「日本再生]「地域創生」出生率「西高東低」鮮明 2023年7月17日 2005年比 27都府県で上昇 徳島県・宮崎県復職支援 仕事との両立進む
- honchikojisitenji
- 2023年7月19日
- 読了時間: 8分
続木 碧(つづき あお) 2023年7月(研究報告№073)
「巻頭の一言」
日本の少子化が、なかなか止まらない中で、日本各地の市町村で、懸命な努力が進められており、この数カ月間、日本各地では、なんとか解決の糸口を見付けられていると、私は感じていました。しかし、今回の研究報告では、その流れが大きく変わっていました。
日本列島の各都道府県の出生率の上昇を色分けして、上昇した自治体を茶色の濃淡で塗り分け、減少した地域を水色で塗って見ましたところ、劇的を姿になりました。すなわち、列島の左側半分は、茶色に染まり、奈良県より東側の関東・中部・東北・北海道は、水色一色になったのです。すなわち、九州・四国・中国地方などでは、コロナウイルスの強い影響下でも、この壁を乗り越えて出生率を増加させたのに対して、東及び北側の地域では、厳しく跳ね返されたのです。
「地域創生」出生率「西高東低」鮮明 2005年比 27都府県で上昇 徳島県・宮崎県復職支援 仕事との両立進む
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」出生率「西高東低」鮮明 2005年比 27都府県で上昇 徳島県・宮崎県復職支援 仕事との両立進む
ここでは日本経済新聞の2023年7月1日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
日本の少子化が止まりません。厚生労働省によりますと、一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(注1)は、2022年に1.26にまで低落しました。これは2005年に実例として遺した日本の合計特殊出生率の過去最低記録の再現でした。
これは7年連続の低下ですが、2005年に比べると27都府県で出生率が上昇しました。上昇幅トップの徳島県が、出産後の復職支援に積極的に取り組むなど、働きながら子育てしやすい環境づくりに力を入れる自治体が上位に並んだのです。2023年7月1日の日本経済新聞1面(桜井佑介、蘇我真粧巳)を参照引用して記述。
[新型コロナ禍の影響で2022年に、合計特殊出生率が上昇したのは富山県と鳥取県だけ]
合計特殊出生率(注1)は、15歳~49歳の女性が産んだ子どもの数を基に算出します。2022年は新型コロナウイルス禍の影響などで、2021年より上昇したのは、富山県と鳥取県だけでした。徳島県も142と2年連続で低下しましたが、2005年比では、0.16ポイント上昇しました。宮崎県や鳥取県も0.1ポイント超上がりました。2023年7月1日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、蘇我真粧巳)を参照引用して記述。
[徳島県]
徳島県は、出産後の円滑な復職を後押しするため、産前・産後の負担軽減に取り組んでいます。県内の8割にあたる20町村が、妊娠中や出産後に専門家の相談を受けやすい産前産後サポート事業(注2)を展開しています。
徳島県美波町は、月1回、助産師や看護師らによる相談会を開きます。保育師として働く和佐亜希子さん(41)は、昨年1月に第4子を出産しました。「上の3人は卒乳(注3)に苦労しました。相談会で、『哺乳瓶よりコップを使って慣れさせるといいよ』と教えてもらい、スムーズに卒乳ができました。細かいところまで気を配ってくれて安心」と笑顔です。
町内で出産した母親の9割が相談会に参加しています。同町の担当者は「コロナ下でも出生率は減っていない」と胸を張ります。出産後も働き続ける女性が増えたこともあり、徳島県の2020年の女性管理職比率は19.6%と2005年より5.5ポイントも上昇しました。これは全国でトップでした。
[宮崎県]
宮崎県は男性に比べた賃金水準が、2022年に78%と2005年より13ポイント向上しました。電子・自動車部品製造のえびの電子工業(えびの市)は、社員7000人の7割が女性で、女性管理職比率も3割に達しています。育休の取得率は100%で、取得後の復帰率も100%です。津曲慎哉社長は「宮崎県は友働き・共育てが多く、今後も社員が子育てをしながら働ける体制を強化したい」と力を込めています。
[鳥取県]
鳥取県は、女性管理職比率が2020年に17.0%と2005年よりも6.4ポイント上がりました。平井伸治知事は「子育て王国とっとり」を宣言しています。出産後の復職などを後押しするため産後ケアの無償化(注4)などを進めています。
[この項の終りに]
こうした西日本の自治体に比べて、北海道や東北の自治体の合計特殊出生率は軒並み低下しました。すなわち、著しい「西高東低」が目立ちます。2020年の女性管理職の比率を2005年と比べた伸び幅の平均は、四国・九州が4.5%と、全国の3.9ポイントを上回ったのに対して、北海道・東北は3.3ポイントに止まりました。2022年の出生率が過去最低だった秋田県は、「20代の後半から30代前半の女性が少なく、男性の未婚率も高いのです。秋田県の次世代・女性活躍支援課の担当者は「女性の頑張りを、積極的に応援する空気があるかといった調査で、秋田は下位だった」といい「進学や就職で県外に出た女性がなかなか戻ってこない」と声を落としています。
東北活性化研究センターの伊藤孝子主任研究員も「東北は女性の活躍を後押しする環境が、他地域ほど整っておらず、活躍したい人は、首都圏などに流出してしまう」と指摘しています。
人口問題に詳しい東北大学の吉田浩教授は「かっては世界的にも、女性の社会進出が、これに誘導されて進むほど、出生率が下がっていたが、いまでは、北欧など女性が社会で活躍する地域ほど、出生率は高い」と説明しています。「働きながら子育てしやすい環境を整えられるかで自治体の明暗は分かれてくるだろう」としています。2023年7月1日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、蘇我真粧巳)を参照引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年7月1日の日本経済新聞1面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①出生率が2005年より上昇した自治体も多い。」(注)2022年、合計特殊出生率(注1)の2050年比変化幅。出所は「人口動態統計」。「②出生率が全国最低の東京都が上昇、最高の沖縄県が低下。」(注)▲は低下。*は出生率が過去最低。「➂合計特殊出生率の推移。」(2050年の全国平均は過去最低タイ)。
