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「日本再生]「地域創生」会社員助っ人、行政に刺激 2023年6月26日 市町村に出向、昨年度6割増618人 北海道や三重 DX・企画力で貢献

  • honchikojisitenji
  • 2023年6月26日
  • 読了時間: 10分

続木 碧(つづき あお) 2023年6月(研究報告№072)

「巻頭の一言」

 「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」デシタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX、注1)が、今、コロナ禍が大な疵跡(きずあと)を遺したわが国の観光産業を、力強く復活させようとしています。ここへきて、民間企業の中に「地域活性化起業人(地域の活性化を引き起こす人)」という人たちが、たくさん産出されてきました。この人達がDX(注1)によって、地域の活性化を、強力に進めてくれているのです。

 この地域活性化起業人による、各地の活性化活動は、多様・多彩なカタチで進んでいます。日本は、これから、大きな改革(社会の革命と企業の大変革)の時代に、突入し始めてくれるだろうという大きな希望が、私の心の中で膨らみ始めました。



「地域創生」会社員助っ人、行政に刺激市町村に出向、昨年度6割増618人 北海道や三重 DX・企画力で貢献

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」会社員助っ人、行政に刺激市町村に出向、昨年度6割増618人 北海道や三重 DX・企画力で貢献

ここでは日本経済新聞の2023年6月10日2面の記事を紹介します。


[はじめに]

民間企業の社員が「地域活性化起業人」として、全国の市町村で活躍しています。会社員のまま、知識や経験を行政に生かせます。総務省によりますと、2022年度までの3年間で、派遣人数は4倍となりました。観光振興や特産品開発、デシタルトランスフォーメーション(DX、注1)などの専門人材として、地域に新風を吹き込んでいます。

2023年6月10日の日本経済新聞2面(田崎陸)を参照引用して記述します。


[民間企業の社員を市町村に派遣]

民間企業の社員を「地域活性化派遣起業人」として、全国の市町村に派遣して、活躍させる制度は、2014年度に始まり、2021年度から対象の市町村を大幅に拡大しました。2022年度は前年度比6割増の618人を368市町村に赴かせました。企業と市町村が協議し、入社3年目以上の社員を半年から3年にわたり出向させました。

 市町村が派遣人材の給与などとして支払う経費として、最大で年650万円を補助します。従来の仕事を兼務することはできますが、月の半分以上は、自治体で働く必要があります。


[北海道]

北海道内には、全国最多の92人が派遣されました。北海道のほぼ中央に位置する上士幌町では、2022年12月から小さなコミュニティーバスが自動運転で町民を乗せて走っています。全国でも珍しい市街地での定期運行を実現した立役者が、ソフトバンクの吉原文啓さんです。同年11月から「地域活性化起業人」として働いています。

上士幌町は、2017年からソフトバンクと自動運転の実証運転を続けてきました。吉原さんは、このとき、町が本格運行を引っ張る人材を求めて行った社内募集に、手を挙げたのです。これまでは海外の日系企業の通信インフラを構築する仕事をしてきましたが、新型コロナウイルス禍で、会社のオフィス以外の場所で仕事するリモートワーク(注2)が続き、顧客の顔が見える仕事が出来ませんでした。ここで心機一転を図ったのです。

着任から1カ月で、乗務員の資格取得や警察への申請などをクリアし、降雪など条件が厳しい12月からの運行にこぎ着けました。

会社ではこれまで、働く時間を労働者自身が自由に決めることができる「フレックスタイム勤務(注3)」でした。それが町役場は午前8時半が始業です。吉原さんは「生活リズムが大きく変わった」と笑っています。休日は釣りに行くなど自然豊かな暮らしを満喫しています。

 いまの目標は、国が4月に公道走行を解禁した「高度自動化のレベル4(注4)」での完全自動運転を、2023年度中に達成することです。上士幌町の竹中責町長は「専門の人材を招いたことでスピード感が出る」と強調しています。所属するデジタル推進課の梶達課長は「ミーティングの効率的な進め方や資料の見やすさなどが、とても勉強になる」と刺激を受けています。


[三重県]

