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「日本再生]「地域創生」メタボ率低い新潟・岐阜 2023年7月24日 全国29.1%、検診導入後2.3%増 減塩食誘う・ITで運動促進

  • honchikojisitenji
  • 2023年8月11日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2023年7月(研究報告№074)

「巻頭の一言」

 生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(略してメタボ、注1)や、その予備軍と診断された人は、検診受診者の3割、900万人に迫ってきました。生活習慣病は、年間44兆円に膨らむ医療費の3割を占めているのです。また、各地に、積極的な自治体が増えてきており、住民の健康づくり対策だけでなく、革新的な新しい健康産業の創出を目指す自治体が続々と出てきました。

メタボと予備群は、様々な対策にかかわらず、全国では2008年比で増えましたが、徳島県・山形県では減りました。徳島県は糖尿病での死亡率が全国1位でしたが、その改善を目指して県民は、健康づくりに果敢に取り組んでいます。

 2020年から,同県は県独自のスマホアプリを運用しています。歩数や健康診断の受診回数をポイントとして商品応募などに使い、2022年度末での利用者は、2万6000人を超えました。県は2022年から、「機能性食品の開発」や「医療ツーリズム(医療観光、注5)」などの「新しい健康関連産業」に挑む県内事業者を、専門家の助言などで強力に支援しています


「地域創生」メタボ率低い新潟・岐阜 全国29.1%、検診導入後2.3%増 減塩食誘う・ITで運動促進

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」メタボ率低い新潟・岐阜 全国29.1%、検診導入後2.3%増 減塩食誘う・ITで運動促進

ここでは日本経済新聞の2023年7月8日2面の記事を紹介します。


[はじめに]

生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(注1)や、その予備軍と診断された人は、検診受診者の3割、900万人に迫ります。年間44兆円に膨らむ医療費の3割は生活習慣病によるものです。新型コロナウイルス禍に伴う行動抑制の影響も懸念されます。住民の健康づくりによる対策だけでなく、健康産業の創出を目指す自治体も出てきています。日本経済新聞、2023年7月8日の2面(樋口蔵弘、水庫弘貴)を参照引用して記述。


[都道府県では新潟県がメタボと予備軍は最少だった。次いで岐阜県が続いた]

メタボリックシンドローム(注1)は、内臓脂肪型肥満に高血圧や高血糖、脂肪代謝異常が組み合わさったものです。40歳以上75歳未満の受診者が基準に当てはまると判定されると、運動や食生活の改善など、特定保険指導(主にメタボリックシンドロームの予防や解消を目的に行われる健康支援、注2)を受けるように促されます。2023年7月8日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、水庫弘貴)を参照引用して記述。


[新潟県]

 新潟県は「健康立県」を掲げて健康増進を後押ししています。雪国で冬場を中心に運動が不足しがちなうえ、車社会です。県民の1日の歩数は全国より1割少なく、専門家から「危機的」と指定があったのです。

 県の呼びかけで、県内のスーパー230店が塩分を控え、野菜を多く使うなどした惣菜や弁当を、共通マーク付きで扱っています。スマートフォン向けのアプリも2021年に導入しました。1日数歩やスポーツイベントへの参加に応じてポイントがたまり、550の協力店で特典があります。

 同県上越市は、妊婦や乳幼児も含む広い世代で検診などを重視しています。小学校5年生と中学2年生の希望者に、血液検査でコレストロールなどを調べ、児童・生徒の8割以上が受診します。自治区域ごとに、最低1人置く保健師や栄養士が、地域性に合わせて健康指導に当たります。市民1人当たりの医療費は2020年度が、35万3852円と、前年度比3.5%減りました。

 行動経済学で「ナッジ(注3)」と呼ぶ、さりげなく人を導く手法でも、受診率を高めています。県内の全30市町村の内19で、これを取り入れています。新発田市では、検診を受けてこなかった市民に、健康維持の成果を「見える化」しませんかといったはがきを送って、自発的な受診を誘っています。2021年からの活動で、受診者の割合が倍増しました。


