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[地域再生]美食の里「香れ山梨」2022年12月16日 「ワイン客」を誘客し新たな文化を育む。シェフ連携・県産品の活用。都内名店が山梨へ続々参入

  • honchikojisitenji
  • 2022年12月20日
  • 読了時間: 5分

続木 碧(つづき あお) 2022年12月(研究報告№024)

[美食の里「香れ山梨」

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

[美食の里「香れ山梨」。「ワイン客」を誘客し新たな文化を育む。シェフ連携・県産品の活用。都内名店が山梨へ続々参入 

ここでは日本経済新聞の2022年10月13日31面の記事を紹介します。

[はじめに]

「ワイン県」をうたう山梨県で、フランス語で美食を意味するガストロノミー(注1)の文化を育む動きが広がっています。山梨県では、人気店のシェフ(注2)らが連携し、県産食材を使って飲食店のレベルアップを図る活動を進めています。東京都内の有名店が拠点を山梨に移す動きも追い風になっています。県はワインと美食との相乗効果で「やまなし」ブランドの価値を高め、国内外からの誘客強化につなげたい考えです。(参考資料1、2022年10月13日の日本経済新聞の31面(松永高幸)を参照引用して記述)


[山梨県韮崎市]

山梨県韮崎市に、週末なかなか予約が取れない店があります。フランス料理店キュウエットは、ぶどう畑の中にたたずむ一軒家のレストランです。JR韮崎駅から車で10分かかり交通の便がいいわけではないのですが、首都圏など県内外からリピーター客が絶えないのです。

 オーナーシェフ(注2)の山田真治さんがフランスでの修行時代、畑の中にある店に感動し、県内で同じような環境の土地を6年ほど探し求めて、2003年にオープンしました。「フランスでは田舎に有名店が多くあるのです。良い料理を提供すれば客は来てくれる」。山田さんが信じた夢は現実となったのです。


[山梨県やまなし美食コンソーシアム]

 山梨県は2020年秋、県独自の美食文化を育てようとシェフやソムリエ(注2)で構成する「やまなし美食コンソーシアム(注3)を発足させました。山田さんは、県に請われてメンバーになりました。「東京から訪れる客の声を聞いて、地元食材の質の髙さを確信していました。山梨ならではの料理の評判はもっと高められる」と山田さんは思ったのです。

 コンソーシアム(注3)では、シェフやソムリエ(注2)が、良質な県産食材の生産者を紹介し合うなどの情報交換を通じて、お互いを高め合っています。イベントを開いて、県産食材の料理の魅力を業界関係者に伝える活動も展開しています。                                           

 2022年10月6日には、県内の飲食店や生産者50人を集めてセミナーと意見交換会を開催しました。


 人気店が連携する効果は大きかったのです。「かっては他の店を、客を奪い合う競合としか見ていなかったのです。」「しかし、情報交換で受ける刺激は大きく、自分の店のレベルアップにもつながっているのです」と山田さんは言っています。山田さんは、横のつながりが生み出す新たな価値の大切さを認識するようになったのです。


[山梨県・山梨ガストロノミー(注1)を全国に発信]

 現在、全国550のフレンチレストランが参加して、特別価格でコース料理を提供するイベント「ダイナースクラブレストランウィーク」が開催されています。その注目のシェフ(注2)の一人に山田さんは選ばれました。山田さんは山梨の旬の食材を使って、山梨ガストロノミー(注1)を全国に発信しています。山梨県も自治体パートナーとして、同イベントに初参加しました。


 このコンソーシアム(注3)で、アドバイザーを勤めるのは東京・麻布十番の日本料理「可不可」を経営する宮下大輔さんです。宮下さんは、「これまでの山梨には食を目的に、わざわざ訪れたくなる魅力が薄かった」と、今は、山梨ガストロノミー(注1)の育成活動を先導しています。


[山梨県都内から有名店移転]

この活動には、さらに追い風も吹いています。飲食店業界の関係者が一目置く有名店「TSUSHIMI(ツシミ)が2022年5月に、都内から韮崎市に移転オープンしました。オーナーシェフ(注2)の都士見セイジさんは、「自然豊かな環境で店を開きたかったのです。当初は食材調達を心配したのですが、探すと野菜の種類も豊富で質も高いことが解りました。東京からの距離感もいいのです」と言っています。


 2018年には、ミシュラン三つ星を7年連続で獲得した江崎新太郎さんが都内の店舗を閉め、山梨県北杜市の八ヶ岳南麓に「八ヶ岳えさき」を移転オープンしています。「山梨の水や空気、食材はモチベーション(注4)を高める」と江崎さんは言っています。

(参考資料1、2022年10月13日の日本経済新聞の31面(苅谷直政)を参照引用して記述)


[まとめ]

 山田真治さんは、「2人は別格です。料理や店造りの勉強になります。山梨ガストロノミー(注1)のレベルを高め、国内外に広く知ってもらうためにも大きな存在です」と言っています。

ここでは、横のつながりが生れ、外からの高度なノウハウが吸収されています。さらに魅力ある美食文化が創出されており、地域に広く浸透しつつあります。これはさらに、日本各地に波及していくでしょう。世界に拡散していくでしょう。日本の未来を支える太い柱になって行くものと、私は確信しています。(参考資料1、2022年10月8日の日本経済新聞の39面(苅谷直政)を参照引用して記述)


(注1)ガストロノミー:: gastronomie、: gastronomy):食事文化の関係を考察することをいう。料理を中心として、様々な文化的要素で構成される。すなわち、食や食文化に関する総合的学問体系と言うことができる。美術社会科学、さらにはヒト消化器系の点から自然科学にも関連がある。ここでは美食の意味で使われている。

(注2)シェフ:料理人の責任者、コック長。ソムリエ:フランス料理などで、ワインの仕入れ・管理を担当し、顧客の相談を受けてワインを選定・提供する専門職。オーナーソムリエ:事業経営者のソムリエ。

(注3)コンソーシアム:この語の語源は国際借款団。発展途上国への経済援助についての調整を行うために、先進工業諸国の政府や銀行が設ける機関・会議であった。これが民間の業務でも、調整・決定・管理が難しいもののために設けられる組織も、コンソーシアムと呼ばれるようになった。

(注4)モチベーション:動機を与えること。動機づけ。誘因。

(注5)オープンイノベーション:組織のあらゆる面での改革(イノベーション)において、組織内におけるリソース活用にとどまらず、組織内外のリソースを積極的にオープンにすることで、改革の達成と市場拡大に向かっていくこと。リソース:資産、資源。コンピューターで要求された動作の実行に必要なデータの要素。CPU・記憶装置・ファイルなど。

(注6)キュウエット:山田真治さんが、山梨県のぶどう畑の中に建てたフランス料理店。

ガストロノミー(注1)の実現を目指している。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年10月13日(31面)。


[付記]2022年12月16日。

 
 
 

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