「日本再生]「地域創生」リサイクル 鎌倉市が先陣 2023年6月19日 分別徹底 啓発にも力 鹿児島県大崎町 おむつ初「水平再生」
- honchikojisitenji
- 2023年6月20日
- 読了時間: 8分
続木 碧(つづき あお) 2023年6月(研究報告№071)
「巻頭の一言」
全国のごみの処理費用は、年々増加しており、人口減少が続く自治体の財政を圧迫しています。ごみ処理費用の削減の重要性は、古くから認識されており、認識の早かった地域では、1900年代末期頃から改革活動は積極的に進められてきました。それが、ここにきて、急速に成果をあげてきたのです。でも、その進捗度は地域により差が見られます。東北地方、九州、四国、関西一円での立ち遅れが目立ちます。
「地域創生」リサイクル 鎌倉市が先陣 分別徹底 啓発にも力 鹿児島県大崎町 おむつ初「水平再生」
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」リサイクル 鎌倉市が先陣 分別徹底 啓発にも力 鹿児島県大崎町 おむつ初「水平再生」
ここでは日本経済新聞の2023年6月3日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
全国のごみの処理費用は、年間2兆円を超え、人口減少が続く自治体の財政に重く、のしかかっています。リサイクルの重要性は高まりますが、意識改革の遅れなどから、全国の取り組みは伸び悩んでいます。そうした中でも、神奈川県鎌倉市など、高いリサイクル率を達成する自治体は、分別の徹底はもちろんのこと、新たな再生手法にも、積極的です。
2023年6月3日の日本経済新聞の2面(樋口蔵弘、松原礼奈)を参照引用して記述します。
[環境省の一般廃棄物処理実態調査]
日本のごみの排出量は、収集の有料化などで、長期的に減少傾向にあります。ただ、分別収集などを通じて資源化した量の、ごみ処理量の占める割合であるリサイクル率は、伸び悩んでいます。環境省の一般廃棄物処理実態調査でも、2021年度のごみの総量は、4095万トンと、前年度より1.7%減りましたが、リサイクル率は19.9%で横ばいでした。ごみ処理経費は国民1人あたり1万7000円に達しています。
[神奈川県鎌倉市]
市町村別のリサイクル率を見ますと焼却炉の老朽化や最終処分場の逼迫と言った課題に、いち早く挑んだ自治体が上位に並んでいます。人口10万人以上50万人未満の都市でトップの鎌倉市のリサイクル率は52.6%で、ごみ処理能力に限界がみえてきた30年ぼど前から、「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ、注1)」を目指してきました。2020年からは近隣の逗子市(リサイクル率46.6%)、葉山町(50.4%)と広域ごみ処理に乗り出しました。
2025年3月には、現在稼働する市内唯一の焼却施設を停止する方針です。その後は逗子市の施設を利用しますが、受け入れに限界があるため、可燃ごみをさらに減らしてリサイクル率もさらに高めます。すでに、木の枝を木材チップなどに加工する仕組みも構築し、分別収集も21品目に細分化しました。
廃棄物に新たな価値を与える「アップサイクル(注2)」にも挑みます。花王や慶応大学と共同で、3Dプリンター(注3)を使って、プラスチックごみから公園の遊具やベンチなどを作っています。ごみが資産に変わる過程を見える化して、市民の意識向上につなげます。こうした先進的な取り組みが、神奈川県を都道府県別リサイクル率のトップに押し上げました。
[鹿児島県大崎町]
全市町村でリサイクル率2位の鹿児島県大崎町(81.6%)は、ごみを焼却せずに、埋め立てて処分してきました。ただ、埋め立て場所には限界があるため、分別を徹底しています。現在は27品目に分けて収集しています。注目は生ゴミの処理方法です。専用のバケツに集めてから収集し、草木などとともに全て肥料にします。廃食用油は、収集車の燃料にも使います。メーカーや周辺の自治体とともに、使用済み紙おむつを分別収集して、再び紙おむつの原料とする、世界初の水平リサイクル(注4)も始めました。
これまでリサイクルを通じて約1億6000万円の収益が発生しています。町民1人あたりのごみ処理経費も、全国平均より年約5000万円削減できました。取り組みに共感する企業などからの寄付も増えており、全町民に一万円分の商品券を配って、リサイクルへの一段の理解を求めています。
[福岡県大木町]
7位の福岡県大木町(64.7%)は、生ごみと、し尿を混ぜて処理することで、発電用燃料のメタンを生み出す施設を整備しました。原料となる生ゴミは無料で収集します。その上で燃やすごみは有料とすることで、分別の徹底を促し、ごみ削減とリサイクル率の向上につなげます。
[この項の終りに]
5月30日(ごみゼロの日)から6月5日(環境の日)は、ごみ減量・リサイクル推進週間です。ごみ問題に詳しい東洋大学の山谷修作名誉教授は「リサイクル率を高めてごみを減らすには、住民が自ら出すごみに責任感を持ちやすい、戸別収集などを広げる必要もある」と指摘しています。2023年6月3日の日本経済新聞の2面(樋口蔵弘、松原礼奈)を参照引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年6月3日の日本経済新聞2面の記事には、四つの図表が記載されていました。「①一般ごみのリサイクル率(2021年度)」図表1、注5。「②全市町村別」図表2,注6。「➂人口10万人以上50万人未満」図表3、注7。「④国内のごみは減っているが、リサイクル率は横這い」,図表4、注8。