[岐阜県]

 岐阜県では、下呂市が減塩推進週間を毎月設け、市内の飲食・小売店を協力店に認定するなど、「減塩元気大作戦」を展開しています。一部の旅館では共同して、味を保ちつつ塩分と糖質を4割減らした料理を提供し、客層を拡大しています。温泉で知られるまちの新名所にとの期待も高まっています。この下呂市における減塩運動は、2013年に、脳血管疾患の患者の割合が、県内、ワースト1位となったのがきっかけでした。未就学児を含む各年代で、尿中の塩分を毎年測りました。こうした取り組みで、疾病リスクが高まる高血圧者(注4)の割合は、2012年の計6.8%が2018年には半減しました。

 

[この項の終りに]

メタボと予備群は、各種の対策にかかわらず、全国では2008年比で増えましたが、徳島県・山形県は減りました。徳島県は糖尿病死亡率が全国1位でした。その改善も狙って県民の健康づくりに取り組んでいます。

 2020年から,同県も県独自のスマホアプリを運用しています。歩数や健康診断の受診回数をポイントとして商品応募などに使い、2022年度末での利用者は、2万6000人を超えました。県は2022年から、「機能性食品の開発」や「医療ツーリズム(医療観光、注5)」などの「健康関連の新産業」に挑む県内事業者を、専門家の助言などで支援しています。

日本生活習慣病予防協会の宮崎滋理事長は、自治体のメタボ対策について、「医療が必要な人の増加を防ぐことで、医療資源の有効活用につながる」と評価しています。日本経済新聞、2023年7月8日の2面(樋口蔵弘、水庫弘高貴)を参照引用して記述。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年7月8日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①メタボとその予備群の割合は、新潟県や山梨県で低い(2021年度)。(出所)厚生労働省「特定健康審査・特定保険指導の実施状況」。

「②メタボ該当者の割合が低い府県。徳島県と山形県は減少。(注)増減はポイント、▲は低下。「➂メタボ該当者と医療費。概算の医療費。(注)メタボの該当者は、特定検診を受信中の人数。概算の医療費の出所は厚生労働省「医療費の動向」。


[図表1]

図表1(注6)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2021年における「メタボリックシンドローム(注1)とその予備群の割合の少なさ」を茶色の濃淡で塗り分けて示してありました。この結果、メタボや予備群の割合の少なさ」が、2021年において、最も進んでいた地域は、メタボ等が「27%未満の地域」で、ここでは色が最も明るいオレンジに近い薄茶色に色付けされていました。これを実現できていたのは、新潟県、岐阜県、静岡県の3県でした。

次にメタボの割合の低い地域は、27%以上28%未満の地域で、これは山形県、東京都、滋賀県、京都府の4都府県でした。結局、メタボリックシンドローム(注1)とその予備群の割合の少なかった地域は7都府県でした。


また、この日本地図を眺めてみていましたら、以下の点に気がつきました。メタボと予備軍が少ない地域は、日本列島の中央部にまとまっているのです。メタボリックシンドローム(注1)とその予備群は、北海道・東北の日本の北部地域にも、中部地方、九州・四国にも、まだまだ多いのです。これがすくないのは,日本列島の中央部でした。2023年7月8日の日本経済新聞の2面(樋口蔵弘、木庫弘貴)を参照引用して記述。


[図表2]

 図表2(注7)は、「メタボとその予備群の割合が低い府県」と題した図表と、「徳島県と山形県は減少」と題した2表が列記されていました。これを以下に記します。


図表2-1 メタボとその予備群の割合が低い府県

都道府県    2021年度   増減(2008年度比)

新潟県     26.4%       1.63

岐阜県     26.7        1.62

静岡県     26.9        3.22

京都府     27.0        2.19

長野県     27.2        2.31


       (注)増減はポイント。


図表2-2 徳島県と山形県は減少

都道府県    2021年度   増減(2008年度比)