[図表1]
図表1(注5)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2022年における「出生率が上昇した自治体の上昇率の大きさ」を茶色の濃淡で塗り分けて示してありました。この結果、出生率が、2005年より最も上昇した地域、すなわち、最も濃い茶色の地域は、0.11ポイン以上上昇した地域で、その地域は、鳥取県、徳島県、長崎県、宮崎県の4県でした。
次に出生率の上昇が大きかった地域は、0.06~0.10上昇の地域で、これは富山県、奈良県、和歌山県、兵庫県、島根県、広島県、山口県、福岡県、大分県、熊本県の10県でした。結局、出生率の上昇率が大きかった地域は14県でした。
また、この図表では、出生率が減少した自治体を水色で塗って示していました。そして、茶色と水色の二色に塗り分けられた日本地図を眺めてみて、私は驚きました。日本列島は左側が茶色、右側が水色と、くっきりと色分けされていたのです。この活動は、凄く進んでいる地域と、遅れている地域とが分かれているのです。右側の水色の地域の中に、小さい薄茶色の点があります。東京都と山梨県です。この2カ所が、すれすれの微増で頑張っていました。現在、この一連の活動は、著しく西高東低です。
2023年7月1日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、蘇我真粧巳)を参照引用して記述。
[図表2]
図表2(注6)は、「出生率が全国最低の東京都は上昇、最高の沖縄県は低下」と題した表でした。ここでは「出生率」の増大の変化幅が多い順(ならびに、減少変化幅が少ない順)に、都道府県が示してありました。これを以下に記します。
図表2 出生率が全国最低の東京都は上昇、最高の沖縄県は低下
順位 都道府県 変化幅(出生率)
1 徳島県 0.16(1.42)
2 宮崎県 0.15(1.63)
3 鳥取県 0.13(1.60)
:
17 東京都 0.04(1.04)
31 沖縄県* ▲0.02(1.70)
:
44 秋田県* ▲0.16(1.18)
44 栃木県* ▲0.16(1.24)
46 岩手県* ▲0.20(1.21)
47 福島県* ▲0.22(1.22)
(注)▲は低下。*は出生率が過去最低
[図表3]
図表3(注7)は「合計特殊出生率の推移」(2005年全国平均は過去最低タイ)と題した図表でした。
この表の下欄には、2000年から2022年までの「年」が記してりました。また、この図表の左側縦欄には、1.2~1.7の合計特殊出生率を示す目盛が記してあり、この縦横の交点に、宮崎県、鳥取県、徳島県と全国平均の合計特殊出生率をプロットしてこれを結ぶ折れ線グラフを記していました。
この図表は、合計特殊出生率が大きい値を示した宮崎県、鳥取県、徳島県について、それぞれ、変動の著しい合計特殊出生率を比較して検討していました。その結果、3県は、同じ様なパターンを持っていて、2000年から2022年に向って進行していました。
この3県は、2005年に、等しく急落しました。その後、2015年にかけて順調に上昇しましたが、2015年から横這いになり、2021~2022年にかけて、コロナウイルス禍の影響を受け、また、急落しました。
この3県の中で、宮崎県は、合計特殊出生率において、最も高い水準を維持しており、2013年から2021年にかけて、同県は、合計特殊出生率は1.7を超えていました。次に、鳥取県が高水準を維持しており、同時期に1・6を超えていました。徳島県も1.4を超える水準でした。この3県の3本の折れ線グラフは、交差することなく、独自の領域を同様なパターンで進んでいました。2023年7月1日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、蘇我真粧巳)を参引用して記述。
(注1)合計特殊出生率(TFR:total fertility rate):人口統計上の指標で、15~49歳の既婚・未婚問わない全女性の年齢別出生率を合計したもので、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」を意味する。年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子供の人数に相当する。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる。
(注2)産前・産後のサポート事業:妊産婦等が抱える妊娠・出産や子育てに関する悩み等について、助産師等の専門家又は子育て経験者やシニア世代等の相談しやすい「話し相手」等による支援を行い、家庭や地域での妊産婦等の孤立感の解消を図る事業。
(注3)卒乳:子どもが「母乳」を飲むのをやめること。 以前は「断乳」と呼んだこともあったが、母親が「乳を断つ」のではなく、成長していく中で、子どもが自から「卒業」していくのだという意味を込めて、卒乳と呼ばれるようになった。
(注4)産後ケアーの無償化:利用者が負担する利用料や、自治体が事業者に払う委託費を軽くして普及させること。 産後ケア事業は、出産後1年未満の母親と乳児を対象に、保健師や 助産師 らが保健指導や育児相談などに応じることである。
(注5)日本経済新聞2023年7月1日1面に掲載された図表1「出生率が2005年より上昇した自治体も多い。」(注)2022年、合計特殊出生率(注1)の2050年比変化幅。出所は「人口動態統計」。
(注6)日本経済新聞2023年7月1日1面に掲載された図表2「出生率が全国最低の東京都が上昇、最高の沖縄県が低下。」(注)▲は低下。*は出生率が過去最低。
(注7)日本経済新聞2023年7月1日1面に掲載された図表3「合計特殊出生率の推移。」(2050年の全国平均は過去最低タイ)。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年7月1日(1面)。
[付記]2023年7月17日:


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