top of page

稲穂の秋

  • honchikojisitenji
  • 10月11日
  • 読了時間: 4分

秋の秋田に行ってきました。秋田新幹線から見た稲穂の風景です。角館駅と田沢湖駅の間くらいの山際の農村地域です。稲穂がたわわに稔っています。今年はお米に高温障害が出ているのかわかりませんが、稲の稔りは良さそうです。これまでの仕事で農山村地方を訪れることが多かったですが、お米が豊作か否かが地域経済だけでなく、地域の活力というか雰囲気に及ぼす影響は大きなものがあると感じてきました。台風、豪雨、日照不足、低温などの被害でお米がわずかでも凶作ですと、地域の元気が感じられなかった気がします。秋田は米どころなのでなおさらでしょう。


ree

同じ秋田新幹線から見た岩手山を背景にした盛岡市(たぶん)郊外の風景です。ほんとうに秋ですね。澄んだ秋空にくっきりと岩手山が望めます。


ree

穂がないところは刈り取った後、緑のところはひこばえかもしれません。あまり転作田の無いところを撮りました。農村の原風景と言っても良いでしょう。

昨年秋からお米不足の話題が巷を騒がせました。今年は大丈夫かもしれませんが、価格はどうなるのでしょうか。需要と供給のバランスで価格が決まるという至極単純な構造ではなくなっている現代のマーケットですが、このバランスは今でも大変重要な因子だと思います。

日本人の食卓には副食(おかず)が豊かになり、それと併せてパン、パンケーキや麺類などの小麦製品がコメと同じほどに主食化してきました。お米でおなか一杯になるのではなく、おかずでおなかが満たされお米はちょっとだけとか、丸一日、お米を食べない食事という日もあるとか、日本人の食生活が大きく変わってきました。お米は美味しすぎてご飯がススムために食べ過ぎて太り気味になってしまうので、お米を敬遠するという方も多くなっているのかもしれません。とにかく、人口がまだ増えていた時代から、すでに消費者の選好によって長期低落的にお米の需要は減少してきたので、お米の供給を減らさざるを得なくなってきてました。その需要の動向を突発的に増加に変えたのが、円安等による小麦価格の高騰に伴ってお米への消費者の回帰だったのではないかと思っています。そこに、南海トラフ地震注意情報発令時の買い込み需要、外国人観光客の(米食が観光資源となる)日本食需要の拡大が重なったことで、自転車操業的に回っていたお米の流通がマヒしてしまったのだと考えています。急に供給増を求められても対応できなかったのはウッドショックの国産材の対応と二重写しです。豊かだった日本の現実は、きっと、長いデフレ下でのコストの削減意識や労働力不足で自転車操業で回しているということなのです。ロボット化できていない生産物の供給はどれも同じというのが、不都合な真実ということが明らかになった一年なのではないかと思います。

お米の価格については、概算金といった特異な仕組みや多段階流通、鮮度保持のための精米設備の末端集中といった状況もあり、稲の稔りが増えても簡単には価格が下がらないと思います。それよりも、長い消費者のお米離れに反して、価格が上がってもお米は買われる状況になっていることが生産、流通関係者に浸透してしまったわけで、これまで赤字、薄利だったところで一定の生産、流通の利益を確保しようという動きがしばらくは残ると思います。このような状況では、お米の価格について市場(マーケット)に任せるというのは政治的に社会的にもリスクの多い問題だと考えています。

地域の創造にとっては、お米の価格上昇は過渡的な地域所得拡大がもたらされますが、その持続性が考えられなければ早晩行き詰まることが危惧されるので、地域、米作の持続性を担保する価格維持の合意形成を早く社会に求めるべきだと思います。そのためには、食に係る家計費用をどうやって抑えられるのか、あるいは食以外に回せる可処分所得をどうやって増やせるのかがポイントではないかと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
しばらく休止します

ブログの更新をしばらく休止します。 今後、どうしようか、ちょっと考えてみます。

 
 
 

コメント


持続的な地域の創造

©2022 持続的な地域の創造。Wix.com で作成されました。

bottom of page