「日本再生]「地域創生」訪日客案内所 北海道に多く 2023年7月3日 全国で認定1500カ所超 コロナ下でも増設 道の駅やコンビニと提携
- honchikojisitenji
- 2023年7月3日
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続木 碧(つづき あお) 2023年7月(研究報告№072)
「巻頭の一言」
新型コロナウイルス禍も、ようやく落ち着きが見られるようになりました。「外国人観光案内所(注2)」は、各地への「押し寄せ再開を開始」したインバウンド(注1、訪日観光客)の受け入れ窓口として、各地の市町村にとって、極めて重要な存在になってきたのです。
インバウンドの語は、もともとは、「入ってくる」「到着する」を示す英単語「inbound」が語源でした。その語が、近年「訪日観光客」を示す語となっているのです。このことは、日本では今や、「インバウンドと外国人観光案内所」が、未来社会を牽引している重要事項であることを示しているのです。
「地域創生」訪日客案内所 北海道に多く 全国で認定1500カ所超 コロナ下でも増設 道の駅やコンビニと提携
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」訪日客案内所 北海道に多く 全国で認定1500カ所超 コロナ下でも増設 道の駅やコンビニと提携
ここでは日本経済新聞の2023年6月17日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
新型コロナウイルス禍が落ち着き、インバウンド(注1、訪日外国人)も回復基調にあります。「おもてなし」の最前線として全国に拡がる外国人観光案内所(注2)の役割も、改めて重要になりました。北海道や長崎県では、コロナ下でも設置数を増やしたうえ、道の駅やコンビニエンスストアに案内所機能を持たせるなど、より身近な利用しやすい環境の整備も進めています。2023年6月17日の日本経済新聞2面(桜井佑介、若杉敏也)を参照引用して記述。
[外国人観光客案内所認定制度]
日本政府観光局は、外国人観光客案内所の質の向上などに向け、2012年度に認定制度を導入しました。認定施設は、世界でも多く使われている案内所を示す「i」マークを掲示できるなど訪日客へのアピール度を増しています。2023年度4月末の認定数は全国で1516カ所でした。全国で1500カ所という目標は達成しましたが、コロナの影響もあって2020年3月に比べると、京都府は6カ所、大阪府も5カ所減りました。
[北海道]
これに対して北海道は、道の駅への併設が広がり、12カ所増えて106カ所となりました。案内所と訪日客数は直結するわけではありませんが、北海道はコロナ禍前の2012~2019年にも、全国2位の85カ所で認定を取得しています。2019年の外国人の延べ宿泊者数も2012年よりも、700万人増えて4位でした。でも全国の「179の市町村数が、認定数で北海道を超えており、これらの地域と比べるとまだ少ないのです。ですから、北海道は、今後さらに増える可能性は高いのです」と北海道の観光振興課は言っています。
十勝平野のほぼ中央に位置する音更町は「道の駅おとふけ」で2022年4月に、認定を取得しました。土産菓子として人気のある「三方六」で知られる菓子メーカー、柳月(同町)の隣接地にあり、工場を見学する訪日客などの立ち寄り客も見込んでいます。
案内所は、5カ国語で情報発信するデジタルサーネージ(注3)を設置しました。職員がディスプレーヤやプロジェクターなどの映像表示装置を使って、きめ細かく対応します。
今年5月中旬に訪れた50歳代の米国人夫婦は、「レンタカーのガソリンなくなりそう」と少し焦った様子でしたが、職員から給油所の場所などを案内されると、安心した表情で出かけて行きました。
室蘭市も2021年に室蘭港に近い「道の駅見たら室蘭」で認定を受けました。英語のパンフレットと通訳機を設置しました。今年5月には国際クルーズ船の寄港が再開しており、「この認定がPRになって道の駅への来訪も増える」と室蘭市の観光課は見ています。
[長崎県]
増加数が3位の長崎県では、2020年1月に、セブンイレブン・ジャパンと訪日客の「受け入れ環境整備に関する協定」を、全国で初めて結びました。長崎県の外国人宿泊者数は、北海道の10分の1程度ですが、案内所は77カ所まで増え、その8割をセブンイレブンが占めています。
セブンイレブンの担当者は、「実は、これまではコロナ禍でほとんど機能していなかった」と打ち明けていますが、長崎県でも、訪日客は戻りつつあります。「今後は免税対応を進めるほか、訪日客向けにポスターなどの販促物も設置します」とセブンイレブンの担当者は明言しています。長崎県も運営する多言語対応コールセンター(注4)の利用を促すほか「外国人が買い物をしやすい店」として、ホームページでセブンイレブンの店舗情報を発信する考えなのです。
ネットで観光情報を得る訪日客は多いのですが、観光レジエンス研究所の高松正人代表は、「案内所で、かゆい所に手が届くような対面サービスを提供する意義は、きわめて大きいのです」と力説しています。
[この項の終りに]
観光庁によりますと、外国人観光客数が世界一のフランスには、約4000カ所の案内所があります。2080年に6000万人と、コロナ前の2倍の訪日客数を目標に掲げている日本としても、案内所を増やすと同時にサービスの徹底的な充実が欠かせないのです。
高松氏は「観光地は季節や時間帯で繁閑の差が著しく、多言語対応スタッフなどを生かしきれていないケースもある」と強調しています。「これからは、ICT(情報通信技術)を活用した案内所の広域連携も重要になる」と指摘しています。
