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「日本再生]「地域創生」主役は本より人 交流を促す 2023年9月4日 神奈川県・大和市「文化創造拠点シリウス」 会話OKエリア サークル活動や育児相談も

  • honchikojisitenji
  • 2023年9月4日
  • 読了時間: 6分

続木 碧(つづき あお) 2023年9月(研究報告№079)

「巻頭の一言」

 全国各地で、地元の図書館を、地域の人達の交流を促進するツールとする試みが広がっていますが、関東・山梨8都県でも、大きな努力が重ねられています。各都県別の一人当たり貸出冊数の平均値は、全国平均を下回っていますが、市区町村別にみると、傑出した結果(作品)が作出されています。


「地域創生」主役は本より人 交流を促す 神奈川県・大和市「文化創造拠点シリウス」 会話OKエリア サークル活動や育児相談も

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」主役は本より人 交流を促す 神奈川県・大和市「文化創造拠点シリウス」 会話OKエリア サークル活動や育児相談も

ここでは日本経済新聞の2023年8月5日35面の記事を紹介します。


[はじめに]

関東・山梨の図書館で、地域の人たちの交流を促す取組みが広がっています。群馬県太田市や埼玉県三郷市は、街の随所に「ミニ図書館」を設置しています。図書館の枠にとどまらず本を通じてにぎわいの創出を目指しています。各都県の2020年度の一人当たりの貸出冊数が2010年度比で1~3割落ち込むなかで、人が集まる交流拠点としての役割が高まっています。(日本経済新聞8月5日朝刊35面(二村俊太郎、本田幸久、桜井豪、田中博文)を参照引用して記述。)


[群馬県太田市]

自動車メーカーのSUBARU(スバル)の工場がある企業城下町の群馬県太田市では、車社会で多くのヒトがマイカーで郊外に買い物に出かけるため、中心市街地の空洞化が深刻になっていました。白い外壁が目立つ「太田市美術館・図書館」は駅前のにぎわい創出を目的として2017年に東武鉄道・太田駅北口前に開館しました。

開館と同時に同美術館・図書館が呼びかけて始まったプロジェクトが「おおた まちじゅう図書館」です。これは地域の商店や飲食店、企業などがお薦めの本を集めた私設図書館を作り、スタンプラリーなどのイベントも開いて人々に街を巡ってもらおうという試みです。現在36の私設図書館が参加しています。

太田市内の酒造会社山崎酒造は2019年にプロジェクトに参加しました。使わなくなった蔵を改装し、専務の山崎久美子さんが個人的に集めた文庫本や啓発本、美術書などを置いて「山崎文庫」という図書スペースを作りました。ここでは、併設のカフェでお茶を楽しむこともできます。山崎さんは「一日中いてもらっても構わないので本好きの人にぜひ利用してほしい」と呼びかけています。


[埼玉県三郷市]

「日本一の読書のまち」を掲げる埼玉県三郷町は2018年から市民が自由に本を借りられる「ふれあい文庫」の展開をはじめました。市民が寄贈した本30~50冊を収めた本を市内各所に置き、気に入った本があれば貸し出し手続きなしで持ち帰れます。当初は市役所の1階だけでしたが、今は「イトーヨーカドー」や「スターバックス」の店舗などの民間事業所、公共施設を合わせて24カ所に増えました。

 これは「図書館で手続きするのに気が引けるような人にも、気楽に本に触れてほしい」という目的で始めたのです。2022年度の貸出は1000冊になりました。民間事業所、公共施設を問わず地域の適度な賑わいづくりに、つながっているのです。

 ふれあい文庫に置く本の選定や並べ方などは、市の養成講座を受講した市民ボランティア「ふれあいブックサポーター」32人が担当しています。寄贈本の中から各施設に合わせた本を選ぶため市民が手に取りやすくなっているのです。


[栃木県那須町]

 滞在しやすさを追求した図書館も相次いで登場しています。栃木県那須塩原市で2020年9月に旧図書館を移転して開業した市図書館「みるる」は、建物は1階と2階が吹き抜けになり、大階段でつながる開放的な空間が特徴です。カフェも併設し、読書以外にも勉強やくつろぐために訪れる来館者も目立つのです。

 同図書館は建物を生かしたイベントを多数開催しています。月に一度開催されている宇都宮大学と連携したイベントでは、「読み聞かせの内容」に合わせて歌を歌ったり、おもちゃを使かったりして、子供がストーリーを体験する趣向です。担当者は「本を借りるだけでなく、人が集まるイベントの工夫で図書館の利用につなげている」と話しています。読み聞かせイベントは大人、子供合わせて毎月数十人が集まり、近隣の那須町や大田原町からも親子が参加しています。



[神奈川県大和市]

 「主体は本ではなく人」とうたうのは神奈川県大和市の「文化創造拠点シリウス」です。これは図書館を中心に芸術文化ホールや屋内こども広場、生涯学習センターが入る複合施設で、市の人口が23万人のところ、2016年の開館から2023年7月末時点の累計来館者が1700万人に達しました。この数値は驚きです。

 座席数を990席設けて滞在しやすくし、会話OKな交流すベースも設けました。市民サークル活動の拠点として利用が多いのです。親子で絵本がかけるエリアや遊具やボールのプールなどを設置した「げんきっこ広場」も設けており、親子で来場しやすくしました。育児相談も受け付けており子育て支援の拠点にもなっています。


[この項のまとめ]

 関東・山梨8都県では、都県別の一人当たりの貸出冊数の平均値では、全国平均を下回っていますが「人の一人あたり」の参加数でみると、極めてユニークな傑出した成果(作品)が作出されており、私は、注目しています。

(日本経済新聞8月5日朝刊35面(二村俊太郎、本田幸久、桜井豪、田中博文)を参照引用して記述。)


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年8月5日の日本経済新聞35面の記事には、一つの図表(注1)が記載されていました。「①関東・山梨の一人当たり貸出冊数、(注)減少率は2010年度比。」


[図表1]

図表1(注1)は、「関東・山梨の一人あたり貸出冊数」と題した表でした。以下にこれを記します。


[図表1]


図表1 「関東・山梨の一人あたり貸出冊数」

      2020年度        減少率

東京都    6.2冊         27%

栃木県    4.1          11

山梨県    3.9          31

埼玉県    3.8          34

茨城県    3.8          21

群馬県    3.6          21

千葉県    3.5          36

神奈川県   2.8          32


(注)減少率は2010年度比。


 神奈川県大和市の「文化創造拠点シリウス」などを、私は、特に素晴らしい活動だと思いましたが、その神奈川県は、本の貸出冊数の減少率は、関東・山梨8都県内でも、最大級なのです。

 結局、本の貸出札数を増やすことは、地域再生にとって、極めて重要な管理指標ですが、人口が巨大な大都市では、これだけを指標として判断するのは難しいのです。この管理指標には、別の「物差し」を見付けなければならないようです。その指標として、「本の代わりに人の心」を使いたいとしていますが、その具体的な指標をさらに堀り深めることが必要だと思われます。


(注1) 日本経済新聞2023年8月5日35面に掲載された図表1「「関東・山梨の一人あたり貸出冊数」2020年度・減少率。


(1) 日本経済新聞、2023年8月5日(35面)。

[付記]2023年9月4日:

 
 
 

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