[図表1]
図表1(注5)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2021年度の「一般ごみのリサイクル率」がピンク色の濃淡で塗り分けて示してありました。「一般ごみのリサイクル率」が最も大きかった地域は、「認定企業の割合が24%以上の地域」で、これを全国で実現できていたのは神奈川県、鳥取県、山口県の3県だけでした。「一般ごみのリサイクル率」が次に大きかった地域は、リサイクル率が21%以上24%未満の地域で、これは北海道、千葉県、東京都、長野県、富山県、愛知県、岡山県の1都1道5県でした。
結局、全国で「一般ごみのリサイクル率」が大きかった地域は、1都1道8県の10都道県でした。
この図表1の色分けを見ていますと、全国に、この活動の進捗が遅れている地域が4カ所あることかわかります。日本列島全体が美しいピンク色に染まる中で、4カ所、色の薄い地域があるのです。それは東北地方、九州、四国と、大阪・京都・兵庫を中心とする関西です。特に、関西が広く低調なのが、とても気になります。
(2023年6月3日の日本経済新聞の2面樋口蔵弘、松原礼奈)を参照引用して記述)。
[図表2]
図表2(注6)は、「全市町村別」と題した表でした。ここには、全国の「一般ごみのリサイクル率」のベスト5が示してありました。これを以下に示します。
図表2 全市町村別
1 北海道豊浦町 87.1%
2 鹿児島県大崎町 81.6
3 徳島県上勝町 79.9
4 鹿児島県志布志市 74.3
5 北海道小平町 66.1
このベスト5には、北海道と鹿児島県が、2カ所ずつ入っていました。ここでは図らずも、日本列島の北端と南端が、この活動の主力を占めています。徳島県上勝町が孤軍奮闘しています。
[図表3]
図表3(注7)は「人口10万人以上50万人未満」と題した表でした。これを以下に示します。
図表3 人口10万人以上50万人未満
1 神奈川県鎌倉市 52.6%
2 東京都小金井市 44.8
3 東京都国分寺市 44.5
4 岡山県倉敷市 43.5
5 埼玉県加須市 37.4
このベスト5のうち、4カ所は東京を中心とする首都圏が占めています。岡山県倉敷市が孤軍奮戦中です。
[図表4]
図表4(注8)は「国内のごみは減っているが、リサイクル率は横這い」と題した図でした。この図表は二段構成になっており、上段にリサイクル率の折れ線グラフ、下段にごみの総量の棒線グラフが示してありました。
下段の左側縦欄には、0~6000万トンの「ごみの総量」が取ってありました。また、上段の右側縦欄には、「サイクル率」の14~22%が記してありました。
そして下側の横欄には、2000年度~2021年度の年度が取ってありました。この各年度ごとに「リサイクル率の(%)の折れ線グラフ(上段)」と、「ごみの総量の棒線グラフ、(下段、単位万トン)」が記してありました。
この図表を見てみますと「リサイクル率」は、2000年度から2009年度にかけては、14%から19%まで、順調に増加しましたが、以後、2019年度から2021年までは横這いに推移しています。
一方、「ごみの総量」は、2000年度の5500万トンから2021年度の4000万トンまで、一貫し減少し続けています。その減少率(%)は2009年度までが大きく、その後減少率は、穏やかになっています。(注)セメント減量としての利用も含む。
(2023年6月3日の日本経済新聞の2面(樋口蔵弘、松原礼奈)を参照引用して記述)。
(注1)ゼロウェイストとは、「ごみをゼロにする」ことを目標に、できるだけ廃棄物を減らそうとする活動のことです。具体的には、ゴミの出ない生活スタイルを取ることや、ものの流通のさせ方を変えること、資源を浪費しない製品の生産方法等を指します。現在、地球温暖化対策として、自治体や企業が、ゴミ出しの仕組みを工夫する等により「ゼロウェイスト」を目指す事例が増え続けているのです。
(注2)アップサイクルは、「ごみ」つまり廃棄物を、まったく新しい製品として生まれ変わらせる取り組みのことを言います。 リサイクルは不要になったものを「原料」の段階まで戻して利用します。一方、アップサイクルは不要になったものの「素材」を異なる分野で新しく活用します。
(注3)3Dプリンターとは、紙などの平面物に文字や絵などを印刷するプリンターと違い、 樹脂などを材料として立体物をつくることができるプリンターのことです。 3Dプリンターの特徴は、大規模な加工設備がなくても、複雑な形の立体造形物をつくることができる点です。
(注4)水平リサイクル: ユニ・チャームは、使用済みの紙おむつを新たな紙おむつに再生する事業を始めました。 回収品から原料のパルプを取り出して再び紙おむつを生産し発売します。このような活動を、水平リサイクルと呼びます。
(注5)日本経済新聞2023年6月3日2面に掲載された図表1「一般ごみのリサイクル率(2021年度)(出所)環境省「一般廃棄物処理実態調査」。
(注6)日本経済新聞2023年6月3日2面に掲載された図表2「全市町村別」。
(注7)日本経済新聞2023年6月3日2面に掲載された図表3「人口10万人以上50万人未満」
(注8)日本経済新聞2023年6月3日2面に掲載された図表4「国内のごみは減っているが、リサイクル率は横ばい」。
[参考資料]
(1)日本経済新聞、2023年6月3日(2面)。
[付記]2023年6月19日):


コメント