 三重県内は48人を迎え入れました。三重県いなべ市は、受け入れ人数が22人と、全国の市町村で最も多かったのです。いなべ市の日沖靖市町は「自治体は、どこも人手不足です。職員は、仕事ぶりは堅実ですが、新しい事業は苦手です」と語っています。同市は、先行的な都市や地域の実現の場である「スマートシティ(注5)」や、脱炭素などの市の戦略施策に、企業人をとても積極的に登用しています。


[岐阜県]

宮井正勝さんは、岐阜ダイハツ販売のMaaS推進室(注6、MaaSは複数の移動手段を総合した移動システム)にいました。「高齢者が自由に街づくりを出来るようにする仕事に関わりたい」と、今は、岐阜県いなべ市で、新たな移動手段などを探っています。この事業の推進組織には、自らの人脈を辿って、民間8社を集めました。いなべ市の都市整備課の太田正則課長補佐は「宮井さんは、企画力が抜群です。これは自分一人では、とても出来きませんでした」と驚いています。


[兵庫県]

「地域活性化起業人」の派遣企業は「交通・観光業界」が目立ちます。総務省の担当者は「コロナ禍では雇用維持に活用された面もありましたが、コロナで疲弊した、観光の復活へ、人材を求める自治体の要望は、いま、とても大きいものがあるのです」と言っています。

 兵庫県豊岡市は、2022年度に5人を招きました。日本航空の人材が城崎温泉の宿泊データから観光アプリを開発しました。豊岡市の担当者は機動力が生かせて「とても助かりました」と述べています。


[この項の終りに]

今後も「地域活性化起業人」の派遣は、ますます増えるでしょう。企業側は2023年度も自治体との関係強化を引き続き図っており、民間企業の社員が、このような行政経験を積むことで「スキルアップになる」と痛感しているからです。2023年度は、一部企業では、派遣社員が縮小することも考えられますが、2022年度に企業で最多の38人の派遣社員を使っていたJTBは、2023年度も同様の派遣を見込んでいます。今、同様の見込み持っている企業は多いのです。

関東学院大学の牧瀬稔教授(地域経済)は、「自治体は苦手なデジタル化などで、企業人を重宝にしている」と見ています。ただ、「依存しすぎてしまい、派遣が終わったら仕事がなくなることがないように、自治体は、ノウハウの吸収に、ここで大いに積極的に努めるべきだ」と、厳しく指摘しています。


2023年6月10日の日本経済新聞の2面(田崎陸)を参照引用して記述。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年6月10日の日本経済新聞2面の記事には、四つの図表が記載されていました。「①地域活性化起業人は全国に活躍の幅を広げている(2022年度)」図表1、注7。「②市町村別受け入れ数」図表2,注8。「➂企業別の派遣数」図表3、注9。「④市町村の受け入れ人数は急拡大」,図表4、注10。


[図表1]

図表1(注7)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2022年度の「地域活性化起業人」が青色の濃淡で塗り分けて示してありました。「地域活性化起業人」が最も多かっ地域は、「地域活性化起業人が40人以上の地域」で、全国でこれを実現できていたのは北海道と三重県の2道県だけでした。「地域活性化起業人」が次に多かった地域は、その人数が20人以上29人未満の地域で、これは福島県、埼玉県、長野県、岡山県、熊本県、鹿児島県の6県でした。


結局、全国で「地域活性化起業人」が多かった地域は、1道7県の8道県でした。

この図表1の色分けを見ていますと、この活動は、全国的にみれば、広く拡がっているのですが、遅れている地域が、3地域あることかわかります。青一色に染まった日本列島全体の中で、4カ所、色の薄い地域があるのです。それは東北、九州、四国と、関西です。


(2023年6月10日の日本経済新聞の2面(田崎陸)を参照引用して記述)。


[図表2]

 図表2(注8)は、「市町村別の受け入れ数」と題した表でした。ここでは「地域活性化起業人」の人数が多い市町村が示してありました。これを以下に記します。


図表2 全市町村別受け入れ数


         1      三重県いなべ市      22人

         2      北海道東川町       11人

         3      埼玉県横瀬町        7人


 地域活性化起業人の人数を、市町村別にみますと、三重県いなべ市が、現状では突出しています。この活動を市町村レベルでみますと、「地域活性化起業人」の人数を、数えられる市町村は、まだ、ほんの僅かなのです。これから、この突出した地域が、急拡大していくはずです。これからの急速な日本全土の大変化が、大いに注目されます。