徳島県     28.5%      ▲0.29

山形県     27.5       ▲0.25

東京都     27.4        0.82

兵庫県     28.2        0.87

大分県     29.0        0.98


 (注)増減はポイント、▲は減少。


[図表3]

 図表3(注8)は「メタボ該当者と医療費」(概算の医療費)と題した図表でした。

 この表の右側縦欄には、概算医療費 35~45兆円を示す目盛が記してありました。また、左側縦欄には、0~800万人のメタボと予備群の人数を示す目盛が記してありました。さらに下欄には、2008年度から2021年度までの「年度」が記してありました。この縦横の交点に、各年度の概算医療費を記し、棒線グラフと折れ線グラフを作成していました。

この棒線グラフを見ますと、予備群を含むメタボ該当者数が、2006年度の600万人弱から2021年度の800万人強に増加しているのがわかります。また、折れ線グラフからは、概算医療費は、2008年度の35兆円から2021年度の45兆円へ増加しているのが、良くわかります。なお、このグラフには、2020年度における新型コロナウイルス禍の影響による落ち込みが認められます。2023年7月8日の日本経済新聞の2面(樋口蔵弘、木庫弘貴)を参照引用して記述。


(注1) メタボリックシンドローム:「メタボ」という言葉は、「メタボリックシンドローム」の略語である。近年,テレビや新聞、インターネットで、よく見かけるようなった。メタボは、糖尿病をはじめとする生活習慣病の前段階の状態を示すものである。具体的には糖尿病の境界型や、高血圧・脂質異常症・肥満などが、程度が軽くても重なって起こると、糖尿病の発症ならびに心臓や血管の病気につながりやすいのである。車社会でデスクワークが中心となり、運動不足となり、栄養が過多になりやすい現代において、メタボの人が増えていることが、重大な問題となっている。


(注2) 特定保険指導とは:特定健康診査の結果に基づき、主にメタボリックシンドロームの予防や解消を目的に行われる健康支援のことである


(注3) 行動経済学で「ナッジ」とよぶもの:「ナッジ」の語は、行動経済学者のリチャード・セイラーなどが、ノーベル賞を授賞したことで注目されるようになった。我々の意思決定には、様々な癖があり、合理的でない選択をしてしまうことがある。「ナッジ」は、我々の意思決定の癖を生かして、選択の自由を残しつつも、より良い選択へ誘導することである。


(注4) 疾病リスクが高まる高血圧者とは:最新のガイドラインでは、いままでは正常血圧の範囲とされてきた、収縮期血圧(120~129mmHg)、拡張期血圧(80~89mmHg)の人も、将来高血圧になりやすいことが判ってきた。


(注5) 医療ツーリズム(医療観光)とは:外国へ行き治療を受けることである。外国で治療を受ける方が、メリットが大きいと判断する人が、外国へ行き、治療を受ける。外国で治療を受ける理由は、費用の節約、美容、人間ドックなど多岐にわたる。治療だけでなく、観光も一緒に行われるのが殆どである。


(注6) 日本経済新聞2023年7月8日2面に掲載された図表1「メタボとその予備群は、新潟県や山梨県で低い(2021年度)。(出所)厚生労働省「特定健康審査・特定保険指導の実施状況」。


(注7) 日本経済新聞2023年7月8日2面に掲載された図表2「メタボ該当者の割合が低い府県。徳島県と山形県は減少。(注)増減はポイント、▲は低下。


(注8) 日本経済新聞2023年7月8日2面に掲載された図表3「メタボ該当者と医療費 概算の医療費。(注)メタボの該当者は、特定検診の受信中の人数。概算の医療費の出所は厚生労働省「医療費の動向」。



[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年7月8日(2面)。

[付記]2023年7月24日:

 
 
 

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