2023年6月17日の日本経済新聞の2面(桜井祐介、若杉敏也)を参照引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年6月17日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①長崎県や神奈川県も外国人観光案内所を増やした(2023年4月28日現在)」図表1、注5。「②2023年4月末の外国人観光案内所数」図表2,注6。「➂全国で1500カ所の目標は達成している」図表3、注7。
[図表1]
図表1(注5)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2023年4月28日現在の「外国人観光案内所数の増減数」が茶色の濃淡で塗り分けて示してありました。「外国人観光案内所の増加数」が最も多かっ[EM1] た地域は、「観光案内所の数」が2020年3月31日比で11カ所以上増えた処で、全国でこれを実現できていたのは北海道と神奈川県の2道県だけでした。次に「観光案内所の増加数」が多かった地域は、その増加数が6~10カ所の地域で、これは長崎県、秋田県、鹿児島県、山形県、栃木県、長野県、岐阜県、鳥取県、山口県、徳島県の10県でした。また、この茶色に濃淡で塗り分けられた日本地図に、水色に塗った地域がありました。「観光案内所減少地域」です。これは京都府、大阪府、東京都、兵庫県、静岡県の1都2府2県の5都府県です。これには私は驚きました。日本を常に牽引している凄い地域が、ここでは「減少地域」なのです。
(注)2020年3月31日と比べた。2023年4月28日現在の増減数。出所は日本政府観光局。
2023年6月17日の日本経済新聞の2面(桜井祐介、若杉敏也)を参照引用して記述。
[図表2]
図表2(注6)は、「2023年4月末の外国人観光案内所数」と題した表でした。ここでは「外国人観光案内所」の増加数が多い順(または、減少数の少ない順、カッコ内の数字)に、都道府県が示してありました。これを以下に記します。
図表2 2023年4月末の外国人観光案内所数
順位 都道府県 案内所数
1 北海道 106(12)
2 神奈川県 37(11)
3 長崎県 77(10)
4 秋田県 26 (8)
4 鹿児島県 25 (8)
42 東京都 132(▲1)
46 大阪府 51(▲5)
47 京都府 38(▲6)
(注)順位は増減数。カッコ内は2020年3月末比増減、▲は減。
[図表3]
図表3(注7)は「全国で1500カ所の目標は達成している」と題した表でした。ここには、2012年度から2022年度までの「認定外国人案内所」のカ所数の折れ線グラフと、「訪日客数」の棒グラフが書かれていました。
図の左側縦欄に、0~3500万人の訪日客数が記してあり、その各年度にあわせて「訪日客数」の棒グラフが書かれていました。
また、右側縦欄には、200~1600カ所(認定外国人案内所のカ所数)が記してあり、各年度にあわせて~「案内所のカ所数」を折れ線グラフで記してありました。
この2種類のグラフは、ともに、2012年度から2020年度までは、極めて順調でした。しかし、コロナ禍の襲来で、2020年以降は、大きく沈みました。2020年度は激動の一年でした。すなわち2020年度は、全国「認定外国人案内所」のカ所数が、1500カ所の目標を達成した時であり、かつ、「訪日客数」が最低に転落した時でもありました。
訪日客数の棒グラフは、2020年度に500万人を切りました。案内所のカ所数の折れ線グラフは、同年度に全国の目標達成[EM2] しましたが、この時、強く頭うちとなり低迷したのです。(2023年6月10日の日本経済新聞の2面(桜井祐介、若杉敏也)を参照引用して記述)。
(注1)インパウンドとは:辞書では「入ってくる」「到着する」などと訳されるinboundという英単語。ここ数年では訪日観光客・訪日観光を指す言葉として使われるようになった。
(注2)外国⼈観光案内所は、外国⼈旅⾏者にとって地域を訪れた際の窓⼝であるとともに、情報の収集拠点ともなる。 観光案内所として、公平で中⽴的な⽴場から情報やサービスを提供することが重要である。日本政府観光局(JNTO)では、観光庁が定めた方針に基づき、2012年度より、外国人観光案内所の認定制度を運用している。
(注3) デジタルサイネージとは、駅や店舗、施設、オフィスなどに、ディスプレイやプロジェクターなどの映像表示装置を設置して情報を発信するシステムである。
(注4)コールセンターは、顧客からの電話によるクレームや問い合わせなどの対応業務を専門に行う事業所・部門のことである。また、大手企業の問い合わせ窓口のような、電話回線数や対応するオペレータ人数が多い大規模なコールセンターを、「カスタマーセンター」「お客さまセンター」「サポートセンター」などと呼ぶ。業務としては、消費者からの電話を受けるインバウンド(Inbound) と、企業からセールスなどの電話をかけるアウトバウンド(Outbound) の2つに分かれる
(注5)日本経済新聞2023年6月17日2面に掲載された図表1「長崎県や神奈川県も外国人観光案内所を増やした(2023年4月28日現在)」。(注)2020年3月31日と比べた2023年4月28日現在の増減数。出所は日本政府観光局。
(注6)日本経済新聞2023年6月17日2面に掲載された図表2「2023年4月末の外国人観光案内所数」。(注)順位は増減数。カッコ内は2020年3月末比増減、▲は減。
(注7)日本経済新聞2023年6月17日2面に掲載された図表3「全国で1500カ所の目標は達成している」。(注)外国人観光案内所は各年度末の数。訪日客数は1~12月の累計。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年6月17日(2面)。
[付記]2023年7月3日:


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