[図表3]

 図表3(注9)は「企業別の活性化起業人の派遣数」と題した表でした。これを以下に示します。


           図表3 企業別の活性化起業人の派遣数


      1      JTB           38人

      2      ジャルセールス       37

      3      ANAあきんど       30

4      日本航空          28

      5      DMM.com       13

      6      ソフトバンク        18


 地域活性化起業人の社会・産業への派遣数を企業別に見てみますと、多様・多彩な企業が並んでいます。これは、これを引き起こす多彩な起業人の大活躍によって、日本は、激しい産業革命(社会革命と企業の大変革)の時代に突入し始めているということでしょう。ここでは派遣を受け入れて働く人も、大いに変化しなければならないと言うことです。


[図表4]

 図表4(注10)は「市町村の受け入れ人数は急拡大」と題した図でした。ここには、2014年度から2022年度までの「地域活性化起業人の人数」と「受け入れする市町村の数」が棒線グラフで書かれていました。図の左側縦欄に、0~600の数(受け入れ人数・市町村数)が記してあり、下欄には2014年度から2022年度の年度が書いてありました。そして、この各年度ごとに「受け入れ人数」と「市町村の数」が棒グラフで記されていました。

 この2種類の棒グラフは、ともに、2014年度から2020年度までは、緩やかなに着実に増加していました。それが、2021年度と2022年度の2年間で、急速に拡大したのです。この一連の活動は、今、爆発的に出発したのです。


 各年度の概略の数値を示すと以下です。「地域活性化起業者」の受け入れ人数は、2014年度は15人程度。2020年度は150人程度。これが2022年度は618人に急増。「受け入れる市町村」の数は、2014年度は10市町村程度、2020年度は100市町村程度。これが2022年度には368市町村に急拡大。この棒グラフは、この「革命」の爆発的な出発を示す見事なグラフです。(2023年6月10日の日本経済新聞の2面(田崎陸)を参照引用して記述)。

(注1)デシタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX):「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説。2004年にスウェーデンウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱した。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的であるが、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。なお、本用語はビジネス用語としては一般的に「DX」と表記される。英語の接頭辞「trans-」には「across(を超えて)」という意味があり、「DX」と表記されることが多い。


(注2)リモートワークとは、従業員が会社に出社することなく自宅やカフェ、コワーキングスペースなど会社のオフィス以外の場所で仕事することをいいます。インターネット環境が充実し、ノートパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどが広く普及したことによって、オフィスではない場所でも仕事をすることが可能になりました。


(注3)フレックスタイムとは、一定の期間において、あらかじめ定められた総労働時間があり、その範

囲内で日々の始業・終業時刻や働く時間を、労働者自身が自由に決めることができる制度です。例えば、ある1カ月に働く時間が160時間と決められていた場合、1カ月間の合計が160時間になれば、1日10時間働く日や、5時間で仕事を切り上げる日があってもよいということになります。


(注4)「レベル4」は「高度運転自動化」を指し、一定条件下において自動運転システムが、全ての運転操作を行う体制を言う。


(注5)スマートシティとは、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント (計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域のことである。先行的な都市や地域の実現の場である。


(注6)ダイハツ工業は、各地の自動車販売・サービス網を強化して、系列と業販での穴のない販売・サービス網の構築を目指している。ここでは、乗り物のサービス化であるMaaS[f1] を体制化し、これにより市場開拓の土台の構築を進めている。MaaS[f2] (マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人の単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やその他の全ての移動手段を統合して運用するシステムをいう。


(注7)日本経済新聞2023年6月10日2面に掲載された図表1「地域活性化起業人は全国に活躍の幅を広げている(2022年度)」(出所)総務省」。


(注8)日本経済新聞2023年6月10日2面に掲載された図表2「市町村別受け入れ数」。


(注9)日本経済新聞2023年6月10日2面に掲載された図表3「企業別の派遣数日本経済新聞2023年6月3日2面に掲載された図表3「企業別の派遣数」。


(注10)日本経済新聞2023年6月10日2面に掲載された図表4「市町村の受け入れ人数は急拡大」。


[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年6月10日(2面)。

[付記]2023年6月26日:

 
 
 

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