体の割合。注記、経産省が実施した2021年度「自治体のドローン・自動配送ロボット等の利活用促進に向けた調査」の調査報告書から算出。

(注3)日本経済新聞、2022年8月20日(2面)に掲載さた図表「②ドローンを利活用する主な自治体の取り組み。

(注4)日本経済新聞、2022年8月20日(2面)に掲載さた図表「③無人航空機飛行に係わる承認許可申請件数。出所:国土交通省。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年8月20日(2面)。


[付記]2022年11月14日。

 
 
 

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