「日本再生]「地域創生」図書館増 活性化の核に 2023年8月28日 高知の施設 年100万人来館 ツアー企画や起業支援
- honchikojisitenji
- 2023年8月29日
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続木 碧(つづき あお) 2023年8月(研究報告№078)
「巻頭の一言」
全国各地の公立図書館が、地域活性化の核となり始めています。地方都市の中心部の図書館には、年間100万人を超えるテーマパーク級の観客を集める処が現れており、わが国のこれからの地域再生の核になることは確実となってきました。
「地域創生」図書館増 活性化の核に 高知の施設 年100万人来館 ツアー企画や起業支援
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」図書館増 活性化の核に 高知の施設 年100万人来館 ツアー企画や起業支援
ここでは日本経済新聞の2023年8月5日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
本の貸し出しが中心だった公立の図書館の役割が変貌しています。少子化と人口流出が進む地方で、地域活性化を担う施設と位置づけられ、施設数は全国で増加傾向です。高知市中心部の図書館は、年100万人超が訪れるテーマパーク級の集客力を誇り、高知県は人口あたりの貸し出し冊数を10年間で84%伸ばしました。地域外からも人を呼び込もうと各地でアイディアを競っています。(日本経済新聞8月5日朝刊1面(渡部泰成、上林由宇太)を参照引用して記述。)
[地域活性化を担う図書館]
文部科学省の社会教育調査によりますと、全国の公立図書館(一般社団法人などの運営を含む)は、2021年10月1日時点で3394施設と10年間で120施設増えました。多くの自治体が財政難から公共サービスを手掛ける施設の統廃合を進める中で、明治大学の青柳英治教授が述べているように「2000年代以降、図書館は情報センターとしての機能強化を果たして」きたのです。これにより、幅広い層の住民の利用を促してきたのです。
一方、書店の数は急速な減少が続きます。出版文化産業振興財団(JPIC、注1)の調査によりますと、書店がない市町村は全国で26%(2022年9月時点)にのぼります。公立図書館は「地域の知の拠点」としての役割が一段と増す状況です。
[高知県]
総事業費146億円をかけて2018年にオープンした高知県・高知市の共同運営の図書館を核とする複合施設「オーテピア(注2、名称は、建設地の元追手前小学校「オーテ」仲間を意味するピア)」(高知市)は、障害者向けの図書館や星を観察するプラネタリウム(注3)がある科学館を併設しました。県民の知的好奇心に応えようと、これまで利用しなかった層にアプローチし、2019年度の来館者は100万人を突破しました。蔵書は160万冊と西日本トップクラスを誇ります。
きめ細かなサービスも特徴です。司書が定期的に教育機関や企業を訪問し、蔵書やデーターベース利用方法を説明するなどして、利用者の開拓を続けています。電子書籍の取り扱いも拡大したほか、市町村立図書館への配本の回数を拡大しました。これにより施設から離れた住民でも県内の最寄りの施設でオーテピア(注2)の本を読めるようにし、2010年度の貸し出し冊数は106万冊と2014年度比で2倍に拡大しました。
同県の山あいにある梼原町は観光客の呼び込みに生かしています。町立「雲の上の図書館」は世界的な建築家の隈研吾氏が設計を手掛け、建築費12億円で2018年に開館しました。これは地元産木材をふんだんに使った内外装が特徴です。同館をコースに加えたツアーも人気で、週末は台湾の団体客も目立ちます。人口3000人の同町唯一のホテルは2022年の宿泊客が2017年比4割以上増えました。
[鳥取県]
鳥取県立図書館(鳥取市)は、起業支援に力を入れています。中小企業診断士らによる創業勉強会を活用して、起業や商品開発に成功した事例を表彰しています。小林隆示館長は「新たなビジネスを生むことで地域の役に立つ姿をみせたい」と意気込んでいます。
[新潟県]
地域の特色を全国に発信する拠点として活用する例も増えています。江戸時代から続く鍛冶技術で知られる新潟県三条市で、2022年7月に開業した図書館を核とした複合施設「まちやま」は、本だけでなく地元企業が製造に関わった電動ドリルやカンナなどを無料で貸し出す全国初のサービス「まちやま道具箱」を、2023年6月に始めました。ここでは利用者が地元産品を購入してくれる効果を期待しています。
[滋賀県]
一人当たりの貸し出し冊数が全国トップの滋賀県は、1980年ごろから利用を促進しようと、選書などを担当する司書を採用し教育に注力してきました。
[この項のまとめ]
