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「日本再生]「地域創生」高度外国人材 滋賀で急増 2023年5月29日 5年で4.9倍、中小の戦力に 専門性、ものづくり支える

  • honchikojisitenji
  • 2023年5月30日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2023年5月(研究報告№068)

「巻頭の一言」

 日本で働く外国人留学生、専門分野・技術分野の外国人労働者が、今、急拡大しています。ここでは、これを、「高度外国人材(注1)」と呼んでまとめました。この人たちが、これからの日本にとって、きわめて重要です。


「地域創生」高度外国人材 滋賀で急増 5年で4.9倍、中小の戦力に 専門性、ものづくり支える

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」高度外国人材 滋賀で急増 5年で4.9倍、中小の戦力に 専門性、ものづくり支える

ここでは日本経済新聞の2023年5月13日2面の記事を紹介します。


[はじめに]

日本で働く外国人のうち、専門的な技術や知識を持つ「高度外国人材(注1)」が活躍の場を広げています。2021年までの5年間で生産年齢人口(15~64歳)に占める人数が、最も多い滋賀県で5倍近くにまで伸びました。主に技術者として、もの作りを支えるだけでなく、国際性や多様性ももたらして、地方企業に活力を生んでいます。

2023年5月13日の日本経済新聞の2面(西田悠史、小山隆司、西堀卓司)を参照引用して記述します。


[高度外国人材の定義] [生産年齢人口10万人当たりの人数の変化を算出]

ここでは在留資格のうち「教授」「高度専門知識」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「技術・人文知識・国際業務」を「高度外国人材」と定義しました。そして都道府県の生産年齢人口10万人当たりの人数の変化を算出しました。滋賀県が、その増加率が4.9倍のトップで、三重県の2.9倍、岐阜県の2.7倍がこれに続きました。

全国での高度外国人材の増加率は、1.7倍で30万人を上回りました。これは在留外国人の約1割に達します。これを職種別にみますと、エンジニアや通訳として働く「技術・人文知識・国際業務(注2)」が、きわめて多く、多くの都道府県で8割以上を占めます。これは専門人材が足りない地方で、存在感を増しています。


[滋賀県]

滋賀県日野町で、放送・医療器機などを加工する日野精機は、日本人とほぼ同数のベトナム人をエンジニアとして生かしています。外国人労働者に国際貢献を掲げた「技能実習」や、人手不足対策の「特定技能」が既にありますが、より専門性が高く将来にわたる戦力とした「高度外国人材」について、2019年に、新たに採用を開始しました。

20歳代のチャン・トウ・ニュウさんは、現地で理工系の短大を卒業後、「技術力の高い日本で経験を積みたい」と1年目に入社しました。来日から4年近い今では、設計から加工まで一人でこなします。いずれは母国で起業するのが夢です。

お手製の器具で作業効率を数倍に高めたこともあります。上司の坂巻和弘さんは「教えた以上のことをやってくれる」と頼りにしています。安藤泰己取締役総務部長はベトナム人の働きぶりが「日本人社員にも刺激になっている」と語ります。同社は住まいの確保や病院への付き添いなど生活面にも目を配り、円安でも人材定着を図っています。

就労後に家族を呼び寄せる高度外国人は多いのです。「保育所や行政窓口から外国人対応の相談が多く寄せられるようになった」と滋賀県国際協会の光田展子主観は明かします。家族を含めた暮らしやすさは、人材を迎えるカギとなります。滋賀県は2019年、就労関連の相談に無料で応じる「外国人材受け入れサボートセンター(注3)」を設けました。


[三重県]

 粘り強く人材を育てる動きもあります。半導体製造装置のメンテナンスを手掛けるJMエンジニアリングサービス(三重県菰野町)では、45人のベトナム人エンジニアが日本人と同待遇で働きます。ホアン・タン・ダットさんは「給与水準が高い上、安全に仕事ができる」と2022年3月に入社しました。

 親会社のジャパンマテリアルの田中智和取締役は、国内で若手の確保に苦労したことから、技術力が均質でグループ作業が得意なベトナム人に着目していました。それで2018年から雇用を始めました。日本語の習熟度が足りなければ、時には、来日を延ばして特訓することもあります。

 同国から日本への留学生を、返済不要の奨学金で支える財団も設立しました。ダットさんは、奨学金を得て三重大学工学部で学びました。


[岐阜県]

 職種や国籍は広がります。木材や石炭など幅広い事業を展開する矢橋ホールディングス(岐阜県大垣市)では、ベトナムやモンゴル、セネガルなど8カ国出身の27人が、エンジニアリングのほか、法務や人事総務などに携わっています。多様な文化や考えは「日本の良さを考え直すことに繋がる」と矢橋龍宣社長は注目しています。


[この項の終りに]

