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北山杉の復興を探る

  • honchikojisitenji
  • 2024年2月4日
  • 読了時間: 2分
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昨年晩秋に京都の北山杉を見てきました。大学生時代以来でした。

大学時代は、まだ、磨丸太の床柱生産が盛んで、京都北山と言えば国産材生産の優良林業地の一つとして有名でした。矩形ではなく三角形で植栽木の距離を等間隔にして6千本/㎡を植える、徹底した枝打ちを行い肥大成長を抑える、天然絞と言われる銘木床柱を人工的に模した人工絞丸太を育成をする、製材するのではなく丸太のまま木部表面を砂で磨く、といった、他人、他所と違うことを行って、特別の需要を作り出して儲けていた林業地です。スギでは嫌われがちな不定芽の発生の能力を逆手に取った木材の生産を、台杉仕立てというこれも他にはない形で行ってきた林業地です。

しかし、住宅の嗜好が洋風となり、大壁造の工法が中心となって、床の間どころか和室もないような住宅が太宗を占めるようになり、床柱、数寄屋造りといったような需要は激減してしまいました。床柱生産に集中していた北山の林業は大きな苦境に陥っています。廃業される磨丸太業者さんが多い中、磨丸太材の需要を作るため装飾性の高いデザインを用いるような店舗やオフィスなどの非住宅の物件に磨丸太を使ってもらうほか、絞丸太を木目に特徴がある製材品として販売することなども模索していました。また、数寄屋造り建築の垂木に使って来た北山台杉仕立ての細丸太生産を森林を破壊しない持続的な林業として世界にPRして、この細丸太生産に更なる付加価値を付けようとしていました。


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この写真は最も古い?北山大台杉として外国からの観光客にも人気のある老株です。昔はこの一本から百本以上の若木を仕立てていたそうです。今は数十本の仕立てとなっていますが、しかし、まだ、びっしりと若木の芽を着けています。台杉仕立ては素性の良い品種の苗木の不足を賄うための対策として考えられたようですが、数寄屋造りに欠くことのできない垂木などの細丸太の生産方法として維持されてきました。観光が地域に及ぼしている効果はまだ限られていますが、この大台杉だけではなく、北山の色々な林業・木材産業の遺産と地域の産物を上手にPRして、地域の活性化を図ろうとしている方にもお会いしました。

大台杉のような一本、二本ではなく、台杉仕立ての森林もあります。


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地域の林業を守る取組が成果をあげて、私たち日本人の知恵と努力の結晶が世界に誇るべきものとして広まって、北山が復興していくことを期待しています。

 
 
 

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