地域それぞれの思いと工夫が詰まった図書館は、子どもから高齢者まで多様な世代を引きつけています。活性化の中核施設として存在感を増しています。これが、これからの日本を牽引する大きな力となるでしょう。(日本経済新聞、2023年8月5日の朝刊1面(渡部泰成、上林由𡧃太)を参照引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年8月5日の日本経済新聞1面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①公立図書館の利用は滋賀県や東京都で活発(一人あたり貸出冊数、2022年度)」、(注)貸出冊数は社会教育調査、人口は住民基本台帳に基づく人口動態調査。「②図書館数と書店数の推移。」(注)図書館数は社会教育調査。書店数は出版科学研究所。2005年度を100として算出。➂「一人あたり貸出冊数の増加率が高かった5自治体。」(注)2020年度と2010年度の比較。人口は住民基本台帳に基づく人口動態調査。
[図表1]
図表1(注4)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、「公立図書館の利用は滋賀県や東京都・高知県で活発(一人あたり貸出冊数、2022年度)」を、緑色の濃淡で塗り分けて示してありました。この結果、「全国の都道府県で公立図書館の利用が最も多かった処は、貸出数6冊以上の地域で、これを色が黒に近い最も濃い緑色に色付けされていました。これが実現できていたのは、1位滋賀県、2位東京都、3位高知県でした。
次に利用の多かった地域は、「5冊以上~6冊未満の利用」の地域で、これは福井県、鳥取県、岡山県、山口県、香川県、佐賀県 の6県でした。
現在、この図表1は、濃い緑色から、淡い緑色まで、緑一色に染められています。日本全国各地で図書館の利用促進が進められているのです。これが人口減少により進む地域の衰退を防ぎ、地域を再生する大きな力になっています。2023年8月5日の日本経済新聞の1面(渡部泰成、上林由𡧃太)を参照引用して記述。
[図表2]
図表2(注5)は「図書館数と書店数の推移」と題した折れ線グラフでした。この図表の左側縦欄には、図書館と書店の数値を60~120カ所の範囲で記していました。下欄には2005年度~2020年度の「年度」の目盛がありました。この縦横の交点に2005年度から2020年度までに至る図書館・書店の数の推移が記してありました。
この図表の上部には、図書館数の推移が書いてあり、これは2005年度の100から2020年度の120への右肩上がりの折れ線グラフが書いてありました。また、下部には書店数の推移が書いてありました。これは2005年の100から2020年度の70へ向けた下降線でした。この図で、図書館の増加と店舗の減少の様子が良くわかります。
[図表3]
図表3(注6)には「一人あたりの貸出冊数の増加率が高かった5自治体」と題する棒グラフでした。ここには、高知県、和歌山県、鳥取県、岩手県、秋田県の貸出冊数の増加率(%)が棒グラフで示してあり、この増加率では、高知県がダントツで、80%を超えていました。3位の鳥取県以下は10%以下であり、5位の秋田県は5%でした。
全国で消滅の危機が最も大きいと危惧されてきた秋田県が、一人あたりの貸出冊数の増加率で、全国5位に入りました。地域再生と維持に特に苦しんできた地域の復活は、大変嬉しいことです。私は、このことで心が明るくなりました。
(注1) 出版文化産業振興財団(JPIC):「出版文化産業と読書活動に係る生涯学習の推進」を 第一の目的とし、出版業界の多くの企業・団体が横断的に関わる一般財団法人である。
(注2) オーテピア:新図書館等複合施設の愛称で、高知市追手筋の追手前小学校跡地の場所にちなんだ「オーテ」と、多くの仲間が集い利用される場にとの願いを込めた「ピア(peer=仲間)」を組み合わせたものである。
(注3) プラネタリウム(planetarium): 投影機から発した光を、ドーム状の天井の内側に設置された曲面スクリーンに映し出すことで、星の像およびその運動を再現する設備あるいは施設を指す。
(注4) 日本経済新聞2023年8月5日1面に掲載された図表1「公立図書館の利用は滋賀県や東京都で活発(一人あたり貸出冊数、2022年度)」、(注)貸出冊数は社会教育調査、人口は住民基本台帳に基づく人口動態調査。
(注5) 日本経済新聞2023年8月5日1面に掲載された図表2「図書館数と書店数の推移。」(注)図書館数は社会教育調査。書店数は出版科学研究所。2005年度を100として算出。
(注6) 日本経済新聞2023年8月5日1面に掲載された図表3「一人あたり貸出冊数の増加率が高かった5自治体。」(注)2020年度と2010年度の比較。人口は住民基本台帳に基づく人口動態調査。
(1) 日本経済新聞、2023年8月5日(1面)。
[付記]2023年8月28日:
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