 政府は外国人労働者を巡って、技術実習に代わる新制度や特定技能の拡充などを検討しています。矢橋社長は「優れた人材に入社してもらうには、会社のポリシーがしっかりとしていないといけない。労働力確保の考え方だけでは選ばれない」と強調しています。(2023年5月13日、日本経済新聞の2面、西田悠史、小山隆司、西堀卓司を参照して記述)。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年4月22日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①高度外国人材(注1)は2016年から2021年にかけ、滋賀や三重で大きく増加(生産人口10万人当たりの人数の変化)図表1、注4。「②高度外国人材(注1)は2019年に全国で30万人を突破、図表2,注5。「➂技術・人文知識・国際業務(注2)」が8割以上を占める(高度外国人材の在留資格内訳)」


[図表1]

図表1(注4)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、高度外国人材の2016年から2021年にかけての「生産年齢人口10万人当たりの人数の変化」を青色の濃淡で塗り分けていました。

ここで生産年齢人口10万人当たりの人数の増加が最も大きかった地域は滋賀県で、その増加率は3倍以上でした。その最高ランクは、滋賀県1県だけでした。

生産年齢10万人当たりの人数の増加が、次に大きかった地域は、2016年から2021年の間で2.5倍以上、3.0倍以下だった処で、山形県、長野県、三重県、奈良県、和歌山県、島根県、山口県、熊本県、鹿児島県の9県でした。

結局、全国で生産年齢人口10万人あたりの高度外国人材の増加が多かったのは全国で10県でした。


(2023年5月13日の日本経済新聞の2面(西田悠史、小山隆司、西堀卓司)を参照引用して記述)。


[図表2]

 図表2(注5)は、「高度外国人材(注1)は、2019年に全国で30万人を突破」と 題した棒グラフでした。左側縦欄に、高度外国人材の数、0~35万人が取ってあり、下欄に2016年から2021がとってあります。これに各年の高度外国人数(注1)の棒グラフが記されていました。この棒グラフをみますと、2016年の高度外国人数は20万人で、2019年の32万人に向けて、各年、順調に拡大していました。2019年から2021年は横這いでした。


(注)法務省の在留外国人統計から作成。棒グラフは各年12月末時点。



[図表3]

 図表3(注6)は「技術・人文知識・国際業務(注2)」が8割以上を占める」と題する円グラフでした。ここでは高度外国人材の在留資格別の内訳が、円グラフで示してありました。

 このグラフをみますと、在留資格の内訳で圧倒的に多いのは、「技術・人文知識・国際業務(注2)」で、83.8%を占めていました。以下、経営・管理8.3、高度専門職4.8、教授2.0%が続いていました。


(注)法務省の在留外国人統計から作成。円グラフは2021年12月末時点。


(2023年4月22日の日本経済新聞の2面(西田悠史、小山隆司、西堀卓司)を参照引用して記述)。

(注1)高度外国人材:日本の企業活動を支えているのは、もはや日本人だけではありません。特に、「高度人材」といわれるような高度な知識や技能を有している人材は、国境を越えた獲得競争が激しいのです。高度外国人材には海外とのビジネスのさらなる拡大や、研究開発を通じたイノベーションの創発など、さまざまな分野での活躍が期待されており、日本政府も力を入れています。

(注2)技術・人文知識・国際業務:近年、急速に拡大している高度外国人は、職種別にみると極めて多様で、エンジニアや通訳などをして働く人が多いのです。そこで、これらの人達が担っている仕事の領域を、「技術」「人文知識」「国際業務」を重点としてとりあげ、「技術・人文知識・国際業務」とまとめて掲示しました。その結果、在留資格者の83.8%がこの業務についていると推定されたのです。

(注3)外国人材受け入れサポートセンター:外国人雇用サービスセンターでは、高度外国人材(日本での就労を希望する外国人留学生、専門的・技術的分野の外国人労働者)に対する就職支援等を行っています。「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」で決定される「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」は、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、外国人材の受入れ・共生に関して、目指すべき方向性を示すものです。2022年度から、この総合的対応策は、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」として関係閣僚会議で決定されました。ロードマップの施策については単年度に実施すべき施策を示すとともに、必ずしも中長期的に取り組むべき施策ではないために、ロードマップには記載されていないものも、共生社会の実現のために政府において取り組むべき施策として示しています。

(注4)日本経済新聞2023年5月13日2面に掲載された図表1「高度外国人材は、2016年から2021年にかけて、滋賀県や三重県で大きく増加しています。(出所)総務省「人口推計(各年10月1日時点)と法務省「在留外国人統計(各年12月末時点)。

(注5)日本経済新聞2023年5月13日2面に掲載された図表2「高度外国人材は、2019年に全国で30万人を突破」と題した棒グラフ」、(注)法務省の在留外国人統計から作成。棒グラフは各年12月末時点。

(注6)日本経済新聞2023年5月13日2面に掲載された図表3、「技術・人文知識・国際業務」が8割以上を占める」と題する円グラフ、(注)法務省の在留外国人統計から作成。円グラフは2021年12月末時点。


[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年5月13日(2面)。

[付記]2023年5月29日

 